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1話
“ズシャ”
「や、やめてください!も、もう…。」
「ごめん無理」
いつも私はこの状況を見ると笑ってしまう。
おかしくなってしまう。
いつも可愛い真宏がこんなことを言っているのだから。
「明日君の家放火してあげるから。」
しかもニコニコしながら。めんどくさい…。
「もう、いいよ。帰るわよ。」
「はーーい!」
終ったあとはまた普通の真宏に戻る。
夕焼けの空も輝いていない。なんていうか、血のようだ。カラスの鳴き声は叫び。
この地球すべてが狂ったようだ。
「真宏ー?」
真宏にそう呼びかけると笑顔で振り向く。
「なーーあに?」
そんな顔を見ながら私はいつも無表情で言う。
「収入6割は私のだから。」
「分かってるよ。」
だいたいこの話をするときは必ず不機嫌になる。それを分かっていてやる私もどうかと思うが。
「分かってればいいのよ。」
真っ直ぐに続く道の先をただただ見つめ私達は研究所へと向かった。