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トリプルブッキング

つい調子に乗ってナンバースリーのお祝いをしようと提案してしまう。

いつもならこんな軽はずみな行動を取らない。

有野さんに告白しようと浮足立っていてまともな判断ができないのだ。


「お祝いだけど…… 今日はどう? 」

どうやら早い方がいいらしい。急がなくても俺は約束を守る男さ。

「何の話? 」

「はあ? ふざけてるの? 」

佐藤さんが怒り出したぞ。かわいらしいと評判のお顔に影が。


「冗談冗談。うんいつでもいいよ。でも今日は…… 」

まずいまずい。危うく嫌われるところだった。

俺がいい加減だからこうなるんだろうな。

「やった! じゃあ今日の放課後に」

そう言うと俺の返事も待たずに行ってしまった。帰ってこない。

いや今日は用があるから断ろうと思ったがどうやら無理そう。

さあどうするかな? 有野さんに事情を説明しても聞いちゃくれないし。

仕方ない。ここは五階さんに相談しよう。何とかしてくれるだろう。

何とかならなくても最悪逃げてしまえばいいさ。


昼休み。いつものようにお弁当を持ってきてくれた五階さん。

「そうそう一ノ瀬君。映画のチケットあるんだけど一緒に行かない? 」

どうやら余ってるらしい。それは願ってもないこと。でも俺には約束が二件。

しかもダブルブッキングしていてもう限界に近い。

その相談をしようとしたのになぜかトラブルが大きくなるばかり。


「とっても嬉しいんだけどさ…… 明日じゃダメ? 」

いきなり今日と言われても予定が立て込んでいる。

以前までの俺なら予定など入りようがないからホイホイついて行っただろう。

でも今は違う。無理だ。不可能なものは不可能。

「ごめんね。今日までなんだ」

そう言ってため息を吐く。これはどうやら明日以降には延ばせないらしい。

どうしよう? どうしたらいいんだ?

「いいでしょう一ノ瀬君? じゃあ帰りに」

こうして断り切れずに三人と約束。


あれ…… これはまずいよな。どうしよう?

しかし五階さんは誘ってくれたが有野さんも佐藤さんも俺から提案したんだよな。

どうする? どこを諦めてどこに行く?

これは悩ましい。前も似たようなことがあったが確かあの時はどうにかなった。

でも今回は絶対にうまく行くはずがない。だって三人だぜ? 修羅場確定。

とにかく放課後までにどうにかしないと。まずはどうする?

考えろ! 考えるんだ! 

いくら集中しようともどうすることもできないこともある。


「よしホームルームは終わりだ」

いつの間にか授業も終わって皆帰り支度。

うわわ…… 何も思いつかなかった。どうしよう? 俺はどうしたらいいんだ?

これはいっそのこと早い者順でいいか。

俺を求める者たちよ! さあかかって来るがいい!


まずは安全策でトイレに…… 

「一ノ瀬君見っけ! 」

行けずに捕まってしまう。

いつもしつこいほどの有野さん。今日を逃すはずがない。

「どうしたんですか有野さん? 今日は部活は? 」

部活…… そうかこの手があった。

「ないの知ってるくせに。今日はあなたから誘ってくれたんでしょう? 」

ダメだ。覚えている。これではごまかせない。


「そうなんですけど…… 実はスカート保存委員会の集まりがあるんですよ」

適当に予定を作る。まるで浮気をしている気分。

まあ実際他の女に会う予定を入れてるのだが。

「でも休止中だって言ってたよ」

俺を求めてしつこい。ああ面倒だな。

「それが奴が退院するって言うんで一度会長と集まろうと…… 」

部室に寄るから遅くなると言ってみる。


「嫌だけど。あんな汗臭そうな人と会うなんて許さない! 」

ダメだ。我がまま有野さんが降臨してしてしまった。

「お願いしますよ。一時間か二時間待っていてください」

これでいい。我慢できない有野さんが待つはずがない。怒って帰るに決まってる。


「分かった。早く済ましてね」

そう言って手を振る。

くそ…… うまく行くと思ったのに浅はかだったか?

こうして有野さんはどうにもならないと分かった。

しかし二時間もあれば佐藤さんのお祝いぐらいできるよね。

五階さんはこの際無視しましょう。


こうしてまず佐藤さんと近くのファミレスでお祝いをする。

「いらっしゃいませ! 窓側の席をどうぞ」

二人っきりになると急に大胆に。

「きれいだね。その手を握っていい? 」

お祝いの言葉を述べてすぐに手を掴もうとする最低な奴。

「もう一ノ瀬君ったら。有野さんがいるでしょう? 」

その有野さんとの予定があるからなるべく早く切り上げたい。

だから多少嫌われてもいいから大胆に行く。


「おいおい。もう過去のことだろう? 俺は今お前のことしか見てないさ」

似合わないセリフで格好をつける。いつもなら震えるところだが相手が震えてる。

怖がったか? 驚かせてしまった?

「ふふふ…… もう笑わせないで。どうしたの人が変わったみたいだよ」

「そうか? 俺はいつもと変わらないさ」

ワイルドに。それでいて嫌われるように動く。

やってることはその辺のエロ親父と変わらない。

動機が不純なだけに悪い気がする。エロ親父は本当に不純な動機だけど。


「ありがとう。まだ私のこと見てくれたんだね」

そう言うと泣いてしまった。まったく意味が分からない。

だから時間が押してるんだって。ここは早く愛想を尽かして振ってくれなきゃ。

有野さんが怖いんだからさ。若干五階さんも気になるし。

ああ俺って罪な男だぜ。へへへ……


うん? あの人どこかで?

確か同じスカート保存委員会の汗っかき。

こんなところで道草食っていたのか。集まりないんだから早く帰れよな。

もし有野さんにでも見つかったら……

入り口の方に目を向けるとその有野さんが入って来る。

これはまずい。修羅場になるぞ。


急いでトイレに隠れることに。


              続く

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