表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/21

7.おのれ魔物ども

初投稿なので行間なんかは試行錯誤中です。

スライムの皮を売った後はまっすぐ宿屋に向かった。夕飯を食べて自室に戻ったところでふと考え事が浮かんだ。


「どんな武器を作ろうか」

これである。


現在俺の目標は聖剣を超える武器(現地人向け)を作ることである。

実は大まかな作成手順は既に考えている。


まず、錬金術で魔物の素材を各々の特徴を強化しながら大まかな部品ごとに金属化する。特に複数の魔物の素材を混ぜ合わせて1つにして使用する部品は形が不定形になるのでインゴットにする。


次にそれらを鍛造して成形する。

最後に、成形した部品を含めて組み立てる。


このような形で作ろうと考えている。

これは200年前に行われていた錬金術を使用してミスリルなどの金属を加工しやすくするのと同じ手法を魔物の素材を使用して行うだけの物であり、失敗する可能性は低い。


また、この方法であればただ強いだけの武器なら作るのはそこまで難しくはない。

亜空間の中にはかつて人類を滅ぼしかけた魔王の一部とそれが率いた大量の最上級の魔物の死体が解体もされずに入っている。


魔王以外の魔物については魔王軍の戦いで戦場を埋め尽くさんばかりにいて、というか実際に『死体が戦場を埋め尽くして邪魔だったから』という理由で一時保管場所として亜空間に放り込んだものがほとんどであり、魔王についてはちぎれた腕や脚何かをくっつけて直そうとしていたので咄嗟に亜空間に閉じ込めた物だったりする。その後何事もなかったかのように腕を生やしていたが。


ともかく、それら最上級の素材をふんだんに使用して錬金術で魔物が持っていたそれぞれの特徴を強化しつつ混ぜ合わせて打ちなおせば聖剣すら超える破壊兵器を作ることはたやすいだろう。


だが、これだと重大な問題が発生する。


「魔物や魔王には使われないようにすることが前提だからな」

魔物の中にはゴブリンやオーガなど人型の奴らも多く存在する。

ただ強いだけの兵器がそいつらに、最悪の場合魔王の手にわたってしまうならどうなるだろう。

あるいはそうなったら聖剣でも太刀打ちできなくなる怪物が産まれる可能性は十分に考えられる。

つまるところ必要になるのは強さだけでなく


「セキュリティ対策、悪いやつらの手に渡らないようにする方法。作ろうとしてる物のわりになんだかかっこ悪いけどそういうことなんだよな」


自分の物をなくさないように名前のシールを貼っていた小学校時代を思い出すが考えていることはその延長線上にあるはずだ。


例えば資格のないものが持つと手が焼けたり、あるいは資格のある人以外はそもそも武器の機能を使えないなんていうものも考えられるだろうか。


そして悔しいが聖剣はこの部分において極めて優れている。


勇者以外の誰もが、それこそ魔王ですら使えないというのは最高のセキュリティだろう。

そして聖剣はこのセキュリティ対策からもう一つの真実を映し出している。


すなわち『セキュリティを固めれば固めるほど使い手の候補が減っていく』という真実である。


2度目の勇者召喚が行われたということは、少なくともこの200年間使い手が現れなかったということになる。

今回作る武器はそのようなことでは困るのだ。事前にその強さを人々に見せつけて、

「これなら勇者召喚無しでも魔王が倒せるはずだ」

と人々が考えるようにならないと勇者召喚が行われてしまう。

今回の目的は『現地民だけで魔王討伐をすることで勇者召喚に人々が頼らなくなること』であり、『聖剣を超える武器を作ること』はそのための手段に過ぎない。

そのため、聖剣ほどではないがそこそこに厳しく、平時であっても華々しく活躍し、尚且つ魔王軍には使えない。そんなギリギリのバランスが求められているのだ。


「そうなると……。そうか、まず使える人が多い武器から作るべきなのか」

使い手を選択する機能をつける以上それ以外の要因で使い手をふるいにかけるのはよろしくない。

そうなると作るべき武器の種類はおのずと定まっていく。


「まずは聖剣と同じく、片手剣からだな」

聖剣にあこがれ、片手剣を使う人が多いのは鍛冶屋を回った時にわかっている。

となれば、作るべきはなるべく聖剣と似たような大きさの片手剣だろう。

「後は、どんな機能をつけるべきか。だけど……」

候補はいくらでもある。火や水、雷などをメジャーな属性の攻撃を使いこなす魔物や、毒を持つ魔物、変わり種だと磁力を自在に操って相手の武器を奪って使いこなすようなのや空間を飛び回って攻撃をしてくるようなやつもいた。


これらの魔物の特徴を混ぜ合わせて特徴を作り出すとなれば選択肢はまさしく無限大になる。

「うーん。魔物の特徴から絞り込むのは無理かな?」

かつて苦戦した魔物達から特徴を絞り込もうと考えたりもしたが膨大すぎる。


「まあ、いいか。後で思いつくかもしれないし」

残念ながらいい案はでてこなかった。ただ、こういったものは突然ひらめく時があるため気長に待つことにする。


「焦りすぎてるな、まだ転移して2日しかたってないし気長にいこう」

今回の魔王討伐もどんなに少なくても何年かはかかるだろう。たった2日で何もかもを決定する必要はないはずだ。


剣を作ると決まっただけ成果はあったし、何だったらかつてのみんなのことを知っていそうな奴が生きていることという最大級の情報も得られた。上手くいかなかったこともあったが良い1日だったはずだ。


「……寝るか」

そうして、2日目は終わった。

勇者と聖剣

勇者は神が現地用に作った肉体に異世界から持ってきた魂を取り付けて作られる。

異世界から戻るときは魂だけを元の世界に戻し、肉体は(もったいないので)回収される。

この作られた肉体には『聖剣を扱う素質』(またの名をセキュリティーキー)が備えつけられる。この素質は自然に発生することはないため、勇者のみが聖剣を使えるということになる。

逆に神が手違いを起こせば『聖剣を使えない勇者』を生み出すこともできるし、勇者が結婚して子供が生まれたりすれば産まれた子供は聖剣を使えるかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