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裸間ボッチ  作者: スカート保存委員会
39/82

ファーストインパクト

有野さんと五階さんと一緒にお洒落な雑貨屋へ来ています。

早朝にダブルブッキングで修羅場を迎えるところをどうにか回避。

今のところ順調に進んでいる。

でも少しでも気を抜くと嫌われる恐れがあるのでここは慎重に。


「どうしたの? 有野さんは何か買わないの? 」

気を遣ってみるが限界がある。

「ううん。さあ出よう! 」

全然気にしてない風を装うが寂しそうな表情を見せる。

いやいや予算が全然足りてないんだって。

あの三百万の時計を購入したから金はもうない。

何てね。実際は買ってない。ただ本当に金欠だ。

有野さんはあくまで付き添い。だから俺のせいじゃないよな?

多重人格の彼女にどう対処していいのか分からない。


店を出てどんどん先に行く二人の女の子。

それぞれタイプは違うけれど誰もが羨む美貌の持ち主。

俺の学校ってレベルが高いんだよな。クラスでも一位二位三位を争う存在。

一応有野さんのこともあるからこんな風に表現。

五階さんなんか政治家の娘で当然品もあってきれい。才色兼備のお嬢様だからな。

はっきり言ってなぜ俺に構ってるのか謎。意味不明だ。

だから二人で歩いてると自然と男どもが寄って来る。

うっとうしい虫どもめ。近づくんじゃない!


「ねえ一緒に遊ばない。面白いよ」

積極的な奴らだ? 俺なんかそんな口説き文句一つ覚えられない。

記憶力がいい方ではないからな。手にでも書いておくか。

「ごめんなさい。約束があるから」

そうして俺を呼ぶのだが相手にならない。

ヘラヘラしてると本気で睨んでくる輩。

なぜこんな不快な思いをしなければならない?


「もう帰りましょうよ有野さん」

「ダメ! 楽しむんだから! 」

何だか意地になってるような気がする。

もしかして雑貨店でのことを根に持ってるとか?

大人げないなあ。まあそこがかわいいところでもあるけど。

「はあ…… デートじゃないから面倒なんだけど」

つい本音が出てしまう。


「ほらマナ。飽きちゃってるよ一ノ瀬君。帰ろうよ」

五階さんは本当に優しいな。

そんな風に思っていると有野さんが急に笑いだす。

「へへへ…… パピヨンはこう見えて凄いんだから。夜になるとね…… 」

何と夜になると大胆になるそうだ。

どんな感じかな? 有野さんもそうなのか?

おかしな想像をしてしまう。バカなのか俺は? どうかしてるぜ。


「そうだ。新しいの買わなくちゃ。ついて来る一ノ瀬君? 」

笑う。まさか何かあるのか? まあこの様子だとないはずもないか。

でも機嫌が直るならどこにでも。我慢はできるタイプ。

「はい。ついて行きます」

笑顔の有野さんを信じる。


「もう止しなよマナ。アンダーコーナーにつき合わせたら悪いよ。

あなただって気まずいでしょう? 」

冷静な五階さん。

先ほどから急に機嫌が悪くなった有野さんとは対照的だ。やっぱり俺のせい?


「アンダーって言うと。例のあれ」

「そう。一ノ瀬君の大好きなあれだよ。選んでもらおうかな」

イタズラだろうが嬉しいような悲しいような。

何だか俺馬鹿にされてるか子供扱いされてないか? 

不機嫌過ぎる有野さんを連れて二人で入って行く。


俺は見守るだけ。男が入って良いような場所ではない。

禁断の花園。決して開けてはいけないパンドラの箱に手を掛けた気分。

たぶんパン…… の箱だろうが。俺だってそれくらい弁えているさ。

それに下着を買うところは見たくない。見た時に思い出してしまうからな。

下着を見て穿くところを想像する上級者もいるが俺はまだその境地に達してない。

できればファーストインパクトを失いたくない。それが俺なりの美学だ。

もしかして俺って変態? 自覚はある。有野さんお着替えを覗いた訳だからな。

でもあれは不可抗力でただ占い通りにカーテンを開けただけ。


突然頭の中でその様子が流れて来た。

俺はやっぱり悪くない。ただのハプニングだ。

そもそも開けっ放しで着替える奴がどこにいる?


一人寂しく待つこと三十分。ようやく戻ってきた。

「ごめんごめん。さあ行こうか」

予定ではこの後遅いランチをしてぶらぶらする予定。

特にこれと言って決まってない。


「あの…… 買ったんですか? 」

袋があるので当然買ったのだろう。とは言え違うものの可能性もある。

気になるがここは堪えるのがマナー。だがアンダーと言ってるしな。

おいおいこれではまるで本当に興味があるみたいじゃないか?

アンダーもそれ以上も。 

へへへ…… 一番興味があるのはそのアンダーだとは言えない。

だって俺たちまだ高校生だぜ。それ以上の興味を示していいはずがない。

我慢だ。我慢して沈黙するのがいいだろう。


「気になるの一ノ瀬君? 」

笑う。少なくても有野さんは機嫌を取り戻したようだ。うん良かった。

これで少しぐらい雑に扱っても文句言わないだろう。

「気にならないと言ったらウソになるさ」

でも中身までは見せなくていいぞ。穿いてから改めて。


「もう恥ずかしいからやめようよ」

五階さんは商品を見られたくないらしい。当然だよな? それが普通だ。

こうして詳細は伏せられた。

近くでは聞き耳を立てる輩が。まったく。こいつらどうしようもないな。

変態だ。俺が言えた義理ではないが。


それからはランチを済まして駅前のアミューズメント施設で楽しむことに。

あーあ。これがデートだったらな…… もっと盛り上がったのに。

まあ妹の誕生日プレゼントを買えたからよしとするか。

二人は楽しんでるようだしな。

暗くなる前に送り届ける。と言ってもお隣だけどね。


こうして一日を終える。


                 続く

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