猫耳日記プロローグ
とある放課後、俺は傘をさして雨道を通り帰る。季節は梅雨。ここ最近雨ばかり降って気持ちも億劫としてきた今日この頃。俺は家まで帰るとその前で立ち止まる。何故かというと見覚えのないダンボール箱が置かれておりその中に人が入っているからだ。
「なんだ、これ…。」
ホームレス?でもそんなことないよな。ホームレスでもいくらなんでもこんなところに住み着かないだろうし。俺は試しに声をかけてみることにした。
「お、おい、どうかしたのか?」
「にゃぁ…。」
はい?気のせいだろうか。今、猫の声が聞こえたのだが。周りを見てみると猫がいた形跡はないけど。
「えっと…。」
俺はダンボール箱の中にいる人に傘をさす。こんな雨の中傘も刺さずにずぶ濡れはさすがに寒いだろう。俺は声をかける。
「大丈夫か?」
「にゃ…」
うーむ、俺はついに耳がおかしくなってしまったのだろうか。いないはずの動物の声が聞こえるなんて。いや、家の中にはいるんだけど防音の壁を貫通するほどの大声なんて猫がだせるわけではないし。
「にゃ、にゃぁ…。」
目の前の子はそう弱々しく鳴いた?やっぱり目の前の子が言っていたらしい。でも、なんのためにこんなとこでこんなことしてるのかきになった。が、今はそういうことはどうでもよかった。俺は目の前の子の体に触れた。
「なっ!」
異常なほど彼女の身体が冷たかったのだ。驚いたのはそれだけじゃない。
「なんだ、これ…」
俺は驚いた原因であるそれに触る。
「ふにゃぁぁ…」
すると、目の前の彼女はくすぐったそうに震えた。そう、彼女には猫耳と尻尾が生えていたのだ。
「は、こんなことしてる場合じゃ!」
俺は急いで彼女を抱き上げて家に入れる。どうやら、気を失っているようだ。
「この子は一体…」
俺は猫耳の彼女を自分のベッドに寝かして暖かい格好にしてやる。すると、はらりと何かが床に落ちた。床に落ちた物を拾ってみてみると見覚えのある字と写真だった。紙に書いている文字を読む。
「えと、『猫の遺伝子と人の遺伝子を組み合わせたらケモミミっ子ができちゃった。てへぺろ。ということで、その子の面倒見てあげてねー!P.S.その子の詳しいことは後で電話するね。あと、その子の正体をほかの人にばらしたら死刑確定だよ☆』って、アホか!あの親は!」
俺はその手紙と親のピース姿の写真を床に投げつけた。
「死刑とか、勘弁してくれ…。」
俺の親はやるといったらやる。俺、紅楽葉 迅はこれからこの猫耳少女と死を隣り合わせにして生きなければいけないのだ。十七歳で死にたくなんかないぞ俺は…!