第1話 始まりの始まり
初投稿お粗末さまです。丹精こめて書きました。
最後まで読んでくださるとありがたいです。
季節は早春。1時間ほど僕を乗せていた馬車は、プルトゥの森に入って45分ほどでおもむろに止まった。かすかに白くかたい地面を真新しいつやのあるローファーで踏みしめる。あたりには一面の針葉樹。光すらまばらだ。その中に、そのクラシカルな門はひっそりとたたずんでいた。
すぐに、僕と同行している燕尾服に丸めがね、白髪の感じのよさそうな老紳士が門にかかる重い南京錠と鎖を外してくれた。ギギーッ、と不気味な音がまだ涼しげな空気にこだまし、不協和音となる。門が開いた。老紳士は白手袋をはめた手を胸元に添え、
「では、私はここで失礼させていただきます。くれぐれもお体には気をつけて。では…」
とここで一旦切る。コホン、と小さく咳払いをし、すぐさまこう続けた。
「ようこそ、死の楽園 イニシィア学園へ」
ほんの僅かの心の引っ掛かりがなかったといえば嘘になるが、このとき僕は彼の言葉を全く気にとめようとはしなかった。僕は彼に向かって小さくぺこりと頭を下げ、門をくぐった。
傍から見ればなんてことない一瞬。しかし、それが誰かの人生を大きく変えることがある。
僕は後々、それを痛感することになる。