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一本目「悲劇はある朝突然に」

今日も爽やかな朝が来ました。

部屋の窓からは外の光が差込んでとても眩しいです。

僕の名前は坂井ノリオ。めちゃくちゃ平凡な名前です。好きな食べ物はカレーライス。飲み物はペプシコーラ。嫌いなものは特にありません。


だけど今日は僕にとってただの朝じゃないよ?

何しろ今日は待ちに待った学園の入学式!これから僕の輝かしい学園生活が幕を開けるワケです!

さぁぐずぐずはしてられません!あまり寝ていたらバスに間に合いません!

「ふぁぁあ〜!」

僕は一つ大きなあくびをします。そうです。これから僕の輝かしい学園・・・

《がさがさ・・・》

生・・・活・・・?

「・・・・?」

今ナニカ動きました。僕の横で。ていうかなんか横がアッタカイ。

「ちょっと・・・これ何・・・?」

恐る恐る自分の横を触ってみると何か固い感触。

「・・・・広辞苑・・・・」

「イヤーーーー!!!」

僕はベットから転げ落ちました。床に尻餅をついてケツをおさえます。

<今なんか言ったヨ!寝言とは認めたくない言葉ダヨ!>

僕はそーっとベットの上から明らかに盛り上がっている場所を覗き込みます。

「あ、あのぉー!」

僕は傍にあった孫の手でその部分をつっつきます。するとその物体は少し動きました。

「お、お母ーさん!!お母〜〜さんっ!なんかいるよ!変体だよ!警察呼んでっ!消防車も!」

僕はその人らしき形をした盛り上がりから目を離さずに叫びます。

だけど下からは返事がありません。まさか・・・。まさか・・・・・!!

