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アンケート

思春期症候群のメカニズムを解明するために看護師さんを巻き込んでの大実験。

あっと言う間の出来事で俺は見てはいけないものを見てしまった。

そのことで本来白いモヤのようなものが掛からずにくっきりはっきり。

今も目に焼き付いている。

俺の為にこんなことに協力させて悪いなと思ってる。


「ははは…… 心配性だな一ノ瀬君も。彼女はね私の不倫相手。おっと…… 」

口が滑ったらしい。しかし今更取り繕っても意味がない。

それとも俺をからかうつもりか?

「もう先生ったら正直に言っちゃダメでしょう? 」

お年は化粧の関係もあってはっきりしないがまだ二十代だろう。


日暮先生が不倫? あまりに衝撃的な事実。やっぱり医者はモテる?

俺には情けない感じがするが意外にもワイルドだったりして。

でも見た目は眼鏡を光らせて怪しくいかにもって感じ。

恩人だし失礼だけどメイド好きのロリコン変態のイメージがあるんだよな。

何でかな? 何でかな? かな?


「妻にバレたら殺される! 」

「もう先生ったら! 今すぐ奥さん呼びますよ」

看護師さんは本当に気にしてないらしい。強い人だな。でも悪い人でもある。

そう言えば名前を聞いてなかった。

医者も看護師も俺にとって恩人。恩人の名前も知らないのは情けないことだ。


「あら坊や。ダメよ」

「いえその…… 感謝の気持ちでして他意はありません」

興奮を抑えようとしても不可能。今日は寝れるかな?

「悪いですが一ノ瀬さん。個人情報は教えれられない決まりなんです。

私と別れた後でアタックするといいかと」

どうもふざけてる気がする。俺はただ名前を知りたいだけなのに。


「もういいですよ」

「怒ったの坊や? ごめんね私が教えられるのはここだけ」

そう言ってまた実験させようとするので遠慮することに。

これ以上は危険だ。それにせっかくの厚意を無視できない。

ここは大人しく退散するのがいい。


「ああちなみ名前はネームプレートを見ればいいんじゃないか? 」

「そうか…… 」

先生の指摘で納得。なぜそんな当たり前のことも気づかなかったのだろう?

ほぼ服を着てなかったから目が行き届かなかったとも言える。


「では最後に次回だが」

いつでも来るようにと言っていた。それでも予約はした方がいいと。

「それは…… 」

「明日はどうだろう? 」

「明日? お休みだと伺いましたが? 」

「そう明日は定休日。ただ私も暇で。症状の確認に君の部屋でどうかな? 」

積極的な先生。でもそれは有野さんのあられもない姿を見せることにもなる。

いくら信頼の置ける先生でもそれはまずい。

もし家に入って来たら最悪なことが起きかねない。さすがに避ける必要がある。


「申し訳ありませんがそれはまずいかと…… 」

これはあくまで予定。明日暇だから来てくれるだけ。

そう信じたいがどうしても無理。

「信用できないかい? 」

「そうではなく…… 」

「大丈夫。ただ君の横で観察するだけだ。どうなろうと大人しくしてるつもりだ。

それなら文句ないだろう? 」

明日か…… そこまで俺に親身になってくれるのだから断っては悪いか。

「分かりました。明日の七時にお越しください」

出張診療は高いよとふざける。有り難いことにいつも通りで構わないそう。


「先生が行くんでしたら私も行きましょうか」

看護師も積極的だ。

「いやいやさすがに一ノ瀬君が困るだろう」

「年増は来るなと? 」

「おいおい何もそうは言ってないよ。なあ一ノ瀬君」

俺に振りやがった。一体どこまで本気なのか分からない。

「どう招待してくれる坊や? 」

セクシーな声で迫る。息を吹きかけられそうな予感。

まさかこれも俺の妄想じゃないよな?

「いえできれば遠慮して頂けるとありがたいんですが」

どうにか断る。理由は年齢じゃない。

俺の家を愛人との密会に使われて堪るか。


「ふふふ…… 冗談よ。新しい彼とお出かけだから無理」

どうやら予定が詰まっていたらしい。残念だな。

「では一ノ瀬さん。明日夜七時にお伺いしますね」

そう言うと帰り支度を始める。そうか。俺が最後の客だったな。


帰ろうと立ち上がろうとしたところでアンケート用紙を手渡される。

「何ですかこれ? 」

「協力お願いね」

そうやって迫られたら断れないじゃないか。

一分で終わるとのこと。

これで心理状態も多少分かるそう。やらない意味は見つからない。

こうして一分ほど付き合わされる。


とてもいいから普通を経由してとても悪いの五択だそう。

一問目。病院の雰囲気は?

普通だろうな。でもよくしてくれるからとてもいいにしておくか。


二問目。医師の対応は? 

やり過ぎだけど…… 向き合ってくれるからとてもいい。

そもそも目の前に本人がいてとても悪いなどと書けるはずがない。


「これは今日で何人目ぐらいですか? 」

「あなたが最初。さああと三問だから頑張って」

看護師さんに急かされる。


三問目。看護師の態度は?

よくはないし公序良俗にも反してるが俺も人のことが言えない。

よくしてくれたのでとてもいいで。

うーん。日本人の悪い癖だよな。悪いことが書けずに適当にいいと答えてしまう。

それだとアンケートにならないし改善しない。

結果的にロクな治療行為が受けられなくなる。

今だって医師と看護師が不倫してるんだから。どうかしてるぜ。

見て見ぬふりなどできない。


四問目。自分はどうですか?

難しい。五択ではどう選べばいいやら。

やっぱりここは普通しかないか。

なぜ自分まで評価しないといけないんだ?


五問目。医療器具についてどうですか?

しかし心療内科だしな。医療器具についてよく分からない。

看護師さんが胸を強調する。

そうか医療器具ね。

もはやとてもいい以外あり得ない。

日本人の悪い癖だな。早いところ直した方がいいかな。


アンケート終了。これでようやく帰れる。


                  続く

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