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裸間ボッチ  作者: スカート保存委員会
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モロ見え

五階さんの追及を受けるとどうしても言い訳が先に出る。

「俺は悪くないんだ。あれは有野さんからやったことで…… 」

もちろん反省はしている。でも俺だけのせいにされては困る。

はっきり言って有野さんが悪いんだ。

五階さんにまでずっと言い訳じみた返答することに。

あーあ嫌われたかな。もうどうにでもなれ。


ちょっとしたことがきっかけで二人の関係に亀裂が入る。

これからよくして行こうとした隣人関係が破綻しかねない。

失態だ。どうしてこうなった?


夜。

失意の中ある発見をする。

女難の相は存在したと。そうとしか思えない最悪の展開。

もはや一日でも早く女難の相を取り除かなければならない。


占い師によればカーテンを開け部屋を開放的にして運気を上げるだった。

もう遅いだろうがこれ以上の不運には見舞われたくない。

それが自分を取り戻す唯一の方法だと疑わない。

さあ言われた通りに締め切ったカーテンを開こう。


昨夜あれほど葛藤し我慢したと言うのに呆気ないほど簡単に考えを変える。

百八十度考えを変えて俺は一体何をしようとしているんだろう?

そんな風に心のどこかでまだ罪悪感が残っている。

何の迷いもなく行動してるようでいて実は戦っているのだ。

己の弱い部分と戦って自分をどうにか正当化することに。


占い師の勧めを実践。

さあ言われた通りに締め切ったカーテンを開く。

いつ以来だろう? 母さんが昼間に片づけついでに空気の入れ替えをした時か。


では行きますか。

まずはレースカーテンを。そして白のカーテンを開ける。

うん? これが何だと言うのだろう? どうも騙された気がする。

女難の相を振り払えるとは到底思えない。単なる気休め。

外は真っ暗だから何も見えない。やっぱり昼にすべきだろう。

本当は早朝にやるのが一番。でも学校があるから開けっ放しはちょっと。

いくらここが人通りがなく安全でもさ。だからって夜に開ければ何も見えない。

それどころかあちらからは逆にこちらがよく見える。ダメだ。ここは諦めよう。


続いて隣の部屋との境界のあるカーテンを開ける。

そうするとモロに有野さんの部屋が見えることに。

まずい! これはどうしよう? 

ただでさえ喧嘩中なのに嫌われる行動を取ってどうする?

これで仮に女難の相が収まっても別の問題が勃発するに決まっている。

俺はバカじゃない。天才でも秀才でもないがそれくらいのことは分かる。


閉めたところを開けまた閉める。こうして元の状態に戻す。

掛かった時間はほんの一分。その中で葛藤があった。

俺の中にも決して破ってはいけないルールがある。

破れば罰を受けることに。それが分かってるからやらない。

でも今はそのルールや規則を無視してでも突っ走ろうとする自分がいる。

明らかに自分がおかしくなっていくのが分かる。

これもすべて昨日の失敗を引きずっているせい。

さあどうすればいい? 判断するのはもちろん自分だがうーん困ったな。


開けたり閉めたりを繰り返しているといきなりバタンという音が。

どうやら家主のお帰りのようだ。有野さんが学校から戻ってきたのだろう。

気づいたかな? 気づけばこちらに視線を送るかすぐにカーテンを閉めるか。


しかし残念と言うか嬉しいと言うか不自然にもカーテンがない。

どうしてないんだ? 俺のところにはきちんとある。

それなのに有野さんの部屋にはない。

引っ越した時にケチったか? それとも何らかの意味があるのか?

単純に危険がないと言うことだろうか? それなら俺は構わない。

でもここで見守るのは危険過ぎる。いくらお隣さんでもプライバシーがある。

覗かれて嬉しい特殊な奴はいない。いても稀。まずいない。


しかしおかしいんだよな。俺は有野さんを守ろうとした。

でも逆に彼女を傷つけようとしている。

あまりに矛盾した行動を取る自分が信じられない。

一体俺は何をやってるんだろう?

今からでも遅くない。引き返せば問題ないのにその選択ができないでいる。

まるで何かに憑りつかれたかのように罪を犯す。


とりあえずカーテンを全開にしては一目でバレる。

ここはほんの少しだけ開け挨拶するのがいい。挨拶だけ。そう他はしない。

手を振ってみる。振り返す様子はない。大丈夫俺の存在に気づいてないな。

いやいや気づきようがない。そもそも日課だろうし。


さあ制服姿の有野さん。うんこれでも充分すぎるほど魅力的。

輝いて見える。全身からオーラを感じる。

さあ準備完了。後はその衣をはぎ取るのだ。

そうすれば下着が見え隠れする。へへへ……


別にそこまで興味はない。俺は巷に生息する変態ではないのだ。

大体女の裸も下着なんかも妹の和葉で嫌と言うほど味わってきている。

今更何かを感じるはずがない。と言いつつも和葉の件は小学生の頃だけどね。


視線を感じたのか彼女は脱ぐのをやめてしまう。

いや違った。テレビをつけたのだ。危ない危ない。

まあ俺も似たようなものさ。テレビを見て寛いでるのだろう。

今日はこれくらいで勘弁してやるか。初めてだもん。

いや…… よく考えろ。こんなチャンスめったにないのでは?

あるはずがない。無防備な彼女を見てみたい。そんな気がする。


うん口元が緩んだぞ。リラックスでもしてるのか。

さあ続きをお願いしましょうか?


でも待て待て。このことがバレて退学になったらシャレにならない。

入学金も払ってまた違う学校は嫌だ。その辺のことは俺は詳しくないが。

でもきっと俺は退学させられてしまう。だってこれが初めてじゃないから。

消しゴムコロコロ事件が尾を引いている。


冗談じゃない。両親に会わせる顔がない。

さあここは無理せずに。誰も救われないぞ。

そんな趣味恥ずかしくて誰にも言えないだろう?


よし戻ろう。カーテンを閉めてしまえば……

だが再び目の前で着替える後ろ姿を見ては撤退などできない。

くくく…… 恥ずかしがり屋だな。堂々と前を向いて着替えればいいのに。


さあゆっくりお願いしますよ。


                   続く

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