入学式
真新しい制服と慣れない通学路。
見知らぬ顔と久しぶりにくぐった門。
ここに来るのはあの合格発表に日以来。
あの時、携帯を握りしめながら、お母さんに報告したっけな。
あたしは、第一志望だった桜宮学園に無事、入学することができました。
見知らぬ人と場所ばかりのところで緊張していたせいか、あっという間に体育館での入学式は終わり、気づいたら1年4組の自分の席に座っていた。
きょろきょろとあたりを見回して、僅かにいるはずの知っている人を探す。運よく同じクラスになっていないかな…という淡い希望を抱いて。
同じ中学から桜宮学園に入学したのは、あたしを含めて3人だと聞いている。あたし、青木芽乃と幼馴染の栗原奏、あと顔見知り程度の神谷夢菜ちゃん。
夢菜ちゃんとは、一度も同じクラスにならなっ方から願書を出しに行くときに少ししゃべった程度の仲。いつも輪の中心にいる、リーダー的存在なんだと思う。
奏とは、幼稚園から、ついには高校までもが同じな幼馴染。家も隣で、親同士も仲良くて。
_______それにあいつは、あたしの初恋の人。
「よっ、芽乃!」
「え!?奏も4組だったの?」
「そうみたい…だけど?」
「そっかー。1年間よろしくね!」
「おうっ」
奏が笑いながら、あたしに話しかけてくれる。
それだけで心臓がどきどきと跳ね上がる。
月日を重ねるごとに、だんだんと大きくなっていくこの気持ち。
“好き”と伝えられたらいいのに。
そう伝えられないあたしは、ただの臆病ものなの。だって、もし告白に失敗してしまったら、もう“幼馴染”には戻れない。
だからあたしは、この関係に甘えているんだ__。
「青木芽乃です。部活は運動部のマネージャーをやってみたいなと思ってます。よろしくお願いします!」
パチパチパチパチ
40人弱いるクラスの中で自己紹介をする。