システムチェック
半分近くエッチィシーンになっているので、苦手な方はエッチィ部分は飛ばしてお読みください
「ん、む、うう~ん」・・・随分長い間寝てた気がするけど・・・・・・ん? 何かいい匂いがするな・・・それに温かくて抱き心地がいい・・・僕、こんな抱き枕持ってたっけか?・・・
まだ夢心地の中で、そう考えながら僕はその抱き心地のいい抱き枕? を更に腕や手に力を入れ抱きしめ身動ぐ。
「あん……だめ、マスター……」
・・・顔を動かすと何かフニフニした柔らかな物が当たって気持ちいい・・・……って「え?」ええええええ!? な、なに!? なんでこんな事になってんのおおおおお!?・・・
僕が目を覚まし、顔に当たる柔らかなものを押し退け目を開けると、目の前には僕と同年代の西欧系の美少女が幸せそうに微笑んでいた。
僕はその一糸纏わぬ美少女に抱きしめられ、顔を二つの柔らかな肉球に埋めて寝ていたのだ。って、か、彼女いない暦十六年、こ、こんな幸せな、……コホン、もとい、こんな予想外なことに出くわしたら誰だってパニックになるよね! 僕の息子が大変なことになってたって仕方ないよね! 認めたくないものだな、若さゆえの過ちなど……。って、僕、何もしてないよね?!
「マスター、体に違和感はありませんか?」
彼女は僕の困惑など気にも留めず、不安げに尋ねてくる。うん、そうだよねー。この状況、神船にとっては魂で結びついた船主である僕に対する主従関係上の親愛表現以外の何ものでもないですよねー……っていうか、あの小学生くらいだった少女がもうこんなに成長したんだ……って、成長早すぎだろ!……とはいえ、生命の女神の記憶を引き継いだせいか僕も、そんな彼女との関係を違和感も無く普通に受け入れてるし……って、関係って言っても主従関係の事ですよ。エッチィな関係の事ではないですよ。勘違いしないように!
「マスター?」
「あ、ああ、大丈夫だよ……何処にも違和感はない……一部を除いては……」
・・・・・。
「マスターのエッチ……でも、マスターが望むなら……」
彼女は恥らいながらも、僕を優しく抱きしめている腕をゆっくりと艶めかしく移動させる。ってえ!?いっ!「いやいやいや!べ、べべべべべ別に望んでないしぃ! こ、これは、た、たたたたただの生理現象ってやつだしぃ!」
僕は恥ずかしさと興奮の余り頭から血が噴出すのではないかと思うくらいの圧力と熱量を顔と頭に感じながら彼女を僕の体から引き剥がした。ああああ、何やってんだ僕! 据え膳食わぬは男の恥と言うのに! 勿体無い! 僕の根性無しメ!……って、違あああう!愛情の無い〇E〇など獣の行為だ!僕は獣じゃなああああい!
僕から引き剥がされた彼女は少し寂しそうな表情をした。……様に僕には見えた。
「し、しかし、随分と早く成長したな。しかも、僕が起きていても姿を現していられるようになったんだな」
暫らくして落ち着いた僕は彼女に思ったことを口に出した。
「はい。マスターが、生命の女神の力と神船を受け入れてくれたお蔭で、私の成長スピードが上がりましたから……」
と、彼女は僕に嬉しそうに微笑みかけ、
「……ですが、神船の再生には、まだまだ時間が掛かりそうです。」
と、申し訳なさそうに言う。
「それよりも、マスター。私に名前を下さい」
「そういえば、先代の生命の女神は君の名前を消去してしまったんだよな」
「はい。新しい生命の女神にいい名前を付けてもらいなさいと言って……」
「そうか、……そうだな、安直だが未来ってのはどうだ?」
「ミライ……未来、未だ見ぬ世界」
そう言って、神船【未来】は嬉しそうに微笑み、
「夢と希望に溢れた素敵な名前。ありがとうマスター」
と言うと、僕の頭に、『〈船名【未来】登録完了〉』という声が響く。
「ところで未来、お前なんでスッポンポンなんだ?」
と、僕が尋ねると、
「何でって・・・その、神船であるこの体はマスターの中で再生したばかりなので、マスターに、その、システムチェックをしてもらうためです」
と、未来は恥ずかしそうに、もじもじとしながら応える。
