衣食住と就職決定、姉御なハーフエルフ。
おかしいところが多々あると思います……。
優しい目で見てやってください。
「で、お前。本当に、これからどうするんだ?」
そう。今まさに悩んでいるのはそれだ。
俺の身に起きた出来事が何かなんてもう分かる気がしないので、一回諦めることにした。
その上で今確保すべきなのは、衣・住・食だ。
衣はなんとかなりそうな気がする。問題は住と食だ。特に住の部分。宿に無職が一生暮らせるわけがない。食も同じく、無職がいつまで食べられるかなどわからない。
というわけで。
「どこか、住み込みで働ける場所を知らないか?」
「あー、住み込みで働ける場所、なあ……。今は聞かないねー……。」
「そうか…。」
やはりそう簡単に見つかるものではないらしい。いや、むしろあっさり解決するとある意味怖いが……。
それより、このお姉さん、一体どんな人なんだろうか。さっき「アタシの飯屋兼宿屋」とか言っていたから、おそらく女主人か何かだろう。……それにしては、こう、すごく若い気がする。
背がかなり高く、すらっとしていて、それでいて出る部分はしっかり出ている。滅多にお目にかかれないナイスバディだ。しかもシュッとした切れ長の濃紺の目、ツヤツヤした唇。そして上の方でくくっている紫の美しい髪。いかにも姉御な雰囲気。
モデルと言われてもおかしくないレベルだ。
「なんだよ、じっと見つめて。……お前、そんなに困ってるのか?」
眉をひそめて聞いてくる美人なお姉さん。
「あ、俺、そんなに見つめてたか?すまん。いやしかし、正直困りすぎてどうしたらいいかわからないレベルだ。」
「はぁ……。あーーー、もう!お前はぁあああああぁぁぁああ!」
急に叫ばないでほしい。心臓くんが縮みあがりすぎてかわいそうなレベルだ。
「わかったよ、どうしてもっていうなら、ここで働かせてやる!住み込みで、賄い付きで!」
一瞬、時が止まった。
「は……?」
「おい。嫌なのか?そうかわかった、なんでもない。」
「いやいやいやいや!本当にいいのか⁉︎」
「いいっつってんだろ!何回も言わせんな!」
「あ、すまん……本当に、本当にいいのか?」
「いいって言ってるだろしつこいな!」
「あ、ありがとう……!超助かる……!」
親切で美人なお姉さんはふんっと鼻を鳴らすと、部屋を出て行こうとする。
「荷物まとめて一階に来な。お前の部屋は三階の奥の物置。物はそんなに置いてないから、溜まった汚れだけ落としたら、アタシがベッドとか机とか、余ってるやつを入れてやる。」
「あ、ありがとな!何から何まで、本当……えっと、」
お姉さんは振り返ってニヤッと笑う。
「アタシはハーフエルフのレルナ。二百二十四歳だよ!」
翻った髪の隙間から、少し尖った耳が見えた。
読んでくださってありがとうございます。
ブックマーク等してくださると嬉しいです……!