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PV25000、総合pt500を突破しましたっ!本当にありがとうございますっ!!
これからも気ままに頑張りますので、よろしくお願いしますー!
イベント開始からしばらく、山頂を目指して歩いてる途中で戦闘音が聞こえてきました。いつもの空間把握は後方に半径10m範囲でしか使ってないので、誰が何と戦ってるのかを知ることはできませんが。
魔力の高い生き物には意外と気づかれやすいみたいです。空間把握って。………こういうのも含めて死にスキルだったのかも。
んっ!見えてきました。進行方向から目算で150m先の右斜め前に三人チーム……が二つ。戦ってる相手がさっきの動く木ですし、この2チームは協力関係にあるのかもしれないですね。
前衛三に後衛三人ですかー。今なら動く木を鑑定してもヘイトが向かないはずです。ということで……
名前:
種族:*イビルトレント Lv45
属:樹精族[邪]
種族スキル
《自由行動Lv7》《物理耐性Lv3》《魔法耐性Lv1》《養分吸収Lv5》《闇魔法Lv3》《邪の眷属》
うん、覗いたかんじそこまで強くなさそうですね。これといって特出した何かがあるわけでもなさそうですし。
ただ、あの2チームは苦戦してるみたい。と言うよりは慎重に戦ってる?何か厄介なのがあるのでしょうか。とりあえず気配を辺りに解かしながら近づきます。
「っ?!80%を割った!注意っ!」
「ここですっ!《光魔法:聖なる薄幕》」
「今っ!叩き込め!!」
んー、なるほどです。どうやらイビルトレントさんは体力が8割以下になると特殊攻撃をしてくるみたいですね。自身を中心に黒っぽい紫色のオーラを纏った枝や根を放つ技。当たると魔力が吸いとられるみたいです。属が人だったら体力が吸われてたりしたのかな?
おそらくですけど、スキル《闇魔法》に含まれる魔法にスキル《養分吸収》を組み合わせた技なのかもですね。数多くの枝や根を木とは思えない速度でふるってくるので、全てを避けきるのは難しそうです。
その技を使われる前に倒しきれば問題はなさそうなんですけど……案外体力が多いのかな。
―――んっ!倒せたみたいです。では始めますか。
「っふぅ~…イベント名にSurviveの字があった時点で何か嫌な予感はしてたんだけど……PvEもあるとはなー。」
「同じクラメンに会えたのも幸運だったよ……ッ!」
「…でもさ。ここで出会うってことは相当数が山を目指してるってことじゃなぃ―――」
「まあ…な。やっぱしみな考えることは同じなんだろうな。」
「ん、地形の把握ですよね」
「だな……で、どうする?これから先は戦闘も多くなるだろうし、PvPメインのイベントでもあるから、その音を聞きつけて漁夫の利を狙うやつも出てくるはず。一応迂回することもできなくはなさ…そ……っ?!」
―――異変に気がつくと同時に立ち、両手直剣を構えた直後、その体の至るところに赤い線が走る。それは、見えない何かに一瞬で、尚且つ同時に斬られたかのような傷跡。一歩も動くことができないまま、体が崩れ、体力が全損し、地面へと倒れて消えた。―――
んー、やっぱりヴィンさんが使ってた"魔力糸"って利便性高いですよね。《ブラッドオペレート》と併用できるので糸の強度も変えられますし。
あ、後衛三人は距離があったので《影化》からの首をさくっと斬って終わらせました。どうやら即死の判定になる攻撃だとすぐに体が消えるみたいです。ちなみに首の約7割切断で即死判定でした。他にも判定基準はいろいろとありそうですが…。
前衛三人は戦闘を無事に切り抜けられて緊張の糸が切れたのかな?地面に座り込んでいたので"魔力糸"をそれぞれの体を囲むようにして配置。後は行動不可能にした状態で確実にやるつもりだったんですけど…想像以上に"魔力糸"の切れ味が高かったんです。最後の一人を除いてですが、キュッてしただけで鎧含めてブロック肉になりましたからね。一瞬で消えるとはいえ少しグロかったです。最後の一人でいろいろと試してみたかったことがあったのですが……まー、それはまた次の機会があればですね。
とりあえずそうですね……んー、他のプレイヤーもあんな風に考えてるでしょうし、山頂には一番乗りした方がいいに決まってますよね。うん、急ぎましょう。
* * *
「んん~!眺めが素敵ですね~……太陽が沈んでく…タイミングばっちしでした。景色だけを撮るのは不満ですが……スクショも完了です!」
んっ、そうそう!スクショで思い出したのですが、実は撮ったものをアイテム化することも可能なんですよね。つい最近気付きました。
ヘルプにも載ってなかったですし、シークレット機能というやつなのでしょうか?
