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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第2章 炎天下の熱闘
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27.VSマイティキング⑯ 南&美穂VS大我&恵(2)

「はっ!」


 全身に力を込め、自身の波動を解放させる南。

 髪と瞳の色が朱色に染まり、紅蓮の波動のオーラを全身に纏わせる。


『日向選手! ここで今までの雰囲気からガラリと変わりました! 予選でも見せていたこの姿、これは〈スードクロスト〉でしょうか!? 去年、『ロックゲイザー』の東堂選手が使用していた〈スードクロスト〉ととても酷似しています!』

「〈スードクロスト〉……。やはり来るか」

「へー! 凄いねそれ! 波動が一気に強まった!」


 〈スードクロスト〉。

 南や晃太の言うところのレッドモードの正式名称、もといスキル名である。


「それ……レッドモードって言ってなかったっけ……?」

「晃太が前に、スキル名覚えられないからレッドモードで良いじゃんって言ってそう呼んでただけだよ」

「晃太……バカだね……」

「何今更なこと言ってんだよ。そんなことよりやるぞ」

「あーい。“アクアウェーブ”!」


 南の掛け声の直後に、即座に攻撃体勢になり“アクアウェーブ”を放つ美穂。


『ここで神崎選手が動いた!! “アクアウェーブ”が多田選手と名護選手に襲いかかる!』 

「範囲攻撃か。だが無駄だ。“大食口(グラトン)”」


 “アクアウェーブ”が迫り来る中、大我は両手を前方にかざす。

 両手からは黒いオーラが放出され、先程より巨大な塊になり、ギザギザ口がガパリと開いた。

 そして、その巨大な口は“アクアウェーブ”を飲み込むように吸収していく。


「“放射(リバース)”」


 さらに、また同じように吸収した“アクアウェーブ”に自らのオーラを纏わせ、威力を上げて放った。


「美穂! 下は任せたぞ!」

「了解! “プロテクション”!」


 それに対し、美穂は“プロテクション”を貼り完全防御、南は〈紅蓮の翼〉で空へと回避する。


『多田選手! 神崎選手の“アクアウェーブ”を吸収・放出するが日向選手には上に回避、神崎選手には先程2戦目での袴田選手と同じように“プロテクション”で自らの周囲をバリアで囲みました!』

「ほう……俺の想力を纏った“アクアウェーブ”を耐えきるか……。なかなか丈夫な“プロテクション”じゃないか。……それで、日向は上からの襲撃というわけか。恵、頼んだ」

「あいあーい」


 ―――“エアロブースト”は動き読まれてイーターで食われたら不味い。まずは普通に攻める!


 南は、“エアロブースト”を使わずに牽制を入れながら大我・恵に接近しようと試みる。


「“烈火掌破(れっかしょうは)”!」

「ぐ……!」


 だが、そうはさせまいと恵が掌を南に向け赤い熱光線を放った。

 横に回避し、体勢を整えようする南だったが、恵はさらに追撃で“烈火掌破”を放っていく。


 ―――くそ……反撃したいけど、下手にフォース使ったらまたイーターで吸収されちまう……!


 恵の攻撃をかわしながら思考を広げていく南。


 ―――どうにかどっちか1人の隙を作れれば……。


「なかなかすばしっこいね! 全然当たんないや!」

「そりゃどうも!」


 ―――そう言う割には余裕綽々って感じじゃねーか。隙もあるようでない。この人も対処すんの面倒臭そうだな……!


「“アクアアロー”!」


 南がそう思っていた矢先、美穂が“アクアアロー”を数発、恵へと放った。


「お願い大我君!」

「任せろ」


 恵は“アクアアロー”を避ける素振りは一切見せずに、大我に対処を任せようとする。


 ―――今だ。


 大我がイーターを発動させ、美穂の“アクアアロー”を対処に入った瞬間、南は恵の対処へと入る。


「“噴火鉄拳”!」


 追撃してくる恵の“烈火掌破”に、南は拳から爆炎を撃ち放つ“噴火鉄拳”をぶつけ相殺させる。


「からの……“風手裏剣”!」


 そして、一瞬出来た隙で追撃に大量の“風手裏剣”を四方八方にばらまくように投げる。


「……! 恵! 避けろ!」


 四方八方に飛んでいったかに思われた“風手裏剣”は、曲線を描きながら大我と恵の元へと向かっていく。

 それに気づいた大我は、イーターを即座に引っ込め恵にそう指示したあと、そのぽっちゃり体型からは想像出来ないような身のこなしでその場を離れていく。


「って……無理! “火円柱(かえんばしら)”!」


 一方で、イーターが引っ込められたことで無防備になった恵は、最初の数発を避けたあと、続けて飛んでくる“アクアアロー”を自らの周囲を炎のフォースで火柱を立ち上がらせることで防御代わりにしていく。


 この一瞬の攻防に、観客席は息を呑むように静かになり、実況の鈴木も言葉を止める。


『い……一瞬でした……! 名護選手が日向選手を牽制。神崎選手がそれを阻止しようとしたところで、多田選手がイーターを発動。しかし、そこで日向選手が反撃、そして追撃。それを多田選手と名護選手がそれぞれ凌ぎました……! しかし、ここで多田選手と名護選手の互いの距離が少し遠のきました! これで多田選手と名護選手の連携が少し取れにくくなったか!?』

「美穂! そっち頼んだ!」

「了解!」 


 大我と恵の距離が離れたところで、南は恵の相手を美穂に任せ、自分は大我へと視線を向けた。


「……なるほど。2VS2から1VS1を2ヶ所作ることにしたというわけか……!」


 即座に南の考えを分析し、そう解釈した大我は面白いと言わんばかりに鼻で笑う。


『おっと! ここで多田選手VS日向選手! 名護選手VS神崎選手という構図になりました! 果たしてどうなるのでしょうか!?』

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