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夕星  作者: 矢玉
15/57

(おすそわけ)


 ラップをかけた器を持って、詩乃は家を出た。

 向かうは徒歩十秒、隣りの横居家である。

 散歩かと構えるポテトをいなし、チャイムを鳴らす。訪問の目的はただひとつ、『お裾分け』である。

 親しくしている近隣の家に頂き物や収穫物、あるいは料理などを分け、差し上げる行為。

 ……実は、詩乃はこれにあこがれていた。

 お土産やもらったものを分けて持って行ったことは何度もある。が、料理となると貰う一方で。なにせ差し上げるほどのものを作れなかったので。

 だが、東に“肉じゃが”を教わった詩乃は変わった。なにせ東に“肉じゃが”を教わったのだ。教わった“肉じゃが”を何度か練習し、横居に『お裾分け』してもいい、くらいのクオリティを得た。

 人生初の、手料理のお裾分けである。

 ぱたぱたと音がして、

 「は~い」

 声が先行。そして扉が開く。

 「はいはい。…あら、詩乃ちゃん、ちょうどよかった。肉じゃが作ったんだけど、持ってく?」

 「……………」

 カウンターの倍返しをくらいました。しかも……

 「うっ、牛肉……」

 圧倒的な肉質の差に、敗北の味がした。


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