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気づいた頃には東京にいた

作者: 鈴木螺旋
掲載日:2025/11/13

ある日高崎駅に向かおうと新幹線に乗っていた田舎者の俺は、なぜが気づけば東京にいた。寝落ちしたのだ。

相変わらずバカな自分に呆れていると、そこには驚くべき景色が広がっていた。田舎しか知らない俺は凄すぎる東京の街並みに大興奮!

高崎に行かなければいけないことを思い出したが、少し

東京を堪能してからにしようと思う。

初めての都会に田舎者はどのような反応をするのか?

俺はさっきまで新幹線に乗っていた。

確か、新潟駅から乗って長岡駅を過ぎたあたりから

寝てしまった。 高崎駅で降りようと思っていたが、

目が覚めた頃には間新幹線が東京駅に着こうとしていた頃だった。正直今、かなり焦っている。

しかし焦っていても仕方ないのでとりあえず駅の改札を出てみることにした。するとそこには俺には信じられない光景が広がっていた。


タタンタタンと響き渡る電車のジョイント音、

信号が青になったのと同時に歩き出す大量の人、

止まらない車の流れ、見渡す限りの高層ビル、

そして何より、可愛い子が多い。

「本当に日本なのか」つい口から漏れてしまった。

都会の人にとっては当たり前の光景かもしれないが、

田舎に住んでいる俺にとってはまるで別世界だ、

実際、改札から出た瞬間は本当に別世界だと思ったほどだ。


しばらく東京駅周辺の大手町辺りを探索した後、再び東京駅に戻ってきた。なぜだろう、最初に東京に来てしまったことを知った時はあんな焦っていたのに、今ではかなり楽しい。

そんなことを思いながらホームに上がるとここでも

また驚いた。「長すぎる」とつい口にしてしまったそのホームは、とにかく長すぎるのだ。

ホームの一番端にいるわけでもないのに反対側の端が見えない、つまりこれほど長い電車が来るということだ。衝撃を受けながらホーム上を歩いていると、

今度はホームで流れた放送に驚いた。

「10番線に参ります電車は短い10両編成でーす。」

えっ!?短い10両編成ってなんだ、全然短くねーじゃねーか・・・ そう思った理由は簡単、俺の地元ではたった数両の電車が走っているからだ。

「10両が短いなら長いのはどのくらい行くんだ?」

そう思った俺は長い両数の放送を聴くべく、ホームにしばらくいた。するとまたまた驚きの放送が・・・

「次の電車はー長い15両編成で参りまーす。」

嘘だろ、15両ってマジかあの鉄道車両が15個も繋がってるかよ、この世界怖い。

と、電車を眺めていると2階建ての車両があった、

調べてみるとあの車両はグリーン車というらしい。

とても静かで揺れの少ない快適な車両で乗るには

特別料金が必要らしい。2階建てなのは定員を増やすためとも載っていた。


ここであることを思い出した。高崎駅に戻らないといけないことだ。本来俺は高崎駅で降りる予定だったのが寝落ちしたせいで今ここにいる。気づけばかなり時間がたっている、今からでも高崎駅に戻らなけば。

鉄道のことは全くと言ってもいいほど知らないので、

スマホで調べなければ帰れない。

ヤ、ヤバい・・・スマホのバッテリーが切れていた。

そういえばグリーン車のことを調べた時にほぼバッテリーが残っていなかった記憶がある。

俺は呆然と立ち尽くした。いや、まだ方法はある。

駅員に聞けば何とかなる、俺はそう思った。

聞いたところ、とき、たにがわ、はくたか、あさま、

の新幹線なら高崎駅に行けるらしい。

「多めに金持ってきておいてよかったな」と

自分を慰めるように言った。確かにここで金がなかったら俺は終了だ。東京でホームレスになることになるとまではいかないと思うがとにかく危なかった。


そんなことを思っているうちに新幹線ホームに着くと、多種多様な新幹線が止まっていた。緑色の新幹線には、はやぶさ25号新函館北斗行と書いてある。たまに聞く東北新幹線とはこれのことだろう。他にも赤色や紫色、青色の新幹線まである。今まで上越新幹線しか見てこなかった俺にとっては神秘的に見えてくる。

おそらく青い新幹線に乗れば高崎駅に行けるらしい。

「22番に参ります電車は、折り返し15時04分発あさま617号長野行です」という放送とともにその青い新幹線はホームに滑り込んできた。つまり「これに乗れば

高崎駅に行ける」ということだ。


無事に新幹線に乗車してから25分、大宮駅を出発して

少し時間がたった。ここまで来ると先ほどまでのビル群の中を走っていたとは思えないほど街並みが変わり、辺りは一軒家の住宅街や田んぼが見え始めて来た。どうやら大宮駅を境に都会から離れたらしい。

先ほど停車していた大宮駅は埼玉県最大のターミナル駅で、利用者数は埼玉でダントツで一番らしい。

そのため、大宮駅の駅前は大都会と言えるほど栄えているが、その繁華街を過ぎると、だんだんと田舎に入っていくというところだ。


新幹線はあれから、熊谷、本庄早稲田と停車していき次が目的地の高崎だ。「ようやく着いた」まさにその言葉しか見つからなかった。しかし今日は寝落ちしてしまったせいでかなり遠回りで時間がかかってしまったが、いい体験ができたと思う。東京なんてこれからの人生でも行く機会があるか分からないし、意外な方法で都会の経験もできたからだ。


新幹線から降りてホームから伸びるエスカレーターで新幹線乗換改札まで来た。そして改札を出ると、俺は目を丸くした。高崎駅が想像以上にデカいからだ。

「高崎駅って群馬だよな・・・」

群馬の人には悪いが俺の地元の新潟でも群馬は田舎のイメージしかなかった。当然、多数の路線が集まるような大きい駅はないと思っていた。しかしこの高崎駅は、俺の群馬のイメージを覆した。広いコンコース、多数の改札機、複数の路線の発車標、多数の店、行き交う人々、新潟にも新潟駅という大きな駅があるが、それと同等か超えるほどだ。群馬は新潟の隣の県で、

鉄道でも直接繋がっている。隣の県である群馬にこんな大きい駅があったなんて、思いもしなかった。

新幹線の中で充電したスマホで調べてみると、確かに高崎駅は北関東最大規模の駅らしい。まあ利用者数は少し宇都宮駅のほうが多いらしいが。


高崎での用も済ませたので新潟に帰るとする。ようやく帰れるのかと思うと少し安心する。今日は寝落ちして気づいたら東京にいたり、都会の異世界感に驚いたり、スマホのバッテリーが切れたり、高崎駅の大きさにビビったり、いろんなことがあったが、これもあと数カ月すれば笑い話だ。

「帰ったら東京のこと友達に自慢しよ」

いかにも田舎者らしいことを思いながら俺は帰りの電車に乗った。

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― 新着の感想 ―
電車の乗る話でとても良かった
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