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11 掲示板の確認


―――えぇ……とりあえず僕自身を鑑定してみたんですが……Lvが53になってました…はい。大体一週間ぶんのレベル差は詰められましたし…もしかしたら現段階で最高Lvかも?んー、ぼくはエンジョイ勢のつもりでやってるのですぐに抜かされると思います、はい。

 どちらにしてもこれだけの経験値を独占できたのは嬉しいです。たぶん合計100万の経験値を貢献度ごとに割譲してたのでしょうねー。


「んん?なんだい、急に存在力が増したねぇ。何が起こったんだい?」

「えーっと……んー、異邦人に与えられたこの世界の実績みたいなものを達成した報酬で経験値なるものを貰えて、レベルが上がった……という感じでしょうか…たぶん」

「レベル?…なるほどねぇ、魂の強さのことかい………こりゃあ、厄介だねぇ。」


 そんなことを呟くとヴィンさんはいきなりぼくのむねに手を当てた。あれ?何でぼくは躱そうとしなかったんでしょう?


 その事に気づいて身を引こうとした時、ヴィンさんの手から暖かな光が溢れた。

 どこか安心するようで、そして強くぼくのことを認めてくれるような、そんな暖かな光。


「んっ……」

「はぁ……ったく、今の神さまは何考えてるんだろうねぇ…とりあえずその首飾りを外すんじゃないよ。」

「首飾り……?」


 自然と自分の首元に目を落とす。そこには銀色をしたシンプルな首飾りがあった。強いて言うと鎖骨の間辺りに双葉のマークが刻まれた飾りがあるくらい。

 そんなあまり特徴のない首飾りだけど、不思議とさっきの光と同じ暖かさを感じる。


「…これはどういったものなんですか…?」

 少し呆然としてました。これについて聞けることは聞いておかないとですね…

「これはお守りみたいなもんさね。あんたを理不尽から守ってくれるだろうさ。」

「理不尽……」

「レベルが上がるのは悪いことじゃあないさね。けど、世界の実績とやらから経験値を貰うのはやめときな。

…んまぁ、そのお守りがあれば多少は貰っても大丈夫だろうけどね。」

 

 一体何を言っているんでしょうか……何か危険なことでも起こったのかな。とりあえずこの世界についてヴィンさんの方がぼくより詳しいことは明らかなので、助言にはしたがっていきましょう。


「んー、よくわかんないですが……ありがとうございます。」

「ま、あんまり気にしなくていいのさ。気にしてなんとかなるようなものでもないしねぇ……でも、そうさねぇ……万が一にもその首飾りが壊れたらすぐにあたしのとこに持ってきな。それだけは気にしといておくれ。」


 きっと重要なものなんでしょうね…これ。一先ずうなずいておいて、しっかりと言われたことを頭にメモしておきます。


 いったんログアウトする旨を伝えると、ヴィンさんが体の管理をしっかりとしてくれるそうです。何から何までしてもらってます……ヴィンさん一家にはいつかきちんと恩返しをしないとですね。

 あ、ちなみにですがこの首飾りは鑑定しようとしても出来ませんでした。感覚では鑑定が首飾りをすり抜ける…みたいな。


















「…んっ…んんぅ~……なんだか久しぶりに戻ってきた感じがします…」


 現在の時刻はだいたい午前九時前。何だかんだで、このゲームが発売されてから一週間が経とうとしてる。そんな日です。


 買いだめしておいた缶コーヒーを一つ開けて、中の液体を喉に流し込む。ぷはぁ~……やっぱりこれですよねぇ~…ふへへぇ…。

 ん、ちなみに飲んでるのは微糖のエメマンです。これが一番好きなんですよ~。おいしいですよね。


 



 身体の機能が低下しないよう、軽く柔軟や体幹トレーニングをする。健康的でしなやかな筋肉をつくるのはこれがいいですしね。

 その後、シャワーを浴びて髪が乾く間をテレビをつけてニュースをみる。んー、なんだかんだ言って長めのウルフカットだから乾くまで時間がかかっちゃうんだよねー。僕としてはもっと短めでもいいんですけども……チトセが『ユウの髪を短くするなんて考えられないよっ!ナンセンスっ!!』って言ってくるんですよ。


 それでぼくの妥協案を織り交ぜてもらいながら、チトセに散髪を任せるとこうなりました、はい。ん、結局僕もこれが気に入っちゃったので問題ないんですけどね。

 