《ドン!ズドドドドドド!》

僕は部屋の扉を思いっきり開けて階段を転げ落ちるように降りていきました。

「母さ・・・・!?」

僕が駆け込んだリビングには母さんの変死体も父さんの惨殺死体もありませんでした。そもそも人を殺した犯人が僕のベットで一晩中添い寝なんてするわけがありません。

「電話っ!!」

僕はリビングのカウンターの上に置いてあった受話器を取ります。

「ええっと・・・警察って何番だっけ・・・!」

動揺している僕は警察の番号すら記憶にありません。とりあえず二三度間違え電話をしてしまいましたがようやく警察の(110)を押すことができました。

『トゥルルル・・・・』

そして人の声。

『もしもし、こちら警察ですが・・・』

「あのっ!すいません!ウチに変体が一匹迷い込んできました!すぐ・・」

『只今留守にしております。ご用件のある方はピー・・・』

「ンナアホナー!!!留守にする警察がどこにおんじゃ〜!!このクソポリ公がぁぁ!!」

《チョンチョン》

「うっせー!!今度ぁ自衛隊にかけてやらぁ!さすがに留・・・」

「もしもし?」

僕は後ろから声をかけられたことに気づきます。

「はっ!誰!?」

そこにはまだパジャマ姿の男の子が立っていました。背は僕よりもはるかに小さくまだ小学生って感じです。

「っていうかここ危ないよ!?変体が二階にいるしもうすぐ自衛隊の一師団来るからさ!」

「自衛隊来るの?」

「そうっ!留守でなきゃね!」

「そんなあせらな・・・」

「ええっと!番号わかんねぇよ!ていうか電話帳に【自衛隊】って項目があんのかどうか疑わしいよ!」

「ここがいちばん近いんじゃない?」

そういって側にあった地球儀を指差します。

「えっ!?どこどこ・・・・!ってここアメリカ合衆国って書いてあんじゃん!そりゃ【軍隊】だよ!ここの国潰すつもりですか!?」

「アメリカを馬鹿にすんじゃねーよ!!」

子供が僕を急に睨み付けます。

「えっ!?なんで逆切れすんの!?」

僕は横の地球儀を見て思います。地球って、広いんだね。

「もういいっ!そんなら隣の【山田さん】にかけるよ!」

そういい捨てて僕は山田さんの家の電話番号を押します。

『トゥルルル・・・』

「早く出ろよぉ!」

『トゥルルルルブチッ!!』

「えぇ!?」

今電話がよく分からない音で切断されました。

「な、なんでぇ!?」

そしてふと横を見ると・・・

「なんで切ってんの!?電話線切ったの!?」

横にいた子供が千切れた電話線を持ってニッコリ。

「何ニッコリしてんの!?なんで電話線千切ったの!?直し・・・」

《ズドン!!》

「うわっ!」

目の前に何かの破片が飛び散りました。思わず目を閉じてしまします。

《パラパラ・・・》

何かが床におちる音がしました。僕は恐る恐る目を開けると・・・

「ヴァー!!!」

そこには無残にも粉々になった電話機。もはや原型を留めていないその物体は子供の手から破片となって落ちています。

「なんてことしてくれるの!?ていうか君何!?恐ろしい演技見せないでよ!」

「僕が誰かって?そんなに教えてほしいなら・・・」

「あぁいいよいいよ!さっさと家出てってよ!どうせ寝ぼけてきたんでしょ?」

僕は子供の台詞を途中でさえぎってさっさと帰るようにいいました。でもその瞬間、子供の目つきが変わって。

「うっせーんだよ!!!黙れこのD級野郎がぁ!!」

そういって眼の前にいた可愛らしい子供は右手で僕を殴りつけます。

「ボベッ!!イ、痛ァァ!!」

僕は左の頬に右ストレートを喰らい、ドチャッっとぼくは床に頭から着地します。というか何という力でしょう。顔が変形したような気がします。

「な、なにすんのさぁ!?」

「・・・えっとー」

「なにもじもじしてんのさ!ホラ!こっち向けよ!まったく今日はなんて朝だっ!」

僕はダムッっと床をふんずけます。そしてどこからか音がしていることに気づきます。

《ジリリリリリリ・・・・》

<この音は・・・>

「しまったぁぁぁぁ!!」

なんてことでしょう。念のために僕がバスの時間に遅刻しないようにバス出発の10分前に設定してあった目覚まし時計が音をたてているではありませんか!

《ズドドドドド・・・・・ドドドドドドドズ》

僕は二階に猛スピードで上がっていき、猛スピードですぐ戻ってきました。僕はハァハァ息を荒げながら。

「い、いないっ!あの添い寝変態がいない!」

「添い寝・・・・?」

横で僕の独り言を聞いていた子供が不思議そうに言います。

「そう!消えたんだよ!まったくあのゲイ・・・」

「あぁそれなら僕だよ?」

僕は耳を疑います。

「・・・なんだって?」

「それ僕だよ?」

「・・・なんだって?」

「それ僕だよ?」

「なんだブベェ!!」

右ストレートが飛んできました。





《ドバンッ》

僕は家の玄関の扉を蹴るようにして開けて外へ飛び出しました。

「遅刻しちゃうよ・・・・!」

全速力で住宅街を駆け抜けます。あと5分でバス停に着かないと確実に遅刻です。入学式早々そんなマネはしたくありません。

「ねぇねぇ、どこにいくの?」

「学校・・・・って君またいたの!?さっさと・・・って早いよ!なんで僕の方が遅いの!?その体型でそのスピードって気味悪いよ!」

あの変態小僧はまだ僕について来ます(猛スピードで)

「この変態がぁ・・・!」

歯を食いしばりながら走る僕を横に変態小僧は楽々と涼しい顔をして走っています。

「よしっ!ここを曲がればすぐバス停だっ!」

そう言って僕は住宅街の曲がり角を曲がります。続いて変態坊やも。

「やばっ!バス来てるよ!」

バス停ではバスがすでに出発しようとしていました。

「まってくださ痛ァっ!!」

僕の声は痛々しい叫び声でかき消されました。

「いっちゃだめだよぉ!」

「離せッ!足を持つなァ!」

僕の足には駄々をこねるように変態小僧がまとわりついていました。ぼくはそのせいで転んでしまったのです。

「離せッ!離さネェとぶっ殺すぞ!」

もはや僕は狂気と化していました。

ですが狂気を制するには狂気で制するしかありません。つまり変態坊やの勝ちです。



「あぁ・・・行っちゃった・・・・!」

わずか3秒の間に卍固めをされて僕はノックアウト。バスは行ってしまいました。

「あーあ」

「あーあじゃねぇよ!行っちゃったじゃんか!?バス行っちゃったよ!?どうすんの!?僕!」

「えっと・・・ペプシ飲む・・・?」

そういってその子はどこからかペプシを取り出します。青い爽やかなパッケージが疲れた僕の心を少し癒すような気がします。

「うん・・・なんか納得いかないけど・・・」

そう言ってぼくは少年からペプシを受け取ります。

「ッテ何コレェ!?ヌルイヨ!?むしろ熱い!どこから取ってきたのこんなもん!」

「ここ」

そう言って少年は近くにあった自動販売機の・・・・取り出し口を指差しました。

「テメェッ!そりゃダメだろうが!知らないの!?そういうのって毒が入ってるんだよ!?」

「・・・・・・・」

すると少年は黙って下を向いてしまいます。少し酷かったかな・・・?

