新章突入! 連れ込まれるより連れ込みたい!
裸間ボッチの完成。
ありのままの有野さんと御開帳の五階さん。
ついに隣人関係は行くところまで行きついた。
もう戻ることはないだろう。
前住人で転校したと噂のサトルに対する疑惑の件もそうだ。
残すは妹の和葉ぐらいかな…… 仲良し兄妹のヨスガ無き者。
新章突入。
【恐怖のクリスマスパーティー】
放課後。
待ち合わせの喫茶店へ。
急だったので有野さんを撒くのが大変。
それにしてもここって環境良くないよな。
バーとかネットカフェとか遊戯ランドとか娯楽施設が入った雑居ビルが何軒も。
この階にも会員制の怪しげな店がある。それに向かいには……
おっと緑先生だ。地味な緑先生がオシャレして派手になっている。
普段の緑先生からは想像もつかない私服。
これが本当の緑先生なんだろうな。
さあ俺を未知の世界へ連れて行ってくれ。何てね。つい興奮してしまう。
それもこれも緑先生がきれいだからと向かいの存在がそうさせる。
俺を駆り立てるのだ。これはもうどうしようもないこと。
学校では決して見られない緑先生の別の顔。しかしパンツルックはいただけない。
ははは…… 俺は評論家かよ?
でも実は間違ってない。活動休止中とは言え俺はスカート保存委員会のメンバー。
観察し評価するのが俺の使命だと思っている。
俺に気づいた緑先生が立ち上がりなぜか外へ。
ええ? ここじゃないの? 待ち合わせはここの喫茶店のはず。
一杯ぐらい飲んで行けばいいのに。
「あの緑先生? 」
「いいからついて来て! 」
雑居ビル内の廊下でコートを着せられる。眼鏡とマスクまで。何かおかしい。
「緑先生? 」
「ほら静かに! 言うとおりにしなさい! 」
命令には従うのが俺の生き方。情けないがこれが俺と言う存在。
言われるままついて行くと今度は向かいのラブホテルへ。
思いがけない展開にただ言葉にならない叫びを吐き続ける。
そしてついには室内へ。
想像して通りになったので逆に驚いている。
拒否反応さえある。ここがどう言うところか俺だって知ってるぞ。
引き返すなら今だ。たかが取引になぜラブホテルに?
うわ…… 派手派手な室内だな。センスが問われるなこれは。
余裕こいてるがもう緊張と興奮で限界。
さすがは大人の女性。しかも先生だから扱いもお手のもの。
「どうする先にする? 後にする? 」
緑先生は積極的だ。でも意味が良く分からないんですが。
まさかラブホテルに連れ込まれるなんて思いもしなかった。
できるなら連れ込んでみたかった。
「あの緑先生…… どのようなご冗談かと? 」
まだどころかまったく心の準備をしてない。
どうしてこうなったんだろう?
「冗談? でも一ノ瀬君が交換条件を出したでしょう? 」
昼の話をしてるらしい。タダでは教えられないと。取引みたいなことをした。
でもあれは有野さんや五階さんに言われて警戒したからで……
交換条件だって大したことじゃない。情報をくれればいいだけで。
確かにあの時思いっきりふざけたけれど。でもまさか……
「俺はただ憧れの緑先生と一緒に遊びに行けたらなと思っただけです…… 」
もちろん嘘だけどとりあえず無難な答えを用意。
まさか体を差し出せだなんてそんな最低な人間に見えるのか?
俺がそんな人間に見えるのかよ!
ハアハア…… ダメだ。つい前住民の癖がうつってしまってる。そんな気がする。
「消しゴムコロコロした人が何を言ってるの? 」
ふざけてからかっている緑先生。らしくない。
これはまだ女難の相が見られるな。早いとこお祓いしないと大変なことになるぞ。
そう言えば占い師は三人いると言ってたな。
あの時点では有野さんだけが確実。残り二名は不明だった。
今思えば五階さんもそうだったんだろうな。
五階さん当確。政治家の娘だからこれでいい。
すると残り一人は緑先生? まあ大家さんや占い師自身でないならそうなるな。
候補とすれば佐藤さんもリンちゃんも。でも妹の和葉だってあり得る。
すべてはあの占い師のいい加減な予言だからどうとも取れる。
後でそのゴッドマザーに正解を聞いてみるか。
「どうしたの一ノ瀬君? 答えられない? 」
「それは…… 」
「ここでも充分遊べるでしょう? 」
早くベッドに来るように手招く。
「いいの? 」
「もう。その為に今日はこんなところまで来たんでしょう? 」
躊躇いがない。覚悟を決めたのだろうか?
俺はそんな緑先生は大っ嫌いだ! でも体が勝手に反応してしまう。
ベッドに腰掛けキスをしようとすると押し返される。
「ちょっと何をするの一ノ瀬君? 」
「いやだから先生がお望みになったこと」
「勘違いしないで! 座るところがないからこうしてる」
「はあ? 今更? 酷いな」
「ごめんね。でもあなたは恐らく有野さんたちから尾行されてる。
絶対に誰も聞かれてはダメ! 話がついたらその後のことは考えましょう」
中途半端な緑先生。やっぱり俺ではダメらしい。
俺は彼女にとって単なる学校の問題児に過ぎない。
「そんな顔しないで。もし学校に見つかったら私が捕まるの。
あなただって退学処分は免れない。それでもいいの? 」
退学か…… それを言われたら何も返す言葉がない。
「ごめんね一ノ瀬君」
「だったらこんな紛らわしいところにしないでくださいよ。俺期待しちゃった」
「あなたはこの程度のことで満足しないでしょう? 」
まさか本当に何か知ってる?
緑先生は一体どれだけの情報を持っているのだろうか?
「そうですけど。でもここから出て来たら同じでは? 」
いくら何もないと言ってもここから二人で出て来たのを目撃されたら終わりだ。
「大丈夫。昔とは違うの。ラブホテルでは女子会だってやってるんだから。
一ノ瀬君には遠い世界だけど政治家だって重要な話をここでやってるの。
だからここが一番安全で話せるところなの。五階さんに聞いてみるといいわ」
そう言われたら納得するしかない。
「では全部脱いでください。俺そうしないと話せない」
ついに覚悟を決めた。どうせもうすべて知られてるんだ。
今更隠そうとするのは間違っている。俺は緑先生を信じている。
「もう一ノ瀬君には敵わないな。はいはい。それが条件なら脱ぎましょうか」
決戦の時。愛と性と悲しみが交錯する時。
続く




