第弐節〝隠れん坊〟
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地子「あらすじ♪」
新世兄ちゃん、霊夢さん、魔理沙さん、地子、早苗さんの五人は紫さんが出したスキマ空間を渡り、〝悪戯の小鬼〟が潜んでいる時計町に向かう。
その夜、時計台の頂点に〝悪戯の小鬼〟と対面し五人は対決!
其処で私が〝悪戯の小鬼〟に致命傷も与えるも仮面のごく一部が欠けただけで呪いは解かれたなかった!
そして~、〝悪戯の小鬼〟は隠れん坊と三日間で見付けられなかった場合は幻想郷に月を落とすと宣告し、私達五人は博麗神社に戻されるのであった!
霊夢「紫、大変よ!」
紫「知っているわ。私も聞いていたわ。でも、まさかとは思ったけど私と同じ能力が使えるなんてね…。それにあの月のデカサ…。落とされたら幻想郷が滅亡するわね。」
新世「いや、必ず止める。3日間内で〝悪戯の小鬼〟を見つけて、月を止める。そして、あの仮面を破壊する…!」
地子「うん、そうだね。お兄ちゃん!巫女ちゃんを絶対に助けよう!」
魔理沙「それにしても…、〝悪戯の小鬼〟は遊んでいるようで本気で闘っていなかったな…。」
早苗「そうですね、私達なんか地面に叩きつけられましたからね。」
地子「……私も少し本気で立ち向かって仮面を破壊しようとしたけど…、まさか一部分だけなんて…。」
新世「いいや、充分だよ。流石、地子だよ。一部分だけども破壊したんだから……。」
地子「……あっ、そういえばお兄ちゃん。凄く手加減していたよね。本気で闘っていたら勝てたんじゃんかったの!!?」
新世「えっ!!? 待って、地子。あんまり手出したら地子が起こるから手加減していたんだけど…!!」
霊夢「いや、いざ本気で闘わないで如何するのよ!?」
新世「ひぃ~、霊夢まで~~!」
魔理沙「あ~あぁ~、始まった…。」
早苗「何がです…?」
地子「あーだこーだー‥っ!!!」
霊夢「ペチャクチャ‥っ!!!」
紫「霊夢と地子ちゃんの新世への説教が…。ウフフフ‥。」
早苗「あのー、今から72時間以内に〝悪戯の小鬼〟を見つけないと幻想郷が滅亡するのに説教している場合ですか~…?」
地子「お兄ちゃんはいつもそうやって手を抜いて、みねうちするから甘いんだよ‥!!」
霊夢「良い新世、たまには本気で闘わないと周りに甘く見られるわよ‥!!」
新世「はい、はい…、はい…、スイマセン……。(この説教は長くなりそうだな……。)」
地子「聞いているのお兄ちゃん!!?」
霊夢「聞いているの新世!!?」
新世「はい、聞いてます…!」
魔理沙「やれやれ、この説教が終わるまで休憩とするか…。」
紫「…ウフフフ‥、新世もまだまだ妹と霊夢には逆らえないわね。」
早苗「…本当に今、のんびりしても良いのかな……?」
幻想郷には不気味な月が突如現れ、人里や白玉楼、紅魔館、永遠亭といった所々に不気味な月の噂が広まっていた。
白玉楼
御盆に団子とお茶が入った湯呑茶碗をのせて、屋敷の廊下を歩く白玉楼の庭師・魂魄妖夢。
屋敷の休憩の間で居座っている白玉楼の主・西行寺 幽々子。
妖夢は幽々子の待つ休憩の間に入り、テーブルの上に団子を置いて、幽々子の前に差し出す。
妖夢「幽々子樣、改めってお話が……。」
ツンとした表情している妖夢。
幽々子は何事も無かったように微笑み妖夢を見つめる。
幽々子「あら、何かしら?」
妖夢「三日後の宴会についてですが…。」
幽々子「あら、確か場所は…博麗神社だったかしら?」
妖夢「えぇ、その事で私に何かいう事ありませんか? 今でしたら怒ったりしませんから……。」
