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スカートだとちょっと……

母さんが勝手に大掃除を始める。自分の部屋だから俺もやれと半ば強制的に。

こうして空気の入れ替えに窓全部を開けてなぜか非常口二か所まで開ける。

徹底的にやるつもりらしい。越してきて以来閉めたっきりだからな。

それを開け周りの雑草を抜きホウキで掃いて行く。

こんなの大家さんにでもやらせればいいのに。

いつも口うるさい大家さんならきっと言えばやってくれるさ。

でもお年寄りにやらせるのはまずいか? 

でもこれって借主のすることかな?


「手伝いますね」

有野さんも積極的だ。これこそが隣人関係。

ただ深く関わると危険もある。どこに落とし穴があるか分からない。

俺としてはそれでも構わないかなと思っているが。

元々お隣との付き合いは最低限でいいと言う主義。

ただ俺は男だからこの手のことに詳しくないし慣れてない。

それは有野さんも似たようなものだろうが。


「マナちゃんは雑巾がけお願い」

「はい。任せてください」

テキパキとやるのはいいが一つ困ることがある。

それは目の前で雑巾がけをする有野さんの姿だ。

不器用だからか見たくないのに余計なものが見えてしまう。

実際は物凄く見たいけど目があるのに凝視などできない。

これでは恥ずかしくてどうにもならずに後ろを向くことになる。


仕方ない。邪魔にならないようにトイレにでも。

しかし母さんがそれを許さない。

俺はサボりたいんじゃない。この居た堪れない状況を早く脱したいだけだ。

どうして有野さんってこんな時だけ抜けてるんだ? 

学校ではそんなことないのに。困るんだよね。

まあ裸族の人にとっては気にするようなことではないかもしれないが。


どうにか興奮しないように抑えるしかない。まさか俺もそこまでじゃないし。

母さんのいる前で手など出せるはずがない。

だからって夜に何かしようとお言うのでもない。

くそ! 我慢はいつものことだけどもう耐えられそうにない。


「ハイお終い」

掃除も終えたので近くにあるいつものファミレスへ。

家族や友人で楽しむにはちょうどいい。

ただ高級ホテルで味を覚えたのでレンジでチンタイプのには溜息が。

美味いけど違うんだよな。これじゃない感がある。


「どうしたの? 晶はこれ好物だったでしょう? 」

「うん。そうだけど…… 」

ハンバーグステーキ。しかもチーズが掛かっていてトロトロ。

美味そうだとは思うよ。でも実際は大したことがない庶民の味さ。

確かに俺の好物だったがこれでは到底舌が満足しない。

と言っても一か月も過ぎればそのうち元に戻るだろうが。


「ファミレスって言えばあの時以来だよね。ホラ…… 」

俺に振るが俺たちはつい最近ホテルの近くのファミレスに行ったばかり。

あの時は有野さんがトラブルを起こして怖そうなお方を怒らせてしまった。

どうにか俺が収めたから大ごとにはならなかったがもう睨む癖はやめて欲しい。

学校でも知らないところでもだから危なっかしい。男に恨みでもあるのか?

実際しつこい奴はいくらでもいるがまともな男も僅かながら存在する訳で。


「どうしたの二人とも? まさか母さんに隠れてよく行ってる? 」

おっと疑いだしたぞ。前回のこともあるからここは笑ってごまかそう。

「あらあら。この子ったら正直なんだから」

まずい気づかれたか? でも恐らく想像を遥かに超えてるはずだぞ。

母さんを見るがからかっただけで疑ってる様子はない。本気じゃない。

それよりもさっきから何か気になることがあるらしい。

一体どうしたんだろう?


「ああ? ごめん! 」

「どうしたんだよ母さん? 大声出さないでよ。恥ずかしいな」

いくらファミレスでもこれくらいは常識だ。有野さんだって驚いている。

「それがさ…… 両隣りの非常口のカギをかけ忘れちゃった」

「何だそんなこと? どうでもいいじゃないか。大げさだな」

どうせ取られるような荷物もないし大体あそこから入れるのは隣人のみ。

要するに有野さんと五階さんのみ侵入可能。あるいは大家さんもか。

だとしたら何の問題もない。騒ぐだけ心配するだけ損。


「もうあんたはいい加減なんだから! いい今日中にきちんとかけるのよ? 

放っておかないでね。忘れたら大変なことになるよ! 」

そう念を押すと帰ろうとする。あれどうして?

当然泊まるもんだとばかり思っていたのに。

別にそれ自体には驚いてはいるが実際はどっちでもいいと思っている。

動きやすいので歓迎だが今からだと遅くならないか? 


「ごめんね。でも行かなくちゃ。お父さんを待たせてるから」

そう言うとさっさと行ってしまう。

どうやら大掃除に来ただけらしい。

仕方なく二人で帰ることに。

別に二人で毎日のように帰ってるから緊張はない。

ただ母さんがいたからただの友だちとして隣人として接していた。

だからいつもと距離感が微妙に違いうまく行かない。


「どうしたの有野さん」

ちょっと怖くてと怯えるレアな有野さん。真っ暗だからな。

当然そう思うのも無理ない。でも素っ裸で踊ってる人に怖いものってある?

お化けだって逃げると思うけどな。


「怖い! 」

「だからって腕を掴まれても…… 」

体を預けて物凄く重いし暑苦しい。でもそんなこと言えない。

「大丈夫だからね。ほら月だってきれいだ」

ここで満月だと雰囲気出るんだが生憎の曇り空。

北風は吹いてないとは言え寒いのは変わらない。

月など見えやしない。ただの出任せだ。


「抱きしめて! とっても寒いの! 」

極楽だったファミレスを去り寒空の下で歩き続ける。

十分かそこらだけど確かに冷える。

でも腕が痛い。強すぎませんか?

悪くない展開だけどちょっと急すぎませんか?

もはや今は隣人としてしか見られない。


こうして何もできずに家の前で別れる。



                  続く

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