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緑先生の正体

「あなたは誰なんですか? 緑先生なんてうちの学校にいない! 」

ついに真実を突きつける。これは五階さん情報。

嗅ぎ回っていたので五階さんが調べてくれた。

「学校の先生でしょう? 違うのかな? 」

それでも動揺せずに俺を試すような態度を取る。

そもそも自分の学校の生徒に手を出すのはあり得ない。

教師としてあるまじき行為。常識に照らし合わせても間違っている。

それはもはや教師ではない。完全に逸脱している。


「私の正体? 知りたいの? 教えてあげようか? 」

そう言ってキスしてごまかす。まったくどこまでふざけてるのだろう。

俺はどっちを信じればいいのか?

悩みに悩み抜いた。それでも答えが出ることはなかった。

でも俺は隣人関係を壊したくない。だから有野さんたちの方を信じる。


「ごめんなさい緑先生。本当はこんなことしたくなかった。

次しつこく絡んだり隣人関係にひびを入れようとしたら躊躇わずに実行しろと」

「ううん。一ノ瀬君はちっとも悪くない。悪いには私。

もう少し慎重にやっていればこうはなってない。

責めるべきは私自身。あなたはまだ子供。簡単に騙されると理解してるつもり。

それでも万に一つでも私の味方をしてくれると思った」


「俺は緑さんを信じてる。だから最後まで俺を信じて欲しい」

「分かった。でも偽名じゃ信用を失うわね」

「そうですよ」

「私はね。緑先生じゃない。モトカって言うエージェント。

その時々に合わせて七変化するの。

ある時は教師。ある時はメイド。ある時は刑事。これ以上詳しくは言えない」

何でも屋は正しいらしい。サトルから依頼されたからトラブルは間違いないそう。

しかしそれだってサトルの妄想。確証は何一つない。ただの勘でしかない。


「モトカさん…… 」

「まさか私からとはね。アキラ。あなたとは仲良くできると思ったのに残念。

和葉ちゃんを守ってあげてね。私も頼まれたからサトリちゃんを守る! 」

こうして最後の言葉を残し大人しくなる。


有野さんが持ち歩いているロープで緑先生を拘束。

そして最悪なことに大家さんに引き渡す。

憎むべき相手の手に渡ってしまう。

「はいはい。ご苦労様。家賃を半額が効いたかな」

何と別室にいたその問題の大家さんが姿を見せる。


「緑先生は俺だけの先生だ。困らせたくも怖らせたくもない。

でも俺たちの周りをコソコソ嗅ぎ回ったから仕方ないんだ」

下手な言い訳は逆効果。ここは大人しく大家さんに引き渡そう。

「一ノ瀬君! 私を信じて! 取り返しのつかないことになる。

それでもいいの? 」

往生際の悪い緑先生。どちらがおかしいのか一目瞭然なのにな。

俺は最後までお隣さんたちを信じる。有野さんと五階さんを信じるんだ!

しかし…… これで本当に良かったのか? 俺にはまったく分からない。


こうして俺は何事もなかったようにホテルを後にする。

それにしても緑先生の正体は何でも屋? エージェント?

教師でないならなぜ俺に近づいた? 教師でないならどうやって学校へ?

本当に正しかったのか? 誤りじゃないのか?

自問自答する。だからって答えが出る訳ではない。


俺はたぶん緑先生を信じなかったんじゃない。

ただ有野さんたちとの隣人関係を保ちたかっただけ。

その為に緑先生を生贄に差し出した。

何の為にこんなことをしたのか? 

疑問が残る。大家さんを信じるにしても何だかおかしい。違和感がある。

それが何なのか分からない。本当に緑先生は実在しなかったのか?

真実から目を背けている。そんな気がする。


ついに明後日にはクリスマスパーティーだ。

パーティーには妹の和葉も参加する。果たしてどうなるのやら。

その前にコソコソ嗅ぎ回っていた緑先生をどうにかしてほっとしている。

彼女の気持ちが分からずにずっとモヤモヤしてたからな。

これで心置きなく楽しめるな。


夜。いつものカーニバルタイム。

まるで人が変わったように夢中で踊り続けるお隣さん。

それは有野さんだけでなく五階さんも。


ドンドン

ドンドン

もう覗くつもりもない。だってそんなつまらないことをする意味がないから。

「どうぞ」

勝手に入ってくればいいのに律儀にノックをする。

どうも家主の許可と言うか招待を受ける必要があるらしい。

まあ勝手に入れば住居不法侵入だろうがそれがどうした?

家主である俺が好きに入ってこいと言えばそれで問題ないはずだ。


「もう早く寒い! 」

裸族の方はもう十二月で真冬だと言うのにお構いなし。

だったら泣き言も言わないで欲しいな。


トントン

トントン

ほぼ同時にやって来る迷惑客。

それが裸族の皆さんだ。

と言っても彼女たちはクラスメイトだったり隣のクラスだったりする。

今は密かに隣人関係を結んでいる。

そうしてディープな夜を堪能する。と言っても決して俺が望んだものではない。

彼女たちが勝手にやってること。不可抗力だ。


それは俺だって裸で迫って来る女の子に興奮しない訳じゃない。

迷惑だとは思わない。でも俺は思春期症候群の影響でよく見えない。

どんなに目を擦っても凝視しても見えないものは見えない。

それが俺にかけられた呪いであるかのように。


                続く

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