表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/296

第6話「冒険者ギルド」

いつもありがとうございます。ゆっくり進行です。気長にお付き合いください。

 ひとまず目指すは冒険者ギルドだな。


 レジェルとシーナさんと別れた俺は、大通りをぶらぶらと歩く。レジェルに示された港の方向だ。

 しばらく歩くと大広場に出た。大きな公園ほどはあろうか。円形に広がったそこには、多くの人が思い思いに過ごしていた。

 広場の真ん中は低いすりばち状になっており、底のステージでは、今は楽団がなにやら楽しげな音楽を演奏していた。小さな屋台でパンのような物を売る者。走って遊ぶ子供たち。

 こういった姿はどこも変わらないもんだな。

 増えた人波に怖くなったのか、クーちゃんがこちらの体を駆け上って肩にしがみつく。


 それで、かんじんの冒険者ギルドはどれだ? あれか?


 冒険者ギルドは大広場に面していた。剣と水瓶が描かれた看板がかかっている。

 鎧姿やフード姿などいろいろな人物が入れかわり立ちかわり入っていることや、パーティメンバーであろう集団が建物前で待っているのが見える。間違いないだろ。


 大きな斧を持った戦士が入っていく後について、俺もギルドの建物に入ることにする。

 見た目より広い建物だった。内部の感想は、銀行の窓口って感じだな。

 入ってすぐは椅子やテーブル、休憩できたり待ったりするスペースになっていて、奥に窓口が5つあるのが見える。窓口の奥が事務所になっているらしく、いろんな書類を持ってなにやらばたばたしているのが見えた。

 壁際はクエストボードになっているらしく、たくさんの依頼書らしきものがピンで留められている。


 お、あそこから剥がして窓口に持っていったぞ。なるほど、ああやって依頼を受けるのか。


 特に表記はないが、登録はとりあえず窓口か……?


 しばらく待つと窓口が空いた。きょろきょろとあたりを見渡してみるが誰も行く気配がない。

 行くなら今しかない。どきどきしながら俺は窓口に向かう。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。今日の御用は何でしょうか?」


 窓口では細い目をした男性職員が俺を出迎えてくれた。肩にしがみついたままのクーちゃんをちらっと見たが、何もいわず微笑みのままで待ってくれている。

 とりあえずもごもご言っても始まらない。今の俺の素直な気持ちを言うんだ!



「冒険者になって、お金を稼ぎたいです!」



「ありがとうございます。冒険者ギルドは皆様の登録で成り立っております。ただ、ご存知だと思いますが、冒険者という職業は命の危険を伴う場合が多々ございますが、よろしいですか?」


 うーん、それはつまり、俺が危ないことに向いてないよって言ってくれてるのかい?


「それでも、冒険者になりたいです!」

「冒険者ギルドは、冒険者に依頼を仲介し、仲介料をいただくことで利益を得ています。また、信頼と信用のため、冒険者ギルドの規則を守っていただけない場合は、退会していただくこともあります」


 窓口さん怖いっ!

 細めで笑ってる感じかと思ったけど、少し開かれた目がスッゲェ怖い!

 これはあれだな。ギルドの面子をつぶしたやつには容赦しないってやつだな。脳みそに刻んでおこう。


「無制限に登録できるわけではありません。冒険者に登録される場合は、いくつが方法があります」

「と言うと?」

「登録料を払っていただくか、登録試験を受けていただくかですね」

「登録料っていくら?」

「6000シームです」


 貨幣単位がわからん。

 そういやスライム玉があったな。これがいくらくらいするかちょっと聞いてみるか。


「こういうのがあるんだけど、これを換金したら足りるかな?」


 俺は懐からスライム玉を出す。窓口さんは細い目をさらに細くしてじっと俺の掌のスライム玉を見つめる。


「スライムの核玉ですね。これを換金されますとだいたいの相場で200シームぐらいでしょうか。当ギルドの換金商でよろしければ、奥の窓口をご利用ください」


 200か。それなりに高いと見るべきか……。スライムを30匹も倒せば登録できるってわけだが。

 ここはお金を温存しておきたい。試験を受けたほうが得策だな。


「試験を受けたい……です」

「そうですね。もしスライムを倒せる実力をお持ちなら、試験を受けていただいたたほうが良いかもしれませんね。それでは、お名前を頂戴してもよろしいでしょうか」

「マコトです。マコト・ミナセ」


 窓口さんが手元の書類に俺の名前を書き取る。これで試験申し込みが完了らしい。


「さて、試験のほうですが、東門から出てしばらく進んだところに迷宮(ダンジョン)があります。そこの1Fの採掘所で取れるマナストーンの納品です」

「マナストーン?」


 窓口さんはカウンターの下からペンダントを取り出す。これ、レジェルとシーナさんがかけてたやつだ。


「こちらですね。このギルド証はマナストーンで出来ております。マナストーンは倒した魔物のマナを蓄える性質があります。蓄積した量に比例して色が変わるので、この色で冒険者ランクを分けたりしていますね」


 へえ。同じネックレスを持ってたからぺアルックかと思ったけど、ギルド証だったんだな。


「マナを蓄積するって、いろいろ使い道ありそうですよね」

「ええ。買取もしておりますので、手に入りましたらぜひお願いします。これにて説明は終了です。3日以内に試験を達成してください」


 迷宮(ダンジョン)にマナストーン。ますますもって面白くなってきたな。準備を整えたら早速行こう。善は急げだ。


 俺は窓口さんにお礼を言うと、換金窓口でスライム玉を換金する。今需要があるらしく、窓口さんが言ってたより高めの240シームで買い取ってもらえた。

 天秤ばかりの片方にスライム玉、もう片方に500円玉サイズの金属の貨幣。これがシームか。色が2種類あるな。銀色が2枚、茶色がたくさん。たぶん銀色が100シーム硬貨ってことだな。

 初めての換金だったので小さな巾着のような麻袋をサービスでつけてもらう。財布代わりにすることにしよう。


 火の魔術も使えるからな、こんな試験1日で通ってみせるとしよう。


 俺は窓口さんの驚き賞賛する顔を思い浮かべ、にやにやしながらギルドを後にした。


 まずはこの金を元手に準備しなけりゃな。

読んでくださりありがとうございました! 更新は2日後の予定です!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