表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/163

絶体絶命の緑先生

ここはラブホテルだぞ? 出入り口を張られたら言い逃れできない。

慎重に対応しないと痛い目に遭う。

それは生徒である俺じゃなく緑先生の方が慎重さを求められる。


「うん。一ノ瀬君は悩んでいたのね。分かってあげれなくてごめんなさい」

そんな風に頭を下げて丁寧にされても困るな。

「いいっすよ。それよりも緑先生もこの際だからはっきりしてください」

懇願する。果たして緑先生はコソコソと嗅ぎ回って何をするつもりなのか?

いい加減近隣関係を騒がすような真似はしないで欲しいぜ。


「その前に下着を」

残念なことにくれるのではなく着るそうだ。まあ当然か。

こうして落ち着いたところで詳しい話を聞く。


「私はね一ノ瀬君。彼女たちのことを疑ってる」

そう言えば五階さんが接触したら逐一報告しろと言っていたな。

それほど緑先生はお隣さんたちには危険な存在。


ブラをつけドンドン元に戻す。凄くもったいないよう。

でもここは我慢だ。おかしな気を起こして嫌われては元も子もない。

せめてすべて聞いてから行動すべき。俺はまだ冷静さ。

冷静…… いやもう緑先生に取り込まれている。そんな気がする。


「疑っている? 何を? 」

恋人がいるかいないかならお教えできる。もちろん二人に特定の恋人はいない。

だから俺なんかとご近所付き合いをしてくれる訳だ。

それと五階さんは確実ではないが少なくても有野さんは立派な人。

顔や運動神経に頭の良さで選ぶことはない。

「失踪した転校生のその後を知ってるんじゃないかと考えてます」

はっきり言う。俺がどちら側かまだ判明してないと言うのに。軽はずみだぞ。

取引をするって人間がその辺が抜けていてどうする? 俺は非情な人間さ。


「まさか緑先生は彼女たちが追い込んだと? 」

転校の首謀者は有野さん?

いやまずそんなはずないか。あんなにきれいでかわいいのにあり得ない。

それは俺も一時は疑ったさ。あんなノートがあれば誰でも疑いたくもなる。

しかし別に今の俺と大して状況は変わってない。

素っ裸で踊り部屋に乱入する困った隣人に手を焼いただけ。

そこで少しおかしくなった。

だが転校と言うか引っ越せばそれも解消される。

消息を絶ったのはよく分からないが彼女たちとは無関係。


調べて見ればどうってことない結末と言うのはよくある話。

どうして大げさにしたがるんだ? 何でも大げさに騒げば面白くはなるだろうが。

調べられる側にしてみればうっとうしいだけで面白くもなんともない。

迷惑だとなる。それが大家さんの意見。俺もなるほどなと感心する。


「何度か話したことがあると思うけどサトル君は転校なんかしてない。

突然失踪して今どこにいるか不明。行方を捜してもどこにも。

きっと神隠しのようにいなくなったんだと思う。

でもこれは言いにくいけど二人が関わった可能性が極めて高いそう。

その首謀者があそこの大家さんだと私は見てる」

とんでもないことを言い出した。

まさか大家さんが裏で一枚嚙んでるとは夢にも思わない。

ははは…… あの良い人そうな大家さんが? あり得ない。


神隠し? やっぱり大げさ過ぎるよ。

確か地方によっては鬼隠し何て呼ばれることもある。

サトルが神隠しだか鬼隠しだかに遭ったと言うのか?

あまりにも論理が飛躍し過ぎている。転校しただけだろう? 

仮に失踪したのだとしても毎年何人も失踪している。

何ら不思議なことでもない。そもそも俺には関係ない。

だが緑先生は自分の妄想に憑りつかれてしまって冷静な判断ができないのだ。

そんなこと常識的にあり得ないだろう?

せめて神隠しした瞬間を目撃したのならまだ話は分かるが。それでもね。


とりあえずまとめる。失踪には有野さんと五階さんが何らかの形で関わってる。

その上大家さんが命令してる。

おいおいもしそれが真実なら俺はとんでもないところに住んでることに。

牙を剥いたら俺にまで危害を加えるつもり。


「ははは…… 冗談はよしましょうよ。大家さんはそんな人じゃない。

確かに口うるさいし勝手に部屋に入って来る困った大家さんだけど。

犯罪を起こすような大それた真似ができるような人じゃない」

すべてを着た緑先生はそれはそれで悪くない。

もう一度脱がす楽しみが増えたな。おっとまた邪な考え。

いけない。俺は有野さん一筋だ。他の女性に現を抜かす訳には行かないんだ。


服を着てベッドを整えて大人の余裕を見せる緑先生。

ポーチからコンパクトと口紅を取り出し身だしなみを整える。

「先生は俺と寝てまで一体何を? 」

「ふふふ…… 一ノ瀬君がお気に入りなの」

ダメだ。はぐらかす。まだ何か隠してるに違いない。

ここは俺の方から真相を暴く必要がある。


「ねえ緑さん。俺はあなたに憧れてるし感謝もしてる。でも…… 」

これ以上はどうしても追及できない。すればなぜ俺に近づいたか知ることになる。

もちろんもうほとんど理解した上で真実を隠し逃れようとしている。

俺は卑怯な男なんだ。真実を知るのが怖くて立ち止まってしまっている。

それが命取りになるかもしれないと言うのに愚かにも前に進もうとしない。

「先生が抜けてるよ一ノ瀬君。私たちの関係を忘れちゃったのかな? 」

そんな風にふざけて笑う。でももちろん無理やりだから笑え切れてない。

心から面白くか楽しくない限り本当には笑えない。ただのパフォーマンスだ。


「あなたは誰なんですか? 緑先生なんてうちの学校にいない! 」

ついに真実を突きつける。



                   続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