危険な三角関係
放課後。
学校の近くのファミレスで佐藤さんとナンバースリーのお祝いをすることに。
特に大したことをする訳ではなく好きなものを注文していいよって感じ。
俺から誘ったので大きく出たが果たして金が足りるかな?
そんな風に楽しんでるところでトラブル発生。
入り口に目を向けると有野さんの姿が。
これはまずい。修羅場になるぞ。
急いでトイレに逃れることに。
くそ! 二時間潰すなら近くのファミレスに籠っても何らおかしくない。
俺ほどじゃないにしても有野さんは何と言っても学校を苦手にしているからな。
真面目で優秀な生徒を演じるのに苦労している。推薦や内申書にも関わる。
一度学校の外に出れば解放される。だから帰りの有野さんはとんでもなく素直。
俺への愛も隠すことはない。それが嬉しいんだけど重圧になることもある。
しかしもっといくらだって相手がいるだろうになぜ俺に構う?
出会いが強烈だったからつい惹かれたのかな? ただの隣人だから?
心当たりがないとは言えないがどうしてなのか不思議なまま。
ただ隣人だからと言うなら隣人万歳って訳だ。
とにかく有野さんは格好いい男を選ぶようなそんな軽薄な人じゃない。
だからこそ一途でもある。
「一ノ瀬君見っけ! 」
まるで鬼ごっこをしているかのようにふざける有野さん。
もう俺たちはそんな年齢じゃないだろう? ゾンビ鬼でもする気か?
恐らく俺を怪しんでいるのだろう。
それはそうか。おかしなスカート保存委員会の集まりに出ると言ったからな。
ただ都合がいいことにちょうど先輩がいた。これは救いの神?
「ちょっと…… ここ男子トイレですよ。有野さんが捕まっちゃうよ」
男女が逆だったら確実に捕まる案件。それは俺たち高校生で未成年だけどさ。
勝手に入って来るのはやっぱりあらゆる意味で危険。
「大丈夫。私失敗しないから! 」
何だかどっかで聞いたことのあるセリフ。でも捕まる可能性はあるぞ本当に。
とにかくトイレから出て話し合うことに。
俺の前に佐藤さんと有野さんがいる。向かって右が佐藤さんで左が有野さん。
とんでもない修羅場になってしまった。どう言い訳したらいいか考え中。
でも何も思いつかない。言い訳一つ思いつかない。たぶんそんなのないし。
「どう言うこと? おかしなサークル活動じゃないの? 」
おいおいスカート保存委員会はれっきとしたサークルだ。
もちろん今は休止中だけどね。それでも侮辱は許さない。強く出たいな。
「それが…… 先輩がここでって言うから」
先輩が偶然ここに立ち寄ってくれたのでどうにかなりそう。
ただその彼はまったく理解してない。だからただこちらを窺っているだけ。
「本当? 一ノ瀬君は嘘を吐いてない? 」
追及されると弱い。
「たぶん…… 」
「本当かな? 私に嘘をついてないかな? 」
お怒りモードの有野さん。やはり朝とは違う。
「それは…… 吐いてます」
もう耐えられずに正直に吐く。
いつも笑顔の有野さんが鬼のよう。
「ちょっと! 私たちの邪魔しないでよ! 」
佐藤さんが黙ってない。どんどんこじれて行く。
ああ俺はどうしたらいい? このまま放っておいたら最悪の展開を迎えるぞ。
「何言ってるの? 約束はこっちが先なんだからね! 」
有野さんが本性を現す。
「あなたね…… でも実際一緒にいたのは私。選ばれたのも私。
だから二人の邪魔をしないで! 二人は別に付き合ってないんでしょう? 」
ホテルの近くで偶然見かけて以来どうも疑いの目を持っている。
「私! 先は私! 」
「だから前後は関係ない! 今一緒にいるのは私なんだから! 」
お互い引かないが佐藤さんに変化が。
「やっぱり二人は付き合ってたんだね? だから有野さんが嫉妬した」
ズバズバと真実を言い当てる。
「それがどうしたの? あなたには関係ないでしょう! 」
「関係ある! 私は一ノ瀬君とお友だち」
やはり佐藤さんは俺のことを何とも思ってないらしい。
親友だがそれ以上の感情はないことが確定した。
「それでどうして一ノ瀬君はこんな酷いことしたの? 」
ダメだ。俺はただのろくでなしになってしまった。
ここはただ頭を下げるしかない。
「一ノ瀬君? 」
「晶? 」
何と有野さんが対抗心を剥き出しで下の名前を呼ぶ。
佐藤さんは悔しそう。
「もう二人は付き合ってるでいいでしょう? 」
「それは…… 」
「晶? 」
「うん。俺たちは恋人なんだ。ごめんね」
ついに言ってしまった。何の断りもなく適当に答えてしまった。
なぜか泣いてしまう二人。佐藤さんは悔し泣きで有野さんは嬉し泣き?
「お幸せに! 」
そう言うと行ってしまう佐藤さん。どうやら俺に多少の気持ちがあったんだろう。
でも俺にはやっぱり有野さんがいるから。悪いなとは思いつつも喜びを隠せない。
何だかんだ言って二人きりになった。
今告白するのは違うよな。せっかくあんなに真剣になってくれたのに。
「有野さん…… 」
こうして気まずい雰囲気の中どうにか修羅場を乗り越えた。
でも俺のせいでもないし。俺は決して悪くない…… と思う。
「手を繋ごうか」
どうやら許してくれたらしい。甘いな。それでは男は調子に乗るだけだ。
これで明日以降も普通にしてていい? いいんだよね?
でも何か忘れてる気がするんだよな。
すべて解決して清々しいはずなのにどうも俺の心は晴れない。
気のせいか? それとも何かとんでもない間違いを犯してないか?
こうして俺たちは晴れて恋人だ。まだ正式ではないが。
佐藤さんが証人になってくれるさ。
それでもやはりモヤモヤが残る。一体何だろう?
何かとんでもない忘れものをしてるような気がする。
続く




