表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/21

10.おのれ鉄のナイフ

G,Wは実家に帰るので初投稿です。

ナイフを買ってから10日がたった。

ナイフは魔力を込めると氷の刀身がでるように錬金術で加工した。そうして翌日からは森に出るゴブリンやオークなどの魔物を相手に戦うようになった。


剣技のほうも問題はなくなった。未だに聖剣があったころの戦い方の癖が違和感として出ることもあるが。ほぼ聖剣が手に入る前の立ち回りができている。魔法も適度に使っているため相手によっては聖剣が手に入る前の自分よりも有利に戦えるだろう。


といった感じで戦闘面での不安はなくなった。問題は鍛冶の方である。



「全然だめだな」

俺は空間魔法を解除した。魔法で作った結界に付与されていた反応速度の強化と俺以外の物質の時間が早くなる特徴が消えていくことで、時間の流れ方に違和感を感じる。


空間魔法

俺がエルフの師匠達に教えてもらったなかで最も才能があると言われた魔法である。

師匠曰く


「空間魔法は『空間とは何か』、『空間が捻じ曲がったり、形を持ったりするとはどういうことか』を認識できなければ発動できない魔法だ。エルフでも使い手が少ないし、使えるやつらも適正によって使える魔法が違う」


らしい。

実際に空間魔法を使える何人かの人達に話を聞いたところ、それぞれの人の魔法に対する認識が全く違うため本当に空間魔法が使えているのかわからず、歳をとってから使えなくなる人もいたらしい。


俺自身にも何となく使っているこれが空間魔法なのかはわからない。『外界と空間を区切っているので恐らく空間魔法だろう』という認識である。


今回の鍛冶でもそれを使っている。

音や火を閉じ込めつつ、結界内の時間を俺以外、正確には『生物以外』の時間と俺自身の反応速度を上げることで疑似的に時間の流れを加速させて、鍛冶をしていた。


これは魔王を討伐する旅の中で周囲が安全でなく、時間がない中でも戦闘や魔法の訓練を音や光を隠しながら、限られた時間の中でするために習得した方法であった。


生物の時間の流れを加速させないのはそうしないと寿命や代謝で不具合が生じる可能性があったからである。最も、寿命が長く代謝も良いエルフたちはそんなこと一切気にしなかったので教わった時はただ時間を加速させるだけだった。それを今の形にしたのは俺である。今回のように鍛冶やあるいは模擬戦闘をするときなんかは魔力で肉体を強化する必要があり、まだ完全な形であるとはいえないかもしれないが……。


結界だけでは無い。炉も金床もハンマーもその他必要になったものもほとんど空間を区切って作っているし、炎も魔法で出している。足りない魔力の補充のために高級な魔石をある程度使う必要があったが、亜空間内にあるものを使ったので、コストパフォーマンスの優れた方法だといえるだろう。道具を一通り揃えるまで待ちきれなかったともいう。


それにしても


「もう100本ぐらいは作ったのになぁ」


夜の数時間を加速させることで素人でも1日あたり10本はナイフの焼きを仕上げられるぐらいの時間を確保して練習している。


ところが全く上手くならない。いや、正確には上手くなってはいる。最初の数本はどう贔屓目に見ても『鉄でできた小判』以上の物にはならなかった。


そこから店主の手順を思い出しつつ、何とかナイフに見える程度の出来にはなってきたのだ。しかし、いややはりというべきだろうか。『ナイフに見える』程度を超えることは無かった。

ナイフでこれなのだ。片手剣となるとまっすぐな刀身すらも危ういだろう。


「いやまあ、その道ウン十年の人に勝てるとは思わないけどさ」


それでも鍛冶師の店主と比べてこちらには強みがあった。原理魔法で作った道具である。

これらの道具はこちらがイメージした通りに形を変えるため、下手をすれば手を使わないでも焼きができる程度には自由度が高かった。得意な空間魔法であることもあいまって文字通り手足のように道具を使えたのだから、難易度は相当に低かったはずである。

それでこのざまなのだ。


「作る武器に求める要素が増えたな」


今までは「強さ」「セキュリティ」の2つだったがここまでくるともう一つ「簡単に作れる」という部分を求める必要があるのではないだろうか。少なくとも今年中に作るとなると考えなくてはならないだろう。


「全部を解決できる方法、どっかに転がってないかなぁ……」


上手くいかない進捗にやきもきしながらその日は眠りについた。

魔法に特徴を重ねる


例えば火の玉に『敵を追尾する』特徴を付与するなどを指す。今回の主人公で言うと結界に『時間の加速』と『反応速度の強化』を付与していた。

何処までが1工程の魔法で何処から付与なのかは使い手のさじ加減なところがあるうえ、個人の才覚やイメージに左右される。(主人公なら『火や光、音の遮断』は結界の魔法の中に入っている)

そのため、複雑な魔法ほど個人差が出るようになっている。

なお、精霊は個体差もあるがこういった特徴の付与をおおむね無意識で行っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