表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/163

邪魔しないでくれ

早く帰ろうとしてるところで邪魔が入る。

「ちょっといいの一ノ瀬君? 」

佐藤さんとリンちゃんだ。同じクラスメイトで友だち。

「うん? 何の話? 」

いいも悪いも説明もなしに聞かれても訳が分からないだけ。

「有野さんが男の子と歩いて行った」

それがどうしたんだろう? 別にいいんじゃないの? 彼女の自由さ。

今は一刻も早く明日の対策を立てないといけない。

もう時間がないんだ。このままでは和葉の身に危険が迫る。


「へえ…… 忙しいんだ」

感想を述べると睨まれる。一応は真面目に聞いてるんだけどな。

「いいからこっち! 」

そう言うと無理やり引っ張って行かれてしまう。もう強引だな。

明日のクリスマスパーティーで忙しいんだってのに困ったぞ。


「ごめん俺忙しいから帰らないと」

「いいから。たぶんこの辺」

校庭の花壇のところで男女が向き合ってる。

よく見れば有野さんじゃないか。

佐藤さんを見る。首を振るがどうやら告白を受けてるのだろうと。

しかし睨みっぱなしの有野さんに誰が好き好んで告白するんだ?

相当なモノ好きだよな。うんこいつは見たことがある。

確か同じクラスの一番端の方で目立たない冴えない男。


そう言えば前もこんなことあったっけ。

あの時は相手の男だけが見えて迷惑だなと思ったが多少応援していた。

結局その男は一週間ぐらい落ち込んでいたが他のクラスの子にまた告白していた。

いつも昼休みに屋上だから嫌でも目に入る。

当時は五階さんと。彼女はただの世話焼きの相談相手だったからな。

でも今は違う。恐怖のお隣さんだ。


「一ノ瀬君どうするの? 」

「俺に聞かれても…… 興味ない」

実際どうでもいい。どうせ今の有野さんでは玉砕するだけ。

俺だってそれは同じ。睨んでる有野さんは何人たりとも寄せ付けない。

オーラがあると言うか迫力があると言うか。


佐藤さんは心配してと言うより面白がっている気がする。

リンちゃんも恥ずかしがってるが目は逸らす気はなさそう。

放っておけばいいのに二人ともお節介だよな。

お願いだから俺を巻き込まないくれよ。


告白か…… そんな季節だよな。もう遅い気もするが。

それにしてもこいつ命知らずだな。どうせ振られるのによ。

でも待てよ。そろそろ人格が変わる頃か。まずいか?

案の定睨んだ顔はそのまま。告白は失敗に終わったらしい。

すぐにその場を離れた有野さん。男は呆然自失。

この告白にすべてを懸けたのに失敗に終わったらしい。

無謀な奴だ。可哀想に。明日は思いっきり励ましてやろう。話したことないけど。


まずい。有野さんがこっちに向かって来る。

逃げないと。いつの間にか佐藤さんたちは姿を消した。逃げ足の速い連中だ。

さあ俺も帰るか。明日の準備もあるしな。

睨まれては敵わないし朝の件もあるので逃げたい。

校門を出てすぐに有野さんに捕まってしまう。


「一ノ瀬君見っけ! 」

ほんの数分前には睨みつけて断っていた有野さんが笑顔で迫る。

いつものこととは言え怖いんですけど。

どうやらいつものかわいくてうっとうしい有野さんらしい。

さあ行こうかと俺の話どころか何も聞く耳を持たない。


「どうしたんですか有野さん? 」

途中からだったので詳細が知りたくて仕方がない。

「いいでしょう? 」

そんな風にごまかすから余計に知りたくなる。それが性だろう。

「よくありません。これは…… 」

「はいはい。確かに告白を受けた。でも興味なかったから断ったの」

「やっぱり不細工は苦手ですか? 」

「違う…… あなた以外誰とも付き合うつもりない。理解してよ! 」

恥ずかしそうに俯く有野さん。やはり俺をいたぶって楽しむつもりだな。


普通告白をされたらちょっとは嬉しいんじゃないのか?

俺だったら多少ルックスが劣っても女の子から告白を受ければ舞い上がるだろう。

それほど男とは単純な生き物。でも有野さんは違うらしい。

「ごめん。余計なことを…… 」

俺は何をやっているんだろう? 嫌がることをしてどうする?

それでは振られた男と同じ運命をたどることになるだろう。


こうしていろいろあったが今日も無事に終了。

さすがに明日のパーティーの支度がある。

今日はいつものあれはやめよう。疲れてしまう。


さあ飾り付けをするか。でもその前に実家に連絡を取る。

都合が悪くて急遽いけなくなったが一番自然。

そうなれば二人だって仕方ないと諦めてくれるだろう。

「どうしたの晶? 和葉ならまだ帰ってきてないよ」

くそ! どうにかして和葉を守ろうとしたがどうやら簡単ではないらしい。

どこにいるか聞いても分からないと。まあ当然か。

もう受験を終えて自由に動き回ってると見ていい。


しかし肝心な時に…… 和葉には未だ連絡が取れない状態。

恐らく友だちのところだろうが。呑気なんだから。

これでは来てしまう。それだけは何としても避けなければならない。

ダメだ。もう打つ手がない。いくら言っても取り合ってくれないからな。

くそ! もう知らない! 勝手にしろ!


一応は準備は完了した。正直に和葉と連絡が取れないと言っておいた。

これで和葉が来なければすべて丸く収まる。これはもう仕方ないこと。

どうせ参加メンバーはお隣さん。三人だけなんだから。

いつも通り俺たちだけで楽しめばいいさ。ゲストは必要ない。

おっと…… 大家さんがいたっけ。でも忙しいだろうからな無理に誘わない。

これはあくまで俺たちのクリスマスパーティーなのだから。


                  続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