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裸間ボッチ  作者: スカート保存委員会
30/80

三角関係

ただいま!

誰もいるはずのない部屋に挨拶。癖と言うか日課。

それにしても疲れたな。ここまで疲れるか?

最後の詰めが甘かったよな。完全に嫌われた? 別に嫌われてもいい。

元々俺は一人だった訳で。孤独に家で過ごすのは慣れている。


ふうう…… どうしたってため息が出る。

うまく行ってたらもっと深い関係になれたのかな?

俺が焦ったせいですべてが台無しになってしまった。

後悔しても後悔してもしきれない。

ただ今日はタイミングが悪かったのかもしれない。


やはり女難の相? 早いとこ何とかしなくちゃ。

運気を上げるには開け放てだっけ?

すべて占い師のアドバイス。

カーテンを開けるようにと。全開にするように指示。まずはそれからだな。


有野さんか…… もう無理だろうな。

どうせ俺には高嶺の花だったのさ。

外からじっと見つめるだけでよかった。こんな複雑な関係にはなりたくなかった。

まあ今更遅いのだが。


さあ夕飯を食べたら少し勉強。

中間はコロコロ事件もあって散々だった。これ以上母さんに迷惑は掛けられない。

洗濯と掃除と弁当と授業料ぐらいが限界さ。

俺だけでなく妹の和葉もいるんだから苦労を掛けさせたくない。

これが俺の偽らざる気持ちだがどうしたって掛けてしまうことになる。


うーん。明日からどうしよう? やっぱり嫌われた? もしかして好かれた?

どうしても有野さんとのことが頭から離れない。

途中までうまく行ったんだよ。自分がしたのをされるのがそんなにショックか?

いきなりとかじゃない限り覚悟はしてると思うんだけどな。

やっぱり女の子の気持ちって難しい。あのまま行ってしまえばと思ったが。

がっつき過ぎたかなと反省してる。でも次回に活かせるかと言うと無理だろうな。

その時の状況次第。たぶんそれでも止まらないと思う。


あれは有野さんが悪いんだ。ふざけて頬にキスをするから。

こっちだってお返ししないと。それに近所付き合いにはお返しが必須。

しなければ非常識な人間として相手にされなくなるし距離を置かれることになる。

だからこれは間違っていない。俺は正しいことをしたんだ。でもな……


そんな風にあーでもないこーでもないと考えていたら勉強に集中できない。

有野さんに夢中になってすべてが手につかない状況。

ついには変な思い出まで流れて来る始末。

「有野は多重人格だって。学校と家ではまったく違うんだと。夜の顔があるそう」

男どもの嫉妬や羨望からくるおかしな噂が耳から離れない。


「私も夜は別の顔がある」

五階さんも庇いつつ普通のことだと擁護していた。

自分もそうか。皆がそうなら俺だってそうなのかもな。


少し気になってカーテンを開けようとしたがやっぱり無理だった。

別れたばかりの俺がそんなことをすれば何を言われるか分からない。

裏の顔が何なのか気にはなるが同級生の家を覗くのは間違っている。

当然同級生だけでなくても言えることではあるが。


こうして今日はいいことと悪いことがあった。

いいことってほどではないがキスをしたこと。

あれは有野さんから仕掛けたとばかり思っていたが違ったらしい。

そのせいで関係がギスギスして帰りは話さなかった。話せなかった。

くよくよしてもしょうがない。でも気にせずに寝れるほど俺は神経は図太くない。

今日は我慢だ。明日謝ってまたいつもの関係に戻れたらな。

おやすみなさい。


予想は的中した。俺は嫌われた? 振られた?

翌日から朝も捕まらず昼も話せず放課後に見つけることもできず関係が終わった?

もちろん教室ではチラチラ様子を窺った。でもいつも通り睨みつけられただけ。

せめてどこでもいいから二人っきりになれたらいいんだが無理なよう。


悲観中。どうすることもできない。

うわああ! 俺が不用意にキスなんかするから。

ダメだ。今更反省しても後悔しても遅い。

仕方ない。ショッピングモールで有野さんを見つけるか。


「どうしたの? 今日は一人? 」

立ち読みして時間を潰してると五階さんの声が。

「あれ五階さん…… 」

「聞いたよ。喧嘩したんだって? マナは落ち込んでた」

興味本位で話に突っ込んだのではなく様子を探るよう頼まれたそう。


「へえ強引にキスまで行ったんだ。ふーん」

あれおかしいな。なぜ五階さんが代わりに怒っているんだ?

「怒ってますか? 」

昨日の今日でその上一昨日のことだからな。慎重に対応しよう。

「やるね一ノ瀬君。見直しちゃった。もうお弁当を作る必要ないね? 」

嘘? 五階さんまで俺を見捨てようとする。

せっかく五階さんの手料理のお弁当を頂けると思ったのに。

「つい調子に乗ってキスを…… だからお弁当は頼みます」

白状する。これですべてを知られることになる。


「もうそれくらいでいいよ。それよりもマナを心配してあげて」

有野さんは相当落ち込んでるそう。

こうしてなぜか変な三角関係となる。

俺はこのままでいいとは思ってない。でも五階さんがなぜ俺を追及する?

 

五階さんから軽蔑されることはなくどうにかなったらしい。

後は有野さんの機嫌を取るしかない。しかしどうやって?

確かに俺のやったことは最低だよ。悪ふざけに乗じてキスをしたんだから。

でもそれは有野さんからやったことで。彼女に隙があったからに過ぎない。

俺は悪くない。悪くないんだ。


きちんと言い訳だけは考えておこうっと。


                  続く

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