「システムチェック?」
「はい。あれ? 受け継いだ記憶に有りませんか?」
「ちょっと待て、受け継いだ記憶が膨大すぎて………あ、あった……って、こ、これ、やんの?」
「はい。お願いします」
そう言うと、未来は僕に向けていた体を上向きに横たえさせる。
・・・いや、やらなければならない作業だという事は生命の女神の記憶から分かる・・・分かるが・・・しかし、これは・・・
と思いながら未来を見ると、未来は静かに目を閉じて僕を待っていた。
僕はハァッと一つ息を吐き未来を膝立ちで跨ぎ向き合う。
そして、自分の額を未来の額に当てる。と、
『〈生態リンク・・チェック〉』
『〈パーソナルシステム・・チェック〉』
「ふ、ん……」
「あ、……」
頭の中にシステムチェックの音声が響くと同時に、未来の口から僅かに甘い吐息が漏れる。
次に、両の手で未来の頬に触れる。と、手の触れた所から何本もの細い光の線が未来の体表に走る。
『〈外皮防御システム・・チェック〉』
『〈光学センサー・・チェック〉』『〈音波センサー・・チェック〉』『〈匂いセンサー・・チェック〉』『〈味センサー・・チェック〉』『』『』『』
「はあ、ん……」
「んん、ふうんああ……」
・・・こ、これは・・・健康な男子には余りにも、余りにも刺激が強すぎるのではないでしょうか・・・これは試練なのですか・・・それとも、忍耐力を試されているのでしょうか・・・生命の女神様・・・
ハア、ハア……
・・・こ、これ以上やったら、どうなっちゃうんだろう僕・・・耐えられるんだろうか?・・・
僕は未来の頬に当てた両の手を、ゆっくりと首から肩、腕へと移動させる。
『〈音声発声機能・・チェック〉』『〈両腕関節可動部・・チェック〉』『〈両腕動力伝達システム・・チェック〉』『』『』『』
「ふっ、んんん……」
「あっ、はん……」
僕の両手が未来の肌に沿い移動していくのに合わせるように、未来の体がピクピクと反応し肌がほんのりと上気していく。
・・・これは、そう、船体のシステムチェックだ。これは、システムチェックだ。これは、システムチェックだ・・・
ハア、ハア……
更に俺の両手は移動し、脇から胸へと移動していく。
『〈生命維持システム・・チェック〉』『〈育児システム・・チェック〉』『』『』
「ふんん、あっ………ああんん、はあっ!」
僕の両手が未来の敏感な部分に当たったらしく、一瞬、未来の喘ぎが甘さを増して一際大きくなる。
・・・くおおお!・・・た、耐えろ!俺ええええええ!・・・生命の女神のトラップを踏み越えろおおお!・・・
僕の両手は更に移動し、未来の脇腹から腹、そして下腹部へと移動していった。
『〈生体維持システム・・チェック〉』『〈腹部動力伝達システム・・チェック〉』『』『』『』『〈生殖システム・・チェック〉』
「はああ、あん……だめ、だめ! マスター! 私もう! あ、あ、あ、ああっ、おっ!! んんん!!」
僕の両手が未来の下腹部に移動すると、未来は甘い悲鳴を上げ体を跳ね上げた。
・・・ぐおおおおおおおおお!!・・・
『』『』『』『』『〈システムチェック・エンド〉』『〈システム・オールグリーン〉』
僕は未来の足先までシステムチェックを済ませ、その頭に響くシステムチェック終了の機械的な音声を聞くと同時に、気持ち良さそうに果てている未来を置いて、一人風呂に駆け込んだ。
ハア、ハア……・・・や、やったど、やり遂げたぞ・・・生命の女神の嫌がらせ・・・もとい、試練を乗り越えて僕はやり遂げたんだ・・・
僕は冷たいシャワーを頭から浴びながら、試練を乗り越えた充実感に身を震わせていた。と、その時、不意に風呂の扉が開いた。と思った瞬間、柔らかく暖かい物が背中に当たり、何者かに後ろから抱きすくめられた。
「マスター、ありがとう。お礼にマスターのものも楽にしてあげる」
と、耳元で未来の甘い声が聞こえたと同時に、僕の息子を温かなものが優しく包み込む。って、
「バ、バカ! やめろ! 今そこに触るな!……う、あ、そ、そんなに激しくするなあああっあっあっあ゛っっっっ!!」チーン!
