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告白のタイミング

おっと…… つい自分の世界に入り込んでしまった。

有野さんは呆然としてる。

俺おかしかったかな? でも狂ってるのはどう見てもそっち。

素っ裸なその姿に呆然と言うか唖然としてる。


「あの…… 」

「一緒に踊ろうよ! 」

微笑む有野さん。もうかわいいとかきれいとか神々しいとかを超えて怖いだ。

「俺も踊るの? 」

冗談じゃない。こんな夜に踊って堪るか。抑えだって効きづらいのに。

「ほら脱いで! 」

なぜか俺まで素っ裸にされてしまう。

もしかしてそちらからは全部見えてるのではありませんか?


まずいぞ。これは危機的状況。

夜中に素っ裸で踊り狂うだなんてどうかしてる。

まさかこれが俺の願望なのか? 胸の内に秘めた思いがあるとでも言うのか?

しかしどうであれ逆らえない。

こうして有野さんの気が済むまで踊り明かした。


一時間ほど踊ったのち帰っていく。

うん? これは夢だな。どう考えてもあり得ないこと。

どうもおかしい。まるで意味が分からない。

目的は何だ? さすがにこんな濃密なご近所付き合い見たことがない。

ふう疲れたな。もうどうすればいい?

夜の有野さんの扱いに困っている。


翌朝。いつものように有野さんが手を振る。

やはり昨夜のことは覚えてないんだろうな。

ここはもう覚悟を決めるしかなさそうだ。

どうせ俺たちにはこれしか手がないんだから。


問題はいつ告白するかだな。今週中いや今日中にすべきだろうな。

そうしないともう俺の身が持たない。

昨夜のこともある。もう告白して恋人にならないとやってられない。

我慢してこんなことを続ければいつか一線を超えることもあり得る。

それがまだ有野さんならいい。五階さんだとどうなる?

ははは…… 何を? 今は有野さんのことだけを考えればいいさ。


「どうしたの一ノ瀬君? 」

今日も寝癖が立ってるとお節介を焼く。

それが朝の有野さん。優しいお姉さん。俺にとって本当にお姉さんのような存在。

だからつい甘えてしまう。しかしその彼女は夜になると豹変してしまう。

果たしてどの有野さんが本物なのか?

「そうだ。帰りにどっかに行きませんか? 」

いつも何だかんだ有野さんたちから誘われて行ってるだけ。

一度も自分からは誘ってはいなかった。頼みごとはしたけどね。

元々俺は積極的な人間ではないからな。


「どうしたの一ノ瀬君? 嬉しいけど…… 」

朝の有野さんは優しくて正直でしつこくない。

情緒不安定の多重人格者の有野さんが唯一女神様だと思える瞬間。

学校ではいつも睨んでいるから羅漢様のようにも思えるが。

これも羅漢ボッチってか。実際予感めいたものがある。


「実は折り入って話があるんです」

そう言えば朝話したことを昼や夕方に覚えてないと言うことはないよな?

でも昨夜のことは覚えてないみたいだしな。もしかしてその辺は何かあるのか?

詳しく症状を伝えてくれないからやりにくくて仕方ない。

俺も自分の思春期症候群の症状を伝えてないのでお相子と言えばそうだけど。

ただ俺のはかなり特殊で。限定的な症状だからな。

裸が見えなくなるもの。そんなもの見なければいいだけでほぼ実害はない。

でもあの環境ではそうも行かない。普通じゃないからな。


「そう。だったら帰りにまた」

先に行ってしまう。

ふふふ…… 余裕を見せないとな。俺は追い駆けないぞ。

つまらないことで噂を立てられる必要はない。


「ああ一ノ瀬君。新刊買った? 」

教室に入って早々佐藤さんに捕まってしまう。

もうあのことから完全に立ち直ったみたいだ。

俺に好意でもない限りすぐだろうが。

今は凄く自然。ただ彼女から俺たちの関係がバレる恐れがある。

ただそうなったところで二人で否定すればいいだけ。誰も信じないさ。


どうであれまさか一緒にホテルに入ったなんて言えるはずがない。

実際は最高級ホテルで決して怪しくも疚しくもないのだが。

そこに戻ったのは俺たちが深い関係なのは疑いようがない。

変な風に思われたくない。

だから危険な目撃者の口封じは微妙。友だちならまずバラしはしないさ。

とりあえず様子見と行くか。

口封じは俺の主義に反するからな。大体するって言っても口で口を塞ぐだけだし。


「ごめん。最近忙しくて…… それに目の調子がおかしいんだ」

言い訳したくはないが新刊と言うのは海外の作家だから当然翻訳本。

日本の作家が書いたならまだいいんだけど海外のは癖が。

それで面白さが半減する場合がある。当然スラスラ読める場合もある。

「ああ…… そうなんだ。だったら犯人教えてあげるね」

おいおい何て嫌がらせ。冗談きついよ。

笑いながらだから絶対にわざとだ。俺を困らせて楽しんでる困った人。

やっぱり口封じしちまうか。


「そうだ。ナンバースリーのお祝いしないとね」

佐藤さんは髪型を変え痩せてかわいくなったのでナンバーフォーにまで急上昇。

しかし最新のアンケートでついにナンバースリーへ。

この話は俺だけでなく男子なら皆知ってる話。

俺はそれを盗み聞きしてるに過ぎないが。知らないのは本人だけってね。

一ランク上がったからって特別何かが変わった訳ではない。

ただうっとうしくなるだけでいいことはない。


「だから…… 」

どうやら実感してるようだ。恐らく告白があったんだろうな。

俺も佐藤さんはかわいいと思うな。もし有野さんがいなければ……

そんな邪な考えをしているとじっと見られてしまう。


「もしかして一ノ瀬君も? 」

「ははは…… 冗談言うなって。俺たち仲のいいお友だちだろう? 」

危ない危ない。うんと答えそうになる。

手軽に告白できていいが今日は有野さんに告白するんだから。

調子が狂うようなこと言わないで欲しいな。

「そうだけど…… 有野さんもいるもんね」

ダメだ。有野さんの話をしようとする。今は関係ないのに。

まあ元々有野さんがナンバースリーだったのだから話には関係してるのか。


有野さんをちらっと見る。

おっと…… 今日も目つきが鋭いクールビューティー。この使い方であってる?

朝あれだけイチャイチャしていたのにこれだから嫌になるぜ。

もう有野さんのこれはアカデミー賞ものだよ。

そこを行くと俺のは演技とも言えないような棒演技。

すぐにボロが出てしまう下手くそ。


ナンバースリーが何だと言うんだろう?

誰がナンバースリーでも構わないじゃないか。

俺はまったく気にしてないよ。何てね…… 実はそうじゃない。


                  続く

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