「あ、あの・・・御免よ?ホラ、泣かないでブバァァ!」




「はぁ〜・・・・」

僕はリビングのソファーにドサッと座って深いため息を吐きました。

あれからなかなか止まらなかった鼻血をようやく止め、家に帰ってきたのは昼間の10時。もはや学校に行くのは今日はおあずけです。

「いったいどうすればいいんかな・・・・」

僕は家に帰ってきてからずっと冷蔵庫をあさっている少年を横目に言います。

警察に言ってもいいものでしょうか。でもそうしようものならあの子に殺されてしまう可能性も有り得ます。

ここは大人しく出て行くのを待っている方がいいのかもしれません。でも僕の両親は朝からどこに行ってしまったのでしょう?いつもならリビングにいるハズなのに。

それよりもまずあの子の素性を知るべきではないでしょうか。そうです。それが先決です。

「ねぇボク?君の名前は?」

すると冷蔵庫をあさっていた手が止まりました。

「ペプシマン198世」

どうやら頭は思った通りです。

「ペプシマン・・・?それってあの銀色の・・・」

「あぁアレ?あれは僕の友達の親の友人の親戚だよ?」

「・・・要するに遠い関係なんだね?」

《ガチャガチャ》

さっきから冷蔵庫ばかりあさって何をしているんでしょう。お腹が空いているようにも見えませんし。

「あったー!」

そう言ってアイテムを手に入れた!みたいな格好で僕に見せたのはペプシコーラ。

「ソレを探してたの・・・?」

「ウンッ!僕これ大好きなんだー!」

そう言って少年は栓をガシュッっと開けて口の中に流し込みます。

「すごい飲み方・・・」

僕はその豪快な飲みっぷりにびっくりします。

「プハー!!ウンメー!」

「あの・・・それでよろしかったら君はなぜここにいるのか教えてくれるかな?」

すると少年はペプシをまたガボガボ流し込み答えました。

「えっと・・・坂井マスオクンだっけ・・・?」

「チゲーよ!マスオってなんだよ!あんなに嫁姑の間に挟まれてストレス溜まってそうな人に見える!?」

「あ、じゃぁせっかくだからマサオ」

「じゃあってなんだよ!それにせっかく!?ノリオだよ!ノ!リ!オ!」

僕は空にカタカナでノリオと書きました。

「ノリオ・・・・?」

「そうっ!」

「んでノリスケ君!僕がここに来たワケはねぇ!」

もう名前の誤字脱字は気にしないことにしましょう。僕はいつまでたってもヒラ社員。

「君と一緒にペプシの世界を救うためだよ!」

「ペプシ・・・・・・僕ももらっていいかな・・・?冷えたやつ」

「ウン!」






「要するに・・・こういうワケだな?」

僕は少年から聞いた話を頭の中で整理します。

どうやら今、少年の住んでいるペプシの世界は戦争で負け、隣国のコカ国の統治下にいるそうです。

コカ国はいい国なのですがコカ国の法律には『国民はコーラ以外飲んではいけない』という法律があるそうです。ペプシ国やコカ国もジンジ国も飲み物だけで生きていける人たちがいるそうです。

