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裸間ボッチ  作者: スカート保存委員会
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ナンバーフォー

生徒指導室。

消しゴムコロコロ事件だけでなく鉛筆コロコロ事件まで起こしてしまう。

その結果再び教師から説教を喰らうことに。

うん。全然成長してないな俺。でも言い訳させて欲しい。

緑先生の忠告に従い有野さんたちとご近所付き合いをストップさせている。

その間は例の習慣も我慢だ。だからストレスが溜まってこんなことに。

それでももちろん俺が悪いのは当然。でも今回もやはり見捨てられなかった。

あの鉛筆は和葉から貰った大切なものだから。

もう本人はすっかり忘れてるんだろうな。


「佐藤さんって最近男子から人気高いらしいよ」

「そんな…… 恥ずかしいよ」

内気で恥ずかしがり屋でお兄さん思いか。うんいいなあ。

こんな妹が欲しかったんだよね。和葉なんか生意気で対抗心剥き出し。

ちっとも尊敬してないから俺のことこき使うばかり。


「恐らくナンバーフォーに躍り出てるよ。俺もかわいいなって感じるし」

正直に思ったことを言ってみる。

「もう一ノ瀬君ったら。ねえこれからはたまにはお話しましょう」

上品な返し。五階さんほどではないが箱入り娘と言う雰囲気。


今まで目立たない存在だった佐藤さん。

彼女もやはり友達が少ないのだろう。俺と仲良くなりたいなんて変わっている。

忘れているだろうが俺と彼女は加害者と被害者。明確な違いがある。

そんな鉛筆コロコロ事件を引き起こした俺を信頼するんだからいい人に違いない。

彼女はもう大切なお友だち。積極的な佐藤さんについ心を許す。

うんやっぱり俺の目に狂いはないさ。


「一ノ瀬君? 」

「そうだね。へへへ…… 」

「それじゃあ。急いでお昼にしようっと」

そう言うと出て行ってしまう。

えへへへ…… 本当にかわいいな。うんいい。


そんな風に現を抜かしていると突然有野さんが入って来る。

なぜ彼女がここに? 学校ではなるべく気づかれないよう口を利いてない。

それがお互いの為。俺から言ったことはないが警戒していつも睨みつけてる。

緑先生の忠告もあって会えない日々が続く。

どうしたんだろう有野さん? あまりに軽率じゃないか?

それこそ佐藤さんに気づかれたらナンバースリーからも転落してしまう。

俺と有野さんの関係は学校の者には絶対知られてはいけない秘密の関係のはず。

一週間は接触しないはずなのに。何だか怒ってるみたい。どうしたんだろう?


バチンと廊下まで届きそうなほどの音。

もちろん俺の耳の中で反響してるだけなんだけど。これはすごく痛い。

いい音がしたらさほど痛くないと言うのは嘘ではないだろうが限度がある。

できるなら実験したくなかった。


ヒリヒリする。

顔を押さえながら有野さんを見る。

俺が何かした? ただ先生に叱られて謝罪の言葉を述べただけ。

励ますのは分かるが叩くのは違うんじゃないか?


「あの…… 気に障るようなことをしたでしょうか? 」

学校だからか有野さんだからか卑屈になり丁寧になる。

もし怒ってた時に対応できるように。でもこれで怒ってないってことないよな。

でも一体何に怒ってるんだろう? 日本経済? 外交? 税金?

いやいや俺たちまだ高校生なんだしそんなことでムキにならなくてもよくないか?


「またデレデレしてたでしょう? 最低! 」

「はあ? 先生に絞られて謝罪してただけ。なぜ怒られる? 叩かれる? 」

疑問を口にしてみるが表情は険しいまま。嘘だろう? もう意味が分からない。

疑いの目で見られても困る。ただお友だちになろうと言われただけし。

あえて隠すような疚しいことしてない。ここは学校だぞ。


「ほら言ってみなさい! なぜ私が怒ってるか? 」

知る訳ないのに強要する。こう言うところが怖いんだよね。

「日本経済が悪化の一途をたどってるからかな? 」


バチンバチン

なぜか二発食らう。いや待ってくれ。それ以外考えられない。

他に考えられるとしたらあれぐらいだが認めてたんじゃないの?

「俺が…… 」

「ほら反省して正直に告白しなさい! 」


学校の有野さんは畏怖の対象。朝は世話焼きのお姉さん。

放課後はうっとうしいほど絡むかわいらしい帰り道フレンズ。

夜は言えないぐらい情熱的な女神様。

でもそれでも学校の有野さんに認められたいし振り向いてもらいたい。


「俺が覗いていたから? 俺が! 俺が! 覗いたんだ! 」

もうそれしかない。分かっていながら今まで黙っていたのはなぜだ?

「はあ? 覗いた? 誰を? 」

「有野さんじゃないの? 」

「そんなこと…… どうでもいい! それよりもあの女に惚れたんでしょう? 」

「どうしてそうなるんだよ? 」

「だって…… 鉛筆コロコロしてわざと彼女の前に転がしたんでしょう? 」

「誤解だ! ただの挨拶。彼女はお兄さんがいるんだって。

だから親近感が湧いたんだ。凄くいい子だよ。

クラスでは地味でナンバーフォーに甘んじてるけどたぶんもうそろそろ躍り出る。

だからそんな顔しないでくれよ」

「まったくにやけて。もう最低! 」

言うだけ言って戻って行く。


俺は一つも悪くない。ただの不可抗力。そもそも俺たちは付き合ってない。

なぜ付き合ってもいない有野さんに言われないといけなんだ?

ふう苦労するよな。女の子の扱いは妹ぐらいしか分からないからな。

これは五階さんに相談するか。でも俺が謝るのも変だよな。

仕方ない。このまま続けるか。


一週間のクールダウン期間を終え楽しい登下校を再開する。


                   続く

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