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告白日和

隣人で有野さんの親友でもある五階さんと監視することに。

しかしまるで示し合わせたかのように静かで何も起きない不思議。

昨夜のショックから病院にまで行ったのに本当に何も起きない。

最悪なことに五階さんが俺を疑い始める。嘘だろう?

連れ込む口実だと思われてる。ははは…… 心外だな。

俺がそんな最低な人間に見える? 見えるのかよ!

まずいまずい。つい興奮してしまう。


「そろそろ寝ましょうか」

二人で一つのベットを争う。そしてついに決着。

争いに敗れベッドを譲って一人寂しく床に寝る。

有野さんみたいに一緒に寝ようと言わないだけマシだが俺を信用し過ぎだよね。

ホテルでは大チャンスを逃してる訳で。今度はモノにしなければと焦りもある。


「五階さん! 」

つい調子に乗ってしまう。彼女に甘えてるのかな?

「いいから寝るの! マナに言うからね」

「ははは…… 勝手にどうぞ。そもそもそっちからだろ? 」

本当に俺って最低な人間だな。五階さんの善意を踏みにじるんだからな。

ふふふ…… どうせ言えやしないさ。さあもう大人しくしてもらいましょうか。


「改めまして五階さーん! 」

「うるさい! 寝れないでしょう? 」

どうやらまだ俺を舐めてるらしい。まったく抜けてるな。見誤ったらしい。

ではお仕置きもかねて五階さんのところへ。

「一ノ瀬君? いい加減にしなさい! 」

しつこくしたものだから不機嫌に。仕方ない。ここは引き下がるとしよう。

何も今日である必要はないさ。お隣さんなんだからいつでも。


あーあ結局何もなかった。残念だな。なぜ今日だけ大人しかったんだろう?

期待と不安が入り混じりもう自分がどうにかなってしまいそう。


翌朝。

「あれ? どうしてパピヨンが一ノ瀬君のところから出てくるのかな? 」

無意識に追い詰めようとする有野さん。

それ以上は危険だ。自分から修羅場に持って行ってどうする?

ここは大人しくスルーするのがいい。

「ごめんねマナ。実は昨日お泊りしたんだ」

とんでもないことを言う五階さん。適当にごまかせると言うのに。

正直にすべて告白する必要がどこにある?

俺の立場がなくなってしまう。これも宿命か?

昨日あれだけ楽しい思いをして罰を受けるのは当然と言えば当然だけどさ。


「冗談ですよ有野さん。ねえ五階さん? 」

どうにか収めようとするが五階さんのコントロールを誤ってしまう。

「本当なのマナ! 許して! 」

うわ…… 勝手に話を進めやがる。

こうして何度目かの修羅場に発展。さあこれからどうしようかな。


「もう! 」

いいよと答える優しく世話好きのお姉さんのような存在。

朝は機嫌いいんだよね。しかしよくあれで寝不足にならないよな。

ストレス発散してるのは充分に理解できるが。

俺たちを置いて先に行ってしまう。多少は動揺が見られる。


「マナって大人。でも学校では気を抜かないでね。

嫉妬で何をするか分からないから」

どうも肩透かしを食らった。だって有野さんは俺を……

そして五階さんだって俺を求めてるんだとばかり思っていた。

どうやらそうでもなかったらしい。


学校に着くと再びの睨みモード。

ちょっとでも話しかけようとすると眉間にしわを寄せる。

これではまるで俺を嫌ってるみたいじゃないか。

いい加減にしてくれよ。あれほど俺のことが好きだって言ってくれたのに。

まさか幻想だとでも言うのか?


そんな憂鬱な午前中が過ぎ五階さんとお昼。

極たまに空き教室で。基本的には天気に関係なく屋上で。

外の空気も景色もどうでもいいから奥には近づかないようにしている。

トラブルで落下しないよう心掛けている。これも危険回避術。


あれ? いつもと様子が違う。どうやら先客がいるらしい。 

まさか告白? どれどれ面白そうだな。

確かは男は同じクラスの隣の隣の冴えない男。運動部らしいが地味だ。

もうちょっと筋肉があると可能性はあるだろうが無理に決まってる。

大人しめのタイプ。俺と大差ない。多少ルックスはいいがそれではね。

何で俺のテリトリーにずかずか入って修羅場を迎え周りを凍り付かせるのか?

観客として弁当食いながらはいい余興だけど静かに食いたいよな。


それにしても五階さん遅いな。ここで俺一人はちょっと荷が重い。

デリケートな問題。どうせ奴では振られるに決まっている。

勝手に推測するも大外れすることはない。

それにしても今日は風も穏やかで暖かく絶好の告白日和。

俺も告白しようかな?


「好きです! 」

直球だ。悪くない。でもこれは失敗するんだろうな。

さっきから相手がよく見えない。誰なんだ?

まあ誰でも同じか。振られる奴のことを心配するのが先。

どうせこいつも一人ぼっちなんだろう。可哀想に。

「ごめんなさい」

一分近い沈黙の後にずばっと一言。

そこまではっきり言わなくてもいいじゃないか。

奴のプライドが傷つく。俺は味方だからな。

でもここは神聖な学び舎だから他所で愛とか恋とかを語り合えるといいね。


うん? 誰かが来る。

二人はそのことに気づかない。

「どう一ノ瀬君? 」

何と五階さんだ。別に興味ないんだけどな。

「成功するといいね」

どうでもいいがノリが悪いと思われても困るし感じが悪いとも言われたくない。

五階さんもどうせ高みの見物だろう。

無関係の奴の恋模様ほどどうでもいいものはないが楽に見られるメリットもある。


「呑気なんだから一ノ瀬君。本当にいいの? あれはマナだよ」

五階さんが正体を伝える。

おいおいちょっと待ってくれよ。何で有野さんが屋上に?

俺と同時に教室を出たはずだが。なぜ俺より先にここに来てる?

しかも訳の分からない男の告白を待ってるおかしな状況。


                  続く

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