だから固形物を食べなくても生きていけるそうですがペプシ国の人々はみんなコカコーラが苦手。とても三食コカコーラは耐えれないそうです。

そんなワケで現在のペプシ国はとてもお腹が空いているそうです。

「・・・んで、この僕にペプシ国を救ってくれと?」

「んっんっんっ・・・そうだよ!頑張ってね!」

少年は5本目のペプシに突入します。

「えっと・・・その前に君の名前を・・・ってアレか、ペプシマン198世か・・・でも呼びにくいよ。非常に。何かあだなとか無いの?」

「みんなからはボスって呼ばれてるよ?」

「ふ、ふーん・・・えっっと・・・ボ・・・ス・・・って言いにくいよ!なんかメッチャ抵抗ある!」

「おいサブ朗!例のモン持ってこい!」

少年は眉間にしわを寄せてすごみを聞かせて言いました。

「へ、ヘィッ!只今、ボスっ!」

「あはは!オモシロ!」

「って何言わせんじゃーコラ!っていうか今のはボスじゃなくて親分のほうが妥当じゃない?」

「どーでもいいんだよ!コノ萎え《ピー》」

「ちょ・・・!だめだよ!そんな卑猥な言葉使ったら!これたぶん純粋な人も多少見てるよ!?」

「え??」

少・・・いえ、ボスと呼びましょう。少年とタイプするのはメンドクサイです。ボスは首を傾げました。

「実はこの物語は全てノリオ君の夢の中での・・・・」

「言うなよ!っていうか嫌だよ!そんなバッドエンディングは!」

「恥ずかしがっちゃって」

もうついて行けません。





「痛ァァァァァァァッ!!!!」

僕の家に裂けるような叫び声が響きます。そしてその通り今僕は裂けそうなのです。

「もうちょ・・・っと!足開いて・・・!」

「ヤメテヤメテ!!!股が裂ける!なんでそんなに開くの!?もう180度以上になりそうだよ!?」

「あと・・・半分・・・!」

「オホホホイ!!それじゃ折りたたんじゃうよ!」

「じゃぁ降参?」

「降参降参!!!大本営発表しちゃってもいいからぁ!!」

・・・なぜこんな悲惨な事になっちゃったのか、説明しましょう。



ー10分前ー



「ねぇ、じゃぁ早速ペプシの国に行こう!」

「まってよ、それには色々と準備があるでしょ?っていうかペプシの国ってどこから行くの?」

あれからなんだかんだあって自分の身の危険を感じた僕は大人しくボスの言うことを聞いてペプシ国に行くことにしました。

「えーっとねぇ、結構身近なもんだよ」

「クイズかよ・・・。ん〜。身近なものかー。それってどんなの?」

「穴」

「穴?ん〜、マンホール?」

「違うよバーカ」

「えーっと・・・トイレの穴?」

「じゃぁ行ってくれば?」

なんでしょう。身近で「穴」そうとしたら・・・あそこもありなのでしょうか・・・?」

「肛門?」

「じゃぁ行ってみよー!!!」

「え?って何すんの?ちょ!僕の足をそんなに広げて・・・!イタァァァァ!!!!」



ー10分後ー




「イタタタ・・・・!」

僕は股関節を押さえながら悶絶しています。もうバレエでもなんでもできそうな気がしてきます。

でも僕に安穏の時は訪れませんでした。

「さぁ行くぞー!!!」

「ヴギャー!!!」

ボスは僕の片足を掴んで家の中を玄関まで激走。ボスは靴をはいてまた再開。

「イアタタタタタタ!!足離して!頭アスファルトに擦れて熱くなってるよ!!」

ボスは僕の声に耳をまったく貸さずに激走!激走!そしてしばらくして僕がさんずの川を見始めた頃、やっと止まりました。

「ホラ起きたぁ!入り口に着いたよ!」

僕はそのコトバで川の向こうで手を振っていたおじいちゃんに別れを告げ、生き返りました。

「ど、ドコッ!?」

「ここだよ〜!!」

そう言ってボスが指差した先は・・・・マンホール。

「当たってたじゃん!さっきの正解だったよ!僕!なんで嘘つくの!?」

「そんなこと知りませーん」

こいつはいつかシバキます。絶対。

「さぁいくよー!!」

そう言ってボスは大きく息を吸い・・・

「開けーーー!ペプシ!」

《・・・・・・・・・・・》

「・・・・と、いうパフォーマンスもあるというワケで・・・」

結局マンホールの蓋はボスが力ずくでこじ開けました。恐るべし。ペプシマン。

マンホールの中は不思議な事に水の音が聞こえてきませんでした。やはりあるのでしょうか。ペプシ国は。

「さぁ・・・!行ってこーい!!」

《ガスッ!》

「ドワー!!!」

僕は漆黒のマンホールの中に蹴り落とされました。



さて、これからどんな冒険が始まるのでしょうか。

ノリオとボスの冒険はまだ始まっていません。これから始まります。

でもそれはまたの次回に・・・。

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