閑話 : チトセも始めるTFO生活 [後編]
今回も短めですが、閑話なので許してくだしあ。
「まさかファステクトに入れないとは思わなかったよねー?」
「おっしゃる通りですわ!」
「このゲームにマスクデータとしてですが、好感度があるのは周知の事実でした……しかし、それが街一つにつき、全プレイヤー好感度の総合限界値みたいなものが存在していたとは…」
私がTFOをはじめてだいたい一週間がたつ。明日には高校が始まるから、今日のうちにやれることは全部やっておこうと思って、いつものパーティーメンバーと一緒にユウのいる街に行こうと思ってたんだけど……プレイヤーは進入禁止ってなんじゃそれっ!だよ~…トホホ。異邦人限定の進入禁止バリアみたいなのも張ってあるらしいし。
あ、パーティーメンバーは私除いて計2人。データ収集が好きな岩崎 瞳PN:アイズとリアルでもお嬢の双海 治香PN:ワイズで、この2人は一緒に旅行に行った私の親友だね。今思えば、小学生からの付き合いだからけっこう長いのかも。
「中にいたプレイヤーも強制的に外に出されたそうなので、掲示板も荒れてますね。ただ、一時間ほど前にアナウンスはあったそうです。」
「β版でしたら、ガルディア王国領の始まりの街なら性能の高い回復アイテムが他よりも安価で購入できたわね。武器防具はヴィフェムント、魔法系統はエターフィア、高値で素材をお売りになるならバーレンだったかしら。」
「そうだね~。始めるならガルディアでレベ上げしてからが無難なんだよね。んで、ほどよく強くなれたらバーレンで金稼ぎ。後は魔法職ならエターフィア、それ以外はヴィフェムントに行くのが効率的なルートっていう結論になったかな。」
結果的にプレイヤーがガルディアに集まりすぎちゃったのかもね。その弊害で悪質なプレイヤーやマナーの悪いプレイヤーも比率的に増加して――かな。これじゃあユウに会うのはしばらく先になりそう…悲しいかな……。
「それじゃ私のしたいことは終わったし、次はアイねっ!」
「自分のしたいことは特にないですね。」
「それでしたら、わたくしのレベリングを手助けしてくれないかしら?先日遊び人のレベルが限界まであげられましたの。後は魔法見習いだけですわ」
「りょーかい!んじゃ遠回りでフロンラインにもどろっか。その道中で敵を倒していけば上がるはず。たしかレベル限界30でしょ?」
「その通りですわ。すでに他の条件は満たしてきておりますの。ですから、後は魔法見習いのレベリングだけですのよ」
「ということは、魔法系統のスキルを全部集められたの?」
「もちろんよ。《火魔法》《水魔法》《土魔法》《風魔法》《光魔法》《闇魔法》と全て揃ってますわ!」
「さすがイズ。しかし、入門編の魔法書を読まずに、β版の記憶を頼りにするだけでよく揃えられましたね…。」
「ふふんっ♪――とおっしゃっても、魔法に関しては感覚に近しいところもありますの。なので、内容自体はだいたいでしか覚えてませんわ。」
「ほぇ~。あっ、でも感覚に近しいってのはわかるかも!私も《風魔法》はなんとなくで使ってるし。
そういえば魔法見習いに転職したんだよね?それなら、次の転職分の魂の欠片ってちゃんとある?次の転職先はβ版と同じなら特殊ジョブのはずだし、たぶん必要数も増えるよね。」
「………やっちまったのですわ。ま、まぁ…きっとレベリングの途中で……もしも…そう!もしもの時はよろしくお願いするのですわ!!」
「「………」」
……うん、レベリングにいきますか~……っとと、その前にとりあえず今の私のステ確認。
名前:クレイン
種族:鬼人 Lv62
属:人
職業:斧術士
SP: 172
種族スキル
《物理耐性Lv6》《HP自動回復(微)Lv5》《鬼化Lv3》《鬼の因子》《鬼の呪縛》
異邦人スキル
《斧術Lv13》《槍術Lv11》《鎚術Lv10》《筋力強化Lv7》《器用強化Lv5》《敏捷強化Lv3》《体幹強化Lv3》《投擲Lv6》《体術Lv7》《風魔法Lv1》
《歩行術Lv4》《威圧Lv2》《咆哮Lv1》
称号
[限界突破:詠唱キーを発動後1.5秒間所持スキルを全て装着状態且つLvMAXにする(3日に一度)、スキルレベルの上昇率が増加(微)]
[装備・武器]ルインの斧槍
レア:Extra 品質:A+ 耐久:――
《重力LvMAX》
潜在開放:《破滅》
戦闘中に一度、認識した任意の対象を破壊する
こんな感じだねー。うーん…エンジョイ勢だから仕方ないのかもしれないけどレベルがちょっと低いかなー。掲示板曰く、現レベルトップが72だし。まっ、まだまだこれからということだね!
で、アイはリアルでもずば抜けていい視力を活かした弓術士Lv59。イズはβ版に偶然見つけた職業になるために遊び人Lv30(レベ限)から魔法見習いLv1になってます!
転職の仕様上、職業を変更する度にレベルがリセットされる(レベ限で転職した場合は異邦人スキル枠+1)から身体能力の補正も著しく変わるし、からだの操作性が変化するんだよね。だから今の職業から仕様の大きく違う職に変わるのはあんまりおすすめされてないんだよね。それでもイズはやったんだけど……まっ、スキルは引き継げるから悪いことばっかりじゃないけどさ。
ちなみに、イズの話によると職業によってスキルの習得難易度やスキルレベルの上昇率が違うっぽい。
他にも武器スキルの《重力》はこの武器や自身の重さを変更できるって感じだねー。《破滅》に関していうと、大雑把な認識のしかただと発動しないし、かといって注視すれば相手はなにかあると思って避けるまたは守ろうとするから当たんないし、破壊不能アイテムは壊せないしで、びみょい…この辺はβ版と変わりはないし使い慣れてるから問題はないけどねー。
「さぁ!早くいきましょ。時間は有限なのですわ!」
「えー、もうちょっと待ってよ~。ステ確認がまだ――」
「敵です。およそ300㍍先、13時の方向の森にいます。フォレストウルフが12体ですね。なぜかこちらに向かってきていますが。」
「おっけー!この辺は雑魚だから、ちゃちゃっと殺っちゃって次にいこっか!」
文字のみの簡単なマップです。
北
西+東
南
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聖エター
ガ王 六つのダンジョン ヴィ帝
が円形に存在
バー共
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ガルディア王国側 (西)
ヴィフェムント帝国領 (東)
バーレン共和国領 (南)
聖国エターフィア領 (北)
だいたいこんな認識で大丈夫です。