妖夢の話を聞いているのか、聞いてないのか? 差し出された団子を食す幽々子。
幽々子「モグモグ‥、団子は美味しいわね。ねぇ、妖夢?」
妖夢「幽々子樣!」
幽々子「うっ!」
妖夢が声を上げると幽々子は少しビクッと震えるのであった。
妖夢「タベチャッタンデスヨネ(`≡△≡’) 私が作っといた宴会料理…?」
幽々子「アハハ‥、なんの事かしら~?」
妖夢「惚けても駄目です! 三日後の宴会料理を食したんでしょ幽々子樣ぁ~!」
幽々子「まぁ、でもさ~。宴会迄は三日間あるからまた作ればいいじゃない!」
妖夢「簡単に言わないで下さいよ! 下拵えもしていて作っていたんですよ~!」
幽々子「ご、御免なさい。妖夢~、私も手伝うから宴会料理を作りましょう~!」
妖夢「そう言って摘み食いするでしょ…?」
幽々子「や、やだなぁ~、妖夢ったら。私がそんな事……する訳ないじゃない。」
妖夢「何ですか、今の間はッ!?」
幽々子「な、何でもないわよ~。それに昨日、紫からカレイを貰ったからそのカレイを使った料理作りましょうよ!」
妖夢「もう今回はそれで許してあげますよ。では、そのカレイで下処理してきますね。」
妖夢は立ち上がり、キッチンに向かった。
妖夢「さて、簡単にカレイを下処理しましょうか。」
・カレイの下処理
1
準備物としてペットボトルキャップを用意。
2
ペットボトルキャップを押し当てゴシゴシ、隅々までゴシゴシ。
滑りとウロコが出てきます。
裏返して両面やって下さいね。
そんなに念入りにウロコ取らなくても大丈夫です。
3
さっと濯いで、尻尾辺りを持ち
熱湯を両面に掛けます!
すると、残ったウロコが白く反り返ってきます。
4
反り返ったウロコはキャップで撫でるだけで綺麗に取れます!
後はまた軽く濯いで下処理完了です。
☆コツ・ポイント
最初から熱湯をかけると 表面の身が崩れしやすくなってしまいます。
お湯かける時のはあくまで仕上げ作業!
妖夢「火傷に注意してくださいね〜。」
クックパッドレシピより抜粋
幽々子「下処理を済ましただけなのに美味しそうね~!」
妖夢「食べないで下さいよ、幽々子樣!」
幽々子「はいはい。」
妖夢は下処理したカレイを冷凍庫にしまった。
妖夢「それよりも幽々子樣。突然、不気味な月が幻想郷に現れましたね。まぁ、どう考えても異変なのは確かですけど……。」
妖夢と幽々子は幻想郷に浮かぶ、不気味な月を眺めた。
幽々子「紫が言っていた大異変が起きようとしているのね……。妖夢、貴方もこの異変に解決に協力してあげなさい。」
妖夢「はい、承知致しました。幽々子樣!」
妖夢は長刀『楼観剣』と短刀『白楼剣』。そして新たな三刀目・中刀『青楼剣』を所持し、白玉楼を後にした。
妖夢「行って参ります、幽々子樣。」
幽々子「えぇ、気をつけて行ってくるのよ。妖夢。」
守矢神社
博麗神社から地子と早苗は一度、守矢神社に帰って神奈子と諏訪子に現状を報告していた。
神奈子「早苗、地子、お帰り。〝悪戯の小鬼〟は倒せなかったみたいだね。」
諏訪子「不気味な月が突然、幻想郷の上に浮かびだしたからね」。アレは異変だね。」
早苗「神奈子様、諏訪子様、面目ありません。しかし、必ず異変は解決致します!守矢神社の信仰の為にも!」
地子「…〝悪戯の小鬼〟を三日間内で見つけて、倒せば月を止める事は出来ます。それに大体の〝悪戯の小鬼〟の居場所は私がある程度は予想ついてます。」
諏訪子「さっすが、地子ちゃん!」
早苗「では、霊夢さんや新世さんよりも早く〝悪戯の小鬼〟を見つけて倒しましょう!」
神奈子「…しかし、〝悪戯の小鬼〟は強いんだろ?絶対に気を付けて帰ってくるんだぞ。二人とも!」