『では、次のニュースです。先日の未明、鈴木智(64)さんを殺害した容疑で17歳の少年が送検されました。少年は“こっちでもできるか試してみたかった”等と述べており――――』


「んー……最近はいろいろと物騒かな………“こっちでも”――ですか……」


 思うことはあるけど……テレビを消して、新しく取り出してきたコーヒーと一緒に飲み込む。このときの口内に広がる苦味は、いつもよりも濃いように感じられた。








「うん、掲示板をチェックしよう。」


 気持ちを切り替えてパソコンを立ち上げる。なんだかんだ言ってログアウトしてから一時間以上経っているのだ。店番の時間を考えると12時半にはログインしておきたいですし、早めに行動しないとですねー。


 とりあえずこの“全体掲示板”というのでいいのかなぁ。


-----------------------------------------------------------


    【TFO全体掲示板】No.7


ここはTFOについていろいろと語るスレです。


スレはマナーを守って正しく使うこと

変なことを書いた場合は三回目でBANされます。仏の顔もなんとやらですよっ!

スレは日ごとで勝手に更新されます!

上記のルールに気を付けて楽しく語りましょうっ


あっ、なんとこのスレ我々運営が管理してまーすっ!!他のスレを作りたいときは運営に頼んでねー?作りますのでっ!!


[詳細]←この先、各掲示板のURLがあるよっ!

[ヘルプ]←この先、TFOについてのヘルプだよ!


~~~~~~~~~~~~~


17:とある片手剣術士 06:54

今って前線は何レベなんだ?


18:とある赤魔法使い 06:59

さぁ?私は44だけどね


19:とある緑魔法使い 07:00

高っ!


20:とある盾術士 07:00

高いですねー!


21:とある赤魔法使い 07:02

これでも私紅蓮の鷹所属よ?


22:とある片手剣術士 07:03

ってバリバリ前線パーティーじゃねーか!


23:とある緑魔法使い 07:05

そうなんですか?


24:とある盾術士 07:06

βでけっこう活躍してましたしね


25:とある片手剣術士 07:06

βでも前線で名を馳せてたクランの一つだな


26:とある緑魔法使い 07:07

なるほどです!ではすごいかたなんですねっ


27:とある赤魔法使い 07:10

それでも3群なのですわ…


28:とある片手剣術士 07:11

まじかよ…(-_-;)

しっかしこの時間帯は人が少ないな


29:とある盾術士 07:12

こんな時間ですしねー


30:とある赤魔法使い 07:13

たしか第一陣は20000人でしたわね


31:とある片手剣術士 07:16

日本人口で考えるとごく僅かなんだなぁ


32:とある盾術士 07:18

実際のところ予約もたった数十秒で……という話らしいですよ


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 なるほど、朝方って結構人が少ないんですね。というか名前は職業で示されるんだ……となると魔物は種族なのかなぁ?

 

 軽く掲示板についてのヘルプを確認すると、どうやら“匿名” “職業or種族” “名前” “カスタム”があるようです。カスタムというのは掲示板上でのアカウント名を設定できたりするみたい。他にもいろいろな機能があるみたいですけど、まぁぼくは無難に匿名で。書き込むことはあんまりないですが…。


 さて、そろそろ本来の目的を調べよう!


「んーっと、あのラグがあったのはこの時間かな?」


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49:とある白魔法使い 08:08

なるほど~!これってゲーム内でも書き込めるんだ!(°Д°)


50:とある槍術士 08:09

意外と知らない人が多いらしいね


51:[紅蓮の鷹]イーグル 08:17

おう!そういった情報はヘルプをしっかり見な!結構いい情報が乗ってるぜ!


52:とある大剣術士 08:18

本物っ?!


53:とある白魔法使い 08:19

前線クランのマスターじゃん!


54:[紅蓮の鷹]イーグル 08:22

おうよ!といってもダンジョン攻略は今は停滞気味なんだがな!

まさか2群パーティーが初級ダンジョンボスに負けるたぁな!βよりも難易度が上がってらァf(^^;)


55:[紅蓮の鷹]イーグル 08:28

おおぅ?!ワールドアチーブメントだぁ?そんなもんあったのか!俺もやらねぇとな!


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 んー、結局あのラグについては情報なしですね。というよりかはここの掲示板が雑談板になってるせいで細かい情報が入手できないって感じかなぁ。

 それに人数も少ないってことが災いしたんでしょうねー。んー、時間はまだありますし……許す限り他の掲示板を確認しますか。



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