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おかしな実験

再び病院へ。

俺は現在思春期症候群と言う奇病に侵されている。

肉体的なものではなく精神的なもので目に見えないもの。

だから誰にも気づかれることはない。助かるがそれはそれで辛いものがある。


医者からは落ち着くまで週に一度通うようにと。

俺として一日も早く治療法を見つけて完治に向かって行けたらと積極的。

そうなれたのもきっと病名が判明して落ち着いたからだろう。

一日も早い思春期症候群のメカニズムの解明が待たれる。


「どうしましたか? 元気のようですがいいことでもありましたか? 」

常に笑顔の日暮先生。ちょっと頼りなくて情けなく見えるが安心感はある。

情熱は本物で俺もつい影響を受けてしまう。

「はい。おかげ様で随分楽になった気がします」

病名が判明しほぼ悩みがなくなった。とてもありがたいこと。

今まではずっと不安だった。何と言っても目の病気だと思っていたから。

精神的なものだと分かって切り替えることができた。


俺って最近ついてるのかな? バスケでも活躍できたし。

有野さんともどうにか仲直りできたからな。

後は五階さんのお誘いをどうするかだが。本当は断るべきだったんだろうな。

大体有野さんにも悪いからさ。


さっそく治療を開始する。と言ってもごくごく単純な実験と問診。

「では私は見えますか? 」

見えるに決まってる。俺を舐めるなと言いたいがでも相手は医者だから。

とてもそんな態度には出られない。


「ではこれではどうでしょう? 」

白衣を脱いでシャツになる。だが問題ない。

首を振って先を促す。


「それでしたらこちらの看護師さんを見てください」

さすがは大きな病院だけあってきれいな人が揃っている。

そう言えば前回も隣にいたな。あの時は本当に嫌だった。

だってプライベートだから。いくら看護師さんでも知られたくない。

でも今は随分心に余裕ができたのか何のプレッシャーも感じない。

かわいかろうときれいだろうと構わない。俺には関係ないことだから。


「どうですか? 」

「はあとてもおきれいな方だと」

なぜ感想を述べないといけないんだ?

でも看護師さんも恥ずかしさがある。どうしたんだろう?


最近はあまり褒めてもいけないんだよな。

セクハラになりかねない。気を遣ってしまう。

ははは…… これではまるで俺はセクハラ親父じゃないか。

まあ気をつけてるつもりだけどついポロっと出てしまうから。

それにカスハラやパワハラだってある。

世の中にはハラハラが多くてハラハラドキドキするな。

まあ俺はまだ高校生だから関係ないと言えば関係ないが。

さあこれからどうなるのかな? 俺は臆病だから荒治療は遠慮したい。

だから今も凄く緊張している。ワクワクとドキドキが混じる。


「ではこれでは? 」

そう言って上着を脱いでもらう。

「ちょっと先生本気ですか? 」

どうりで恥ずかしがる訳だ。一枚一枚。うん悪くない。


「もう一枚」

ダメだ。我慢できない。つい興奮して飛び掛かろうとする。

これではまるっきりの変態じゃないか。

危ない危ない。理性が崩壊するところだった。

でもそうなっても俺のせいじゃないよな。


「はいストップ! このテストはここまでにします」

こうしてほぼご褒美のようなテストが残念ながら終わる。


「いかがでしたか? 」

「いかがも何も…… よく分かりません」

「そうですか。やはり次は裸にならねばいけないみたいですね」

冗談か? 本気なのか? どっちなんだ?

「でも俺たぶん…… 」

「気にしないでください。これも治療の一環。この分野の発展にも関係します。

ですからある程度の犠牲は付きものです」

そう言って笑う。でも看護師さんは怒ってるようだ。

こちらを睨みつけてる。そんな気がする。


こうして実験を終えると診察へ。

「どうです最近はその症状は改善されましたか? 」

「いえ。どうも無意識に見てしまうようで…… どうすればいいでしょう? 」

悩みを打ち明ける。でもこれって凄く贅沢な悩みだよね?

俺がそう思うのだから赤の他人はもっとそう考えるだろう。


「今度はリラックスしてやってみましょうね」

再び実験。よくやらせるよ。

症状がまったく未知のものだから手を変え品を変えコツコツやって行くしかない。

分かってはいるが面倒臭いものだ。さあもう少し。

先生は真剣だ。当然だが症状が症状なだけにね。


「このカードをめくってみてくれませんか? 」

今度はゲームでもしようと言うのか?

カードゲームの要領で五枚の内から取るように指示される。

一枚を取りよく見る。

これはキング? 違った。単なる写真だ。


続けて二枚目。

今度はクイーン? 違った。単なる写真だ。

「どうです? 」

「特に問題はありません。これが何か? 」

意味することは? 俺にはさっぱりだ。医者の考えることは訳が分からない。


「では三枚目はその問題となった場面を思い出しながら開いてみてください」

あの時の場面。それは有野さんのあられもない姿。

恥ずかしくて直視は出来なかった。

最期のお尻のシーンも思い出しているがどうもこれと違う気がする。


「どうです? きちんと見えましたか? 」

先生は何を考えてるんだろう? 雑誌の袋とじの写真を見せるか普通?

まだ俺は高校生だぜ。おふざけが過ぎる。

「うーん。ではもう一度」


最終的に三度試したが何も変わらなかった。

時間の無駄とも言えそうだがこれも実験だそう。

大人しく従うしかない。


                  続く

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