表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI勇者は諦めない  作者: ゼロスキルのAI使い
王都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/55

第51話「評価」

評価は結果よりも、次の扱いに現れる。



王宮での任務が一区切りついたあとも、私の一日はすぐには変わらなかった。


巡回に同行し、報告をまとめ、配置の確認を行う。

護衛という役割は続いているが、空気は明らかに違う。

緊張が抜けたというより、張りつめる理由が一つ減った、そんな感覚だ。


呼び出しを受けたのは昼過ぎだった。

場所は前回と同じ、装飾の少ない部屋。


王女エリシアが席についている。

近衛兵が二人、壁際に立っていた。


「座ってください」


促され、私は椅子に腰を下ろす。

形式ばった場ではないが、私語を交わす雰囲気でもない。


「今回の護衛任務について、正式な評価を行います」


言葉は淡々としている。

だが、内容はすでに決まっているのだろう。


王女は書類に目を落としながら続けた。


「未然防止、即応、被害抑制。

いずれも問題なし。

判断も適切でした」


評価は短い。

過不足がない。


「記録上は、それで十分です」


私は一度、頷いた。

それ以上を求める理由はない。


「今後についてですが」


王女が顔を上げる。


「引き続き、王都での護衛任務に関わってもらいます。

ただし、これまでのような緊急対応ではありません」


平常業務への移行。

それは、信頼が前提にある配置だ。


「異議はありますか?」


「ありません」


即答する。

考える必要もない。


王女は小さく息を吐き、視線を和らげた。


「……助かりました」


その一言は、評価でも礼でもない。

ただの事実確認のようだった。


部屋を出ると、王宮の中庭が見える。

昼の光が、石畳を照らしている。


私は足を止め、しばらくその光を眺めた。


何かを成し遂げた、という感覚はない。

だが、押し潰されていた重さが、少しだけ軽くなっている。


『今後一週間の危険度、低下』


数字が示す通りだ。

だが、それ以上に、周囲の人間の動きが変わっている。


視線が柔らかくなり、言葉が簡潔になる。

必要以上に構えなくていい。


その変化が、妙に懐かしかった。


宿へ戻る道すがら、私は歩調を少し緩めた。

急ぐ理由が、今日はない。


風が頬に当たる。

冷たくはない。


絶望の中で、ただ耐えていた時間があった。

今は、そこから少しだけ、前を向いている。


理由は、まだはっきりしない。

だが、悪くない兆しだ。


私はその感覚を、無理に整理しないまま、歩き続けた。





【あとがき】

今回は、任務後の評価と、空気の変化を描きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