早苗「はい!」
地子「…はい。」
地子は緋想の剣・改を所持し、立ち上がった。
地子「あっ…!」
早苗「えっ、如何したの? 地子ちゃん。」
地子「そういえば新世兄ちゃん。さっき博麗神社で「俺は一度、紅魔館に行ってくる。(裏声)」って、言っていたけど…。アレは絶対に咲夜さんに会いに行ったんだな。」
早苗「えっ、そうなんですか?」
地子「新世兄ちゃん。紅魔館で執事としてバイトしているけど、多分咲夜さんと一緒になれるからしているだけだと思う。こんな大異変が起きているという時に…。」
諏訪子「アッハッハ‥、良いじゃないか。新世が幻想郷に住み着いてから男相手に恋愛を抱くのも可笑しくはないよ!」
神奈子「人里の男達よりもイケメンで若いしな。私が若かったら付き合いたいぐらいだよ!」
神奈子と諏訪子は笑い出した。
早苗「うぅ…、私もそろそろ幻想郷で婚活しようかな~?」
地子「立派な旦那様が見つかりますよ、早苗さんなら!」
早苗「有難う、地子ちゃん!」
諏訪子「確かにそろそろ早苗の子供もみたいな~。孫の顔が速く見たい!」
早苗「諏訪子樣は私のお母さんじゃないでしょ~!」
神奈子「家族みたいなもんだから、あながち間違いじゃないぞ。」
早苗「それはそうですけど…。なんか恥ずかしいです!」
地子「(お母さんか…。たまには天界に帰って天子お母さんに会いに行こう…。)」
永遠亭
永琳「…あの不気味な月は紫が言っていた大異変の一つね。」
鈴仙「師匠、お呼びでしょうか?」
永琳「…鈴仙、貴女に頼み事をお願いしたいのだけどいいかしら?」
鈴仙「はい、引き受けますよ。」
永琳「…突如、幻想郷に空に現れた不気味な月の正体を突き止めなさい!」
鈴仙「……畏まりました、師匠!」
永琳はクスリと微笑み、机の引き出しから小さい手紙を取り出して鈴仙に渡した。
鈴仙「之は…何ですか、師匠?」
永琳「其処には大異変が起きた時に解決に向かう者達への招集が書かれている手紙よ。まずは其処へ行ってきなさい!」
鈴仙「はい、では行って参ります。師匠!」
永琳「えぇ、気を付けていってらしゃい。」
鈴仙は部屋を後にした。
永琳は窓から不気味な月を眺めた。
永琳「…天人の嫡子・比那名居 新世が来てから幻想郷が少しずつ変わり続けているわね。後先に…蛇と出るか、鬼と出るか。」
人里
人里道中にある甘味亭の前で餡蜜を食しながら不気味な月を眺めている少々丈が長めの白の半袖シャツに青のミニスカート、下に黒のキュロットパンツ、腕には赤いリストバンドを付け、頭に蒼いバンダナを付けた少女。
彼女は餡蜜をほぼ一口で食べ終えた後にお茶を飲む。
蒼いバンダナを付けた少女「ん~、にゃ~、大異変が遂に起きちゃったね~。まだ之は序章の始まりにも至らない。」
蒼いバンダナを付けた少女は餡蜜を食べ終わり、背伸びしてから甘味亭を後にした。
道中
紅魔館へ続く道中、新世はゆっくりと紅魔館へ足を向けて歩いていた。
新世「さて、咲夜には勿論協力して貰うけど…、吸血鬼姉妹はどう説得して手伝って貰おうかな~。」
新世はぶつぶつ呟きながら歩を進める。
新世「…………。」
新世は歩きを止めた。
何か気を感じたかのように後ろに鋭く眼を向ける。
何者かがいる気配…。
スキマ妖怪の紫でもない、鬼人 正邪でもない、いや幻想郷には居ない筈の何者かがいる気配…。
新世「……気のせいか?」
新世は振り返り、紅魔館へ再び歩を進めた。
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『比那名居ぃ…、新世ぇ……!』
新世「やっぱ誰かいるの、隠れん坊?」
第参節 〝月と小鬼〟