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隣人関係崩壊 

俺たちはついに結ばれるのか?

この時がようやく訪れた。

拒絶どころか超積極的な有野さん。


「ねえ有野さん? 」

昨夜は大人しかった。それなのに今夜は一気にだ。

読めない。そもそも他に人がいるいないなど分かる訳がない。

「ここではマナって呼んで」

ご要望なら応えますか。

「マナ…… 何だか言い辛いっす。照れるよ」


「さあ踊りましょう」

有野さんは変だ。ドンドンおかしくなっていく。

ボッチの俺にとってはとても刺激的でどうしていいのかも分からない。

踊るにしてもこんな夜中だ。今日のところはこれくらいでお引き取り願いたい。

明日また来て欲しいかと言うと悩みどころ。

静かな夜を過ごしたいと思ったら遠慮願いたい。

しかし俺だって騒ぎたい夜ぐらいある。そんな時は来て欲しい。

贅沢だと自覚がある。でも毎日はきつい。いっそのこと告白して楽になりたい。

だが夜の彼女がその程度で引き下がるはずがない。言うことなど聞きはしない。

何と言っても困った隣人なのだから。仲間であり恋人だとも勝手に思っているが。


「ほら脱ごうね」

「でもこれは本気でまずいって。二人の関係が変わってきてしまう。

それだけは嫌なんだ! 」

強く呼びかけ諦めるまで言い続ける。

「仕方ない。今日のところはこれくらいで勘弁してあげるよ」

助かった。どうにか許しを得られた。

どの人格かまでは不明だがどうやら夜の有野さんはどこまでも積極的。

俺は消極的だから合わない。合って堪るか。

こうして俺たち二人だけの秘密を共有してどうにか関係を継続中。


翌朝。再び有野さんと顔を合わせる。

「昨日は済みませんでした。つい恥ずかしくて…… 」

「ああ一ノ瀬君おはよう」

笑顔を絶やさない有野さん。全然気にしてない様子。


「マナ…… 」

「ちょっと一ノ瀬君! 何で名前で呼んでるの? 」

「それは有野さんがそうしろと」

下手な言い訳だが概ね事実だから。

「もうほら糸くずがついてる。じっとしててね」

余裕の有野さん。もし俺が学校側に報告すれば立場は危ういはず。

それこそ退学になってしまう。

でも今の有野さんは優しくて世話焼きのお姉さんだ。

彼女を脅迫者として扱うのはなく隣人。

ちょっとおかしな隣人だと認識すればいい。


「どうしたの二人とも? 朝から見せつけるね」

そうやっていつもふざける五階さん。

もはや生温いとさえ思う。

「行こうか」

こうして平凡な毎日が始まる。ははは…… 有野さんがいれば飽きないか。


「へえ夜のマナは凄いんだ」

俺の言葉を真に受けての五階さん。自慢じゃないが凄いことになってるぜ。

朝は爽やか。特に変化はなし。いつも通りの世界が流れている。

ふふふ…… 疲れるよな実際。


「ほら手を繋ごう」

五階さんは俺たちの様子がおかしいのを察知しすぐに行動に移す。

「ちょっと五階さん…… 」

「そうだよパピヨン。一ノ瀬君困ってるでしょう」

世話好きの朝の有野さんが追い払って服を直してくれる。


「もうマナってば。冗談に決まってるでしょう? 」

「パピヨンは嘘つかない! 」

有野さんは長い付き合いなのか五階さんを警戒する。

まさか俺って狙われてるのか? 嘘だろう?

クラスで三番手の美少女の有野さんだけでなく政治家の娘の五階さん。

父を紹介しようとしたぐらいだから頷ける。


「五階さんとは高校からのつき合いじゃないんですか? 」

二人の関係に疑問を投げかける。

「心配しないで。私たちだって春に知り合った。そして取り合った」

またしても衝撃的な事実を述べる五階さん。

取り合ったってどう言うことだ? まさか隣人が関係あるのか。

この二人は何らかの理由で隣人を争った。そしてその隣人がサトル。

サトルが転校して収まっていたライバル関係が復活。

俺は二人の関係に火をつけてしまった。まさか? あり得ない!


「ちょっとパピヨン! いい加減なこと言わないで! 」

あれ? 有野さんがいつになく不機嫌になる。

朝の世話焼きお姉さんから一気に変わる。

コロコロ変わるな有野さんも。

気持ちは分かるけどこれって多重人格って言えるのかな?

「はいはい。マナは確かにそんなことない。でも私はそうだったの」

どうやら有野さんと五階さんに認識の違いがあるらしい。

まあどちらが正しいかと言えば五階さんの方かな。

当然俺は有野さん派ではあるけれど。闇雲に信じてはいけない。

事実は事実として受け止める必要がある。そうしなければ判断を誤ってしまう。


「有野さん? 」

「行こう一ノ瀬君! 」

「ええ? 五階さん? 」

知らないと超不機嫌になる。まさか親友の二人が口を利かなくなるとは。

もしかしてこれも俺のせい?

きっと有野さんとのことを察知して五階さんは手を打ったんだろうな。

でも俺も夏までのことは二人からしか聞けない。

あるいは大家さんでもいいが大家さんだって口が堅い。


こうして二人は無口のまま。重い雰囲気のまま学校まで。

ああ重苦しい。これ後どれくらい続くのか? どうせ俺では仲直りさせられない。

秘密裏に動こうにも有野さんはまだしも五階さんには気づかれる。


ふうとため息一つ。

教室では変わらずに睨みつけている。

おお怖い。俺の愛すべき有野さんとは到底思えない。

あれが昼を過ぎて放課後に百八十度変化するんだからよ。

もしかして今日はそのままだったりしないよな。

頼むからそれだけはお願いします。


仲のいい二人がいつの間にか険悪な雰囲気に。

有野さんの多重人格にまで影響しだしているのか?


                   続く

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