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アキラからのお返し

朝。

どうしよう…… 二人にバレた。

決して知られてはいけない俺たち兄妹の秘密を知られてしまった。

これで俺は彼女たちの操り人形。奴隷と化す。

残念なことにクリスマスパーティーは開催される。

もう何が起きてもおかしくない。非常事態。

俺は果たしてあの脅迫者たちから和葉を守れるのか?

とりあえず昨夜の憂さ晴らしをしなくてはやってられない。


朝も昼も帰りも二人は優等生で通っている。

対して俺は消しゴムコロコロ野郎と陰口を叩かれる毎日。

あまりにも違いがありませんか? 

すべてを暴露してもいいんだぞ?

俺が今の近隣関係を解消して元のただの高校生に戻ったって構わない。


いや不可能か。それは彼女たちだけでなく俺の罪まで暴かれることになる。

何と言っても二人とも俺と違い覗いた訳でもない。今のところ脅迫したに留まる。

くそ! なぜ俺ばっかりが酷い目に遭わなければいけないんだ!

やはりこのままの関係を続けるしかない。

有野さんとの結婚の夢も遠のくばかり。


ここは切り替える。

夜は決して抵抗できないのだしそれ以外で憂さを晴らすとしよう。

別に恨みはないんだ。ただ悪さをする子には罰を与えるべきなんだ。

「おはよう一ノ瀬君。どうしたのそんな怖い顔してさ。

ほら服が汚れてるよ」

朝の有野さんは相変わらず優しくて気の利くお姉さんタイプ。

ではどんなパンツを穿いてるのかな?


さっそくめくってみると白かった。強烈に印象に残る。

きゃああ!

叫び声を上げて先に行ってしまった。

数時間前のお返しだ。どうやらいつもの朝の有野さんだ。

それはとても嬉しいことだけどあれだけいたぶられたら仕方ないよね。

そもそも俺はそう言う人間さ。もう嫌われてもいい。

いや早く嫌われないともう明日だ。

大喧嘩でもしないとパーティーは中止にならない。

脅迫者の思い通りには絶対させない。


「ちょっと一ノ瀬君! マナに何てことをするの? 」

まともな五階さん。久しぶりだな。

昨夜は有野さんだけならどうにでもなった。しかし五階さんの存在が厄介だった。

どこからか持ち出した秘密をネタに脅しを掛けるのだから。

二人とも最低な人間だ。特に五階さんは多重人格ではないはずなのに。

都合よく夜のことを忘れるとはあまりにも自分勝手。

絶対におかしい。五階さんはもう狂ってるよ。

当然俺だって間違いなく狂っているが。


「いいだろう? 少しぐらいよ。減るものじゃねえし」

ふう。やり過ぎかな? でもこれが一般的な男。特におじさんはこうだ。

勝手に決めつけてるが大体合ってるだろう。

最低なおじさんを演じるのも大変だな。

ここで仮に変態のレッテルを張られようと構わない。

それで彼女たちが離れたっていいんだ。もうやけくそさ。

ただ覚悟が必要だ。ここまで行けば引き下がれない。とことん行ってやる。

ただ彼女たちだって黙ってない。そうすると夜がとても恐ろしくなる訳で。

寒気さえ感じる今日この頃。大体招いてもいないのに勝手に入って来るからな。


「どうしたんだろう一ノ瀬君? 」

「ただの欲求不満でしょう? 彼も男の子だからさ。マナも気をつけなきゃ」

うーん。人のことが絶対に言えない人たち。

優等生の面を被った悪魔だ。俺は知ってるんだぞ。

何としても和葉を守り切ってやる。


「ほら手を繋ごう」

そうやって五階さんがどうにか収めようとする。

だがそうはさせないぞ。これは見えない戦い。暗闘だ。

「うるせい! 誰が繋ぐかよ! 」

ああ心がすり減って行く。和葉の為とは言えこんな酷いことを言って。

それに昼間の二人に罪はない訳で…… いやだから五階さんはあるのか。


「ごめんなさい一ノ瀬君。私たち何かした? 」

まずい。泣かせてしまった。もう限界だ。

しかし何かしたはないよな。思いっきりしてるじゃないか。

「ごめん有野さん。俺ちょっとイライラしちゃって」

「何だ。だったらいいよ」

優し過ぎるよ。夜とは大違い。学校での彼女とも大違い。

こうして手を繋いで仲良く登校することに。

あーあ。俺ってダメだな。やっぱり和葉を守れそうにない。

魔物の巣窟に誘い込む俺をお許しください。


教室でため息を吐くこと十回。

今日も有野さんは俺を睨んでいる。

別に構わないさ。他の男に愛想を振りまかなければいいんだ。

それで構わない。ただ昨夜のことがある。

どうしたらいい? そんなことばかり考えてろくに集中できやしない。


「お前さっきから有野のことばかり見てるぞ。また消しゴムでも転がす気か? 」

俺の周りの男にはどいつもこいつもロクなのがいない。

どうして俺がそんなことしないといけない? そんなおかしな人間いるものか!

「そこ静かに! 」

うわ…… 俺が悪くないのに。

そう言えばこいつら何だか浮かれてないか? まさかクリスマスが近いから?

どうせお前らじゃ無理だって。憧れるのは構わないが相手が必要だろうが。

そんな浮かれた奴らに合わせて俺もちょっとだけ浮かれ気分で放課後を迎える。


さあ帰るかな。今日は有野さんいないみたい。

そんな時に限って五階さんが姿を見せる。まるで俺を監視してるかのよう。

嫌になって来るぜ。どうやら用があるらしい。しかし俺にはないので無視。


急いで外へ出ようとすると佐藤さんとリンちゃんに呼び止められる。

仲良しでよく二人で。リンちゃんの体調は優れなくて最近は学校を休みがち。

詳しいことを話してくれないので余計に心配になる。

「あの…… いいの? 」

佐藤さんは外で偶然出会ってから警戒するようになった。

でも大切なお友だちでもあるから複雑だ。どうしよう?


                  続く

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