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勝手にしやがれ

作者: tamap

沢田研二の『勝手にしやがれ』がやたらと聞こえてくる芸能ニュースから連想しちゃったお話です。

 ベッドに横たわる俺の頭の中に沢田研二の『勝手にしやがれ』がリピートし続けている。

ガサガサゴソゴソ俺の妻だった女がタンスの引き出しを漁っている音が聞こえる。

いくら忍び足で入って来たってそんな大きな音を立てたら俺が目を覚ますって思わねえのかね。

まあ、元々眠ってなんかいないんだけどな。


 おっと、預金通帳を見つけたか。

だけど残念だったな、お前が使い果たしたまま残高はゼロだよ。

チッと小さく舌打ちして通帳を投げ捨てる。

どうやらガス水道電気等の公共料金を引き落としている通帳を探しているようだが、お前が通帳の金を使い果たしたせいで俺が一々振り込みに行っていたのをお前だって知ってるだろう?

思い出をかき集めるんじゃなく俺の残り少なくなった財産をかき集めているのが歌とは違う所だな。


 やっと満足したのか家探しが終了。

寝たふりしているのに気付きもせずに出て行った。

もう、妻でもないのに他人になった俺の家の家探しなんて何考えてんだろうな。

離婚届はひと月以上も前に出されている。

俺が出したわけじゃなくあの女が勝手に出したんだけどな。

そのくせ知らん顔で妻の顔をして半月も俺と暮らしていた。

もう少し位俺の隠し財産があると思ってたのか?


 現在無職の俺の財産はあの女と結婚する前には数億はあったんだがあの女が見事に食い尽くしてくれたぜ。

仕事をしていない俺の財産が早くに事故で死んだ親からの遺産だと思っていたようだ。

親は大学を卒業するくらいの保険金位は残してくれたがあの財産は俺が稼いだものさ。

今俺が無職なのはあいつのせいでもあるな。

あいつは正真正銘の疫病神だ。

あいつと結婚してからは何もかもが上手く行かなかった。

俺って結構強運の持ち主なんだけどな。

それを上回る凶運の持ち主ってどうなんだろう。


 早くにそれに気づいてすべての取引から手を引いたんで数億は残ったんだ。

さっさとあいつと離婚したかったがそれも危険な気がした。

あれほどの凶運の持ち主だからどんな事が起きるか判らない。

だから俺はあいつに思う存分食い尽くされる事を選んだのさ。

でももうあいつは妻じゃない。

あいつの凶運は俺には及ばない。

それを感じたのはあいつがこっそり離婚届を出した日だ。

すっと楽になった気がしてすぐにその事に思い当たり役所で調べたら俺の名前を偽造した届が出されていた。

思わず心の中でバンザイを三唱したね。


 それから俺はちょこっと金策をしてこの家に隠しカメラ等を仕掛けて置いた。

あいつの盗っ人姿もバッチリ映ってるだろう。

金策?

スクラッチさ。俺って強運だから。


 俺は( バーボン) は飲まないから、冷蔵庫に残っていたオレンジの缶ジュースを開けてそれを飲みながら窓から覗くとあいつがふらふらどころかスキップせんばかりの足取りで出てきた。

結構な大荷物を持っているのにな。

ちょっと高級な外車がすうっとやって来て止まる。

運転席の窓が開いて顔を出す俺よりちょっと若い男。

おお、あいつが今度の犠牲者か。

窓越しに抱き合って熱いキスを交わしているところを高感度カメラでパチリ。

結構な値段だったがあいつはベッドに隠しておいたこれには気づかなかったようだ。

まあ、俺が寝てるんだからベッドには近づかないだろうけど。


 行ったきりならどうぞお幸せに。(まあ無理だろうけど)

戻る気になっても歓迎はしないぜ。

と、言うか絶対戻って来るな!

俺はシャツの胸ポケットから3枚の宝くじを出した。

一等前後賞で10億円。

あいつが離婚届を出してから買った物だ。

あいつ( 疫病神) も居なくなったことだし、この資金を使って俺の強運でトレードを始めますか。

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