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夕星  作者: 矢玉
13/57

(教えて)


 それは、とある日曜日のこと。

 気持ちよく晴れていて、ひさしぶりに洗濯物が一気に片付いて。

 物干し竿をいっぱいにして機嫌良く庭から引き揚げてきた詩乃を、珍しく弟が待ち構えていた。

 「姉ちゃん」

 すわ小遣いか、と警戒する。

 こんな神妙な表情で頼みごと(推定)など、ゲーム機が欲しいと言ってきた時以来だ。まぁ付き合いもあるだろうし、たまにはいいかと許可したら二万円以上した。携帯ゲーム機で、だ。

 今度は据え置きか。三万越えか。バイトで少々うるおっているからといって気を抜く気は………

 「チャーハンの作り方、教えて」

 「だ……」

 とりあえず否定してから交渉しようとしていた言葉が止まる。

 「…?なんだって?」

 「だから。チャーハンの作り方」

 「…………」

 本年度中学生となった弟・湊には、小学生時代に料理を教えた。中学生になったら自分のことは自分で出来るように、と。

 ……かなりイヤイヤ従っていた覚えがある。その証拠に、隙あらばレトルトカレーかインスタントラーメン。せいぜいが、食パンに目玉焼きである。

 「どうしたの?」

 料理上手な男の子が好きというコでも好きになったのだろうか?

 「……この前作ったの、前のと違う」

 東にチャーハンを教わって以来、何度か家で作っている。アドバイスをもらったりして、今ではパラパラに近い。

 「それは、つまり……」

 以前の、味付けご飯の塊については忘れよう。あまりに気にすると、これから出す結論にちょっぴり腹が立ちそうだし。

 湊が言いたいのは、つまり……

 「チャーハン、おいしかったのね?」

 教わりたくなるくらいに。

 「………」

 沈黙は、雄弁だった。

 が、答えがわかったところで引くわけにはいかない。

 「おいしかったのね?」

 「………」

 是が非でも、言質を取らねば。

 「お・い・し・か・っ・た・のね?」

 「…………」

 攻防は五分ほど続き………湊が渋々頷くことで決着を得た。


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