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あの日のこと
「あっ、あった!」
「ほんとっ?」
「うん!奏くん、見て?」
小さな芽乃の手のひらの中に収まる、ひとつの“幸せ”の形。
「いいなぁ、芽乃ちゃん。僕のもないかな?」
「芽乃が探してあげる!」
「ありがとう、芽乃ちゃん」
青い青い空の下。
見渡す限り広がる緑色の草原。
辺り一面を埋め尽くすクローバー。
少し離れたベンチに向かって、芽乃が手を振ると。優しく微笑みながら手を振りかえしてくれるお母さんがいる。奏くんのお母さんは日傘の中から、ちっちゃくてを振っている。
「奏くん!奏くん!」
「どうしたの?」
「ほらっ」
芽乃が指差した先には、ひとつのクローバーがある。それを奏くんがそうっと摘み取って。2人で嬉しそうに手の中の四つ葉のクローバーを見せ合った。
「これで2人で幸せになれるかな?」
「きっと、なれるよ。芽乃、奏くんのこと、だーいすきだもん!」
「じゃあ、大人になったら、僕と結婚しよう?」
「芽乃、奏くんと結婚する!」
「じゃあ、指切りね?」
指切りげんまん
嘘ついたら
針千本
飲ーます
指切った…………