方法としては、ヴィンさんからいただいた錬金術用の布にスクショした景色(要するにステータスウィンドウ)を魔力でパスを創って繋げるだけ。けっこう簡単でした。
ちなみにアイテム名は"○○の写真"となってて、見た目もあっちと同じような現像された写真のそれと一緒なんですよねー。もちろんその写真はしっかりと空間箱のなかにありますよ?……失くしたくないですし!
太陽の位置的に……んー、現在の時刻は18時を過ぎたくらいかな。
それと、気づかない内に迷ってなければここまで一直線に来たはずですし……ちょうど山エリアの角っこがぼくのスポーン地点と考えてもいいかもしれないですねー。
後は事前情報にあったマップ通りの地形ですね。しいて言うなら、真ん中の?エリアが白い靄で覆われて見えないことくらいです。
うーん、中心部まで結構距離がありそうです。言ってこの山もかなり高いので、山頂からグライダー的な感じでびゅーん!といければかなり短縮はできそうですが……ぼくって吸血鬼ですし翼があってもいいような気がするんですが――――んっ?!……翼って生やせたんですか……あっ、爪の長さも変えられました。
よくよく考えてみると、ぼくの身体の構成しているすべてが魔力による再現なのですし、出来ないことはなかったですね。ただ、全体的な魔力の密度が若干小さくなったような気がします。部位が増えたことで魔力が分散して防御力が低下するのかもです。
翼もできたことですし、体内時計で20:30頃を目処に飛空練習も兼ねて辺りを探索しますかー。
何か面白いものが見つかるといいな。ついでに罠も試してみるのもいいかも?
* * *
「ん、こんな感じでいいかな。よーし、今夜はここを拠点とします。星空が綺麗に見えますし、ほんとに良い場所ですよね。」
すっかり暗くなりました。だいたい21:00頃ですね。見つかったものとしては、食べられる果物や野草に、薬草や毒草……等のイベント時じゃなくても採取できるものばっかりでした。後は普通の動物にイビルトレントやフォレストウルフなどの魔物類がちょくちょくいたくらいです。
翼も、風に乗って動ける程度には使えるようになったので短縮はできそうです。たぶん2日目の夜までならぶらぶらしても時間に余裕があるかも。
ということで、今日はもう寝ようかな。今回のイベントでは体感時間を何倍にもしてるわけですし、脳への負担が少し大きいみたいなんですよね。公式から"参加者は、ゲーム内で最低5時間の睡眠を取るように"との注意喚起までなされてますしね。まー、そんなことに関係なく寝てたと思いますが……寝るの好きですし…。
安全を期して探索の道中で魔力糸の罠を仕掛け、山頂を囲むようにしても設置したので、ある程度は安全なはずです。
……念のため寝る場所は木の上にしますけども。なぜかぼくの体には小さな虫が寄ってこないですし、そもそもぼくの影にはムカデさんもいますから。
それに罠の設置で魔力が結構減っちゃいましたし、実際今日できることはもうないんですよね。
(んぅっ~……ただ布団がないのが悔やまれます。今度から空間箱の中に1セットは常備しておくことにします。
それではおやすみなさい~…………)
―――ユウの現在地:山頂
残り人数:8034人
*イビルトレントの鑑定結果とユウの一言
[備考欄]
元々は森を守護・管理する精霊の一種(樹精霊)であった。
そんな樹精霊を物体としての器に閉じ込め、汚染された魔力を浴びせ続けた成れの果てが、魔物イビルトレントとなる。
主に闇魔法や自由に動き回せる枝や根に注意が必要。
ユウ「んー、たしか精霊はこの世から消えちゃったとされているんでしたよね……どうしていなくなったとされてるのでしょうか?」