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河童とトラブルメーカー

特にないです!感想とかお待ちしております!

 あのカレー事件から3日・・・。

 1日入院するだけで大丈夫だったわけで一大事にはならなかったわけです。ホントそういうのは勘弁してほしいです。

「おっ、太一。帰ってきたのか」

 声のする方に立っていたのは104号室の夢宮(ゆめみや) 佐助(さすけ)さん。長髪で帽子がトレードマークの好青年。好青年って言っていいのかな?アパートの知らない人の中では最初に声をかけてくれたあたり、良い人なんだろうと思う。

「はい、ご心配おかけしてすみません」

「いや、いいんだ。たしか朝霧の───あぁ、お前も朝霧だったか。まぁ、いいか。女のほうの朝霧の食材が悪かったんだって?あいつのことだからまた腐ったもんばっか冷蔵庫に入れてたんだろうな。まぁ、なんだ。次からは気を付けるんだな。カレーが旨くても食材を見極められなきゃ料理人にはなれないぜ」

 いやぁ、僕はそこまで目指してないんだけどなぁ・・・って、あれ?なんでカレーが旨くてもって、なんで僕のカレーの味知ってるんだろうか?・・・もしかして?

「あのぉ、佐助さん?もしかしてなんですが僕のカレー食べましたか?」

 佐助さんに恐る恐る聞いてみたら、案の定

「あぁ、食ったぜ。もったいなかったからな。俺は体がちょっと丈夫だから、その程度じゃあ腹痛なんて起きないんだ。なんかまずかったか?」

「いえ、全然いいですよ。あれをよく食べようと思いましたね」

「んん、腹が減ってたからな」

 そうだったんだ。それって丈夫ってレベルじゃないと思うんだけどなぁ。あの裕子さんでさえ倒れたのに。

「あと、悪いがほかのことにも使わせてもらった」

「ほ、他のこと?」

 なんだ、気になる。でも、すぐにその疑問は解決された。

 103号室のドアが思いっきり開いた。

「ちょっとぉー!!佐助ぇー!!このカレーってもしかして例のカレーじゃないの!?なんか腹痛がするんだけどぉ!!」

「おぉー、おみごと正解ー」と興味無さそうに佐助さんが答えた。仕組んだのは絶対佐助さんだけど。

「ねぇー、俺に何の恨みがあるの!?さすがに今回のいたずらはひどすぎるよ!裕子さんと新住人くんが倒れたカレーを食わせるなんて!作って余ったカレーってのも嘘なんでしょ!?」

「嘘じゃねぇだろ。なっ、太一」

 残ったカレーだから、あながち嘘じゃないけど。まぁ、いつものことだから気にしないんだけど。

 この人は(いかり) 洋一(よういち)。大学生らしい。金の短髪だけど色はあくまでイメージカラー。不良ではないです。

「ねぇ!?ここに俺の味方はここのアパートにいないの、ねぇ!?俺は悲しいよ!もう実家帰っちゃうよ!」

「はいはい、ご自由に~」

「あぁ~!そこは引き止める場所だって~!」

 ホントに年上なのだろうか?まぁ、一応年上なのだろうけど。何というかまってちゃんなんだ!

 「帽子盗ったぁー!」と洋一さんが佐助さんの帽子を盗って高らかに宣言した。

 それを獣のように追う佐助さん。

 でも長くは続かないだろう。なんせこの暑さだ。

 ──予想通り勝負はすぐついた。佐助さんが倒れて。

 ちなみに今ここは佐助さんの部屋である。

 洋一さんは外で反省をしている。何故俺よりも長くここに住んでいてそういうことにさせるのだろうか・・・。よくわかんない。まぁ、あの人がバカなんだろうな、きっと!

 実は佐助さんは河童なのである。もう一度言おう、河童なのである。

 特に皿がわけでもないし、肌が黄色いわけでも無い。いたって普通の人間である、見た目は。

 だが、力は人間の何倍もの力を持っている。それでもアパート一は裕子さんだけど。河童より強いってどういうことだよ・・・。

「・・・・・・・あぁ、どこだ?」

 佐助さんが目を覚ました。

「あなたの家ですよ。覚えてません?帽子とられて寝込んでたの」

 佐助さんは手を額に当てて状況を把握しようとしたがすぐ終わった。

「あぁ、全部思い出した。また熱中症かなんかで倒れたんだな」

「そういうことです」

 いい機会だし前から気になってたことを聞いてみようかな。

「河童って頭の上に皿があると思ってたんですけど、あれって言い伝えだけで実際はないんですか?」

「もう河童の頭に皿があるなんて時代遅れだぞ」

 えっ、時代遅れなの!?

というかそんな理由で取っちゃっていいものだったんですか!?

「まぁ、いつまでも同じ格好とはいかないってことさ。人間だってずっと江戸時代の格好してるわけじゃないだろ?つまり、そういうのと一緒なのさ」

 なんかむちゃくちゃだけど僕は強引に理解しようとした。

 妖怪とかにもそういうの通じるんだな。

「佐助さんは何年くらい生きてるんですか?妖怪ってことはもう結構長く生きてるんですよね?」

「どのくらいだったか・・・・、五十年以上は生きてるはずなんだが」

 そのくらい生きててその身体ってことは100年近く生きそうだな。

 寿命があるかはわからないけど。

「太一、ここにいるのか?」

 思いっきりドアが開き、裕子さんが入ってきた。

「これくらい食材があれば大丈夫か?」

 そうだった。僕が退院する時に買い物に行ってくるって言ってたんだ。

「はい、ありがとうございます」

「まさか、腐ってるもん買ってきてないよな?」

と佐助さんが冗談を言ったのに

「あぁ、もちろんだ。スーパーに売ってるものが腐ってるわけがないだろ」

と裕子さんが返したが、なんか心配になった。

 裕子さんに食べ物を腐らせる能力とかがあるわけじゃないけど。

「今日は何を作るんだ?」

「えっ、今日も食べるつもりですか!?」



そういえば部屋に帰る途中に「大将、今日のバイト休ませてくださ~い・・・・」と隣でなんかかわいそうな声が聞こえてきたけど・・・・、聞かなかったことにした。

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