0 プロローグ
本作は続編となります。
単体でもお楽しみ頂けるよう配慮したつもりですが、(。´・ω・)ん?と思う場面も多々あるかと思います。
前作をお読みいただくとその(。´・ω・)ん?は解消できると思いますので、お時間があれば是非そちらもお楽しみください。
因みにプロローグの彼女は主人公ではありません。
ムカつく……っ
ムカつく……っ!!
ムカつくっっっっ!!!
マジで何してくれてんの?!あのババァ!!
いきなりキレ気味で説教始めたと思ったら、スマホ割るとか、マジでありえないんですけどっ!!
完クリまであとちょっとだったのに…っ!!
ここまで来るのにどんだけつぎ込んだと思ってんのよっ…!
ふざけんなっ!!!マジで死ね!!
親だからって…何してもいいと思ってんの?!こっちだってこんな家、好きで生まれて来たんじゃないっつーの!!
パパだって…っ、いつもは何にも言わないくせにいきなり通報とかマジない…っ。
ちょっと包丁でかすっただけだし…あんなんで死ぬとかないし、娘の将来がどうなってもいいわけっ…?!
あぁ…そんなことより……スマホ。
絶対データ飛んだ……。バックアップ取ってないし、イチからとかマジ無理……。さすがにこれ以上親の財布からも取れないし…。
もう…
やだ……。
なんでこんなことになっちゃったの…。
もうほんと…生きてくの……つらい……。
人気のない深夜の住宅街。
パトカーのサイレンに怯えつつ、無意識に明かりの少ない暗闇を選んで進む。
数年ぶりに走った肺がゼィゼィと鳴る。喉の奥に広がる血の味を飲み込み、呼吸を整えながらふと足元に目をやると、サンダルの片方がなくなっていた。
「死んだら転生とか、できたらいいのにな……」
遮断機の下りた踏切で立ちどまる。
ポツリと吐き出した呟きは踏切の警報音にかき消された。
ふわりと風が流れ、目の前をスピードに乗った上り電車が通過していく。
「そしたら私…絶対アイーシャになりたい。みんなに溺愛される姫とか最高じゃん……」
そう考えると、自然に笑みが生まれた。
「そうよ…。こんなクソみたいな世界、もともと私の居場所なんかじゃなかったのよ」
左から眩しい光を放ちながら下り電車が近づく。
「私の居場所は……」
吸い込まれるように体が動く。
「大好きなアレクシス様の腕の中……」
遮断器をくぐり線路の上に立つ。恐怖なんて微塵も感じなかった。
(だって目が覚めたら、私は『救国の乙女アイーシャ』の主人公として転生しているはずだもん……)
「待ってて、アレクシス様。今すぐ行くから……」
お読み頂きありがとうございました。
第一話の更新は本日19時、もしくは明日の予定です。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。