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AI勇者は諦めない  作者: ゼロスキルのAI使い
王都編

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50/55

第50話「区切り」

終わったと判断される時、すべてが終わっているとは限らない。



王宮内の動きが、落ち着きを取り戻し始めていた。


巡回の間隔は通常に戻り、回廊に立つ人数も減っている。

あの緊張が嘘だったかのようだが、実際に何も起きていないだけだ。


私は報告のため、指定された部屋に入った。

装飾の少ない、実務用の空間。


近衛兵と数名の関係者が揃っている。

王女エリシアは、席にはいない。


「今回の件について確認する」


淡々とした声で、話が始まる。


実行犯は捕縛。

動機は不明。

背後関係は特定できず。


「組織的関与の可能性は否定できないが、現時点で断定はしない」


その言葉に、誰も異議を唱えなかった。

事実として確定できるのは、そこまでだ。


王妃暗殺事件との直接的な関係についても、同様だった。

線は繋がらない。

繋がらないまま、保留される。


私は壁際で話を聞きながら、必要な情報だけを整理する。

解決したこと。

解決していないこと。


『未確定要因、継続監視推奨』


それ以上でも、それ以下でもない。


「護衛任務についてだが」


話題が切り替わる。


「今回の対応をもって、任務は完遂とする」


その言葉は、静かに告げられた。

達成感を煽るような響きはない。


私は一度、頷く。


「評価は内部記録に残す。公表はしない」


当然だ。

この件は、表に出る性質のものではない。


「以上だ」


短い確認で、場は解散となった。


部屋を出ると、回廊の窓から光が差し込んでいた。

王宮内の人の動きも、いつもの速さに戻っている。


平穏が戻ったように見える。

だが、それは一時的なものだ。


捕まえたのは、実行役に過ぎない。

背後に何があるのかは、まだ分からない。


それでも、区切りはついた。


護衛任務は、完遂した。

そう扱われる。


私は一度だけ足を止め、王宮の中庭を見下ろした。


静かな風が吹いている。

何も起きていない。


今は、それでいい。





【あとがき】

今回は、護衛任務が一区切りとされるまでを描きました。

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