あっと言う間に僕は果てていた。
・・・くっそー・・・まさか、最後にこんなトラップが仕掛けられていたとは・・・
脱力感と共に僕の脳裏には生命の女神のしたり顔が浮かんでいた。
「マスター、ごめんなさーい」
「うるへー、近づくな!」
僕は布団に包まり不貞ていた。だって、美少女にされて果てるなんて……恥ずかしいやら情けないやら悔しいやら恥ずかしいやら……もう、不貞るしかないだろ!
ふえ、
「マスター、怒らないでー」
ふえ、ふええええええん……
はぁっ、・・・まぁ、こいつも悪気があってやったわけではないだろうし・・・まるで子供だな・・・
「分かった、もういい」
と言って、僕は布団から出ると、横でペタンと座り込んで大粒の涙を流しながら泣いている未来の頭にポンと手を置く。
「未来、もう怒ってないから泣き止め」
ふえ、ひっく、「ほんとう?マスター」
「ああ、本当だ」
うへへ、「マスター、大好き!」
未来は僕の赦しを得ると、あっという間に泣き止み、さっきまで本当に泣いていたのか? と思うほどの笑顔を見せて僕に抱きついてくる。まさに、鳴いたカラスがもう笑う、だな。
「ただし、もう、さっきみたいな事はするな」
「はーい」
「ああいう事は、その、恋愛感情も無くしてはだめだ!」
「私、マスターの事大好きだよ?」
「お前の大好きは主従関係上の大好きだろう」
「う~ん……」
「僕が言っているのは、その、男としての女としての恋愛感情を言っているんだ」
「……わかりました、マスター」
未来は僕を抱きしめながら上目ずかいで少し寂しそうに? 微笑み応えると、一度甘えるように体を摺り寄せてから僕から離れた。……たまに見せる、あの寂しそうな表情は何なんだろう?
・・・あと、各形態動作テストもしなといけないんだけど・・・地上行動形態である人型は問題無いようだし・・・まだ宇宙航行形態である船型は再生中だから・・・あとは地上船内戦闘形態か・・・まぁ、動作テストは追々やっていけばいいか・・・
「それよりも、未来。何時までも素っ裸でいられると僕の目のやり場に困る。今は僕のシャツとズボンを貸してやる。それを着たらお前の服を買いにいこう」
と、僕が言うと、
「はい!マスター」
と、未来は嬉しそうに応え、僕の衣装ケースから僕の服を引っ張り出して、そそくさと着替え始める。
「マ、マスター……このシャツ胸が苦しいです」
「ああ、もう、胸のボタンは留めなくていい。その上からセーターとジャンパーを被れば大丈夫だろう」
・・・・・。
えへへ、「このセーター、マスターの匂いがする」
・・・寒い時期でよかったな・・・これが真夏だったら頭を抱えている所だ・・・
未来は僕の服を着終わると、僕の前にペタンと座り込み、
「お買い物に行く前に、神船の再生について一つ提案があります」
と、上目遣いで言う。か、可愛いじゃねーか。
「な、なんだ?」
「はい。……邪な者により奪われた神船の船体の一部なのですが、今は元々神船を管理していた者達により邪な者の手から離れ、その元々神船を管理していた者達の手にあるようです。が、……その船体の一部は前生命の女神様専用に創られたものです。神船がマスター専用の神船【未来】として完全に再生するには、その船体の一部を取り返すか、その船体の一部を完全に破棄消滅させて新しく再生させなければなりません。マスターが神船を受け入れてくれたことで、その船体の一部をここからでも破棄消滅させることが出来るようになりました。なので、元管理者から船体の一部を取り返すよりも完全に破棄消滅させた方が神船の再生が早く、マスターに合った船体になると思います。」
『〈一部船体脱落部破棄消滅作業開始・了承?非了承?〉』
「分かった、了承する」
『〈了承確認〉』
僕の了承を確認する機械的な未来の声音の音声が頭に響くと、未来の体が淡く輝きだす。
『〈一部船体脱落部破棄消滅作業開始〉』『〈神船〔未来〕ト一部船体脱落部トノリンクカット・・終了〉』『〈一部船体脱落部消滅作業開始・・終了〉』
・・・早!・・・
僕の頭に音声が響かなくなり少しすると、未来の体の輝きも徐々に収まっていった。
未来は、ふぅ……と、一つ息を吐くと嬉しそうに笑みを浮かべて、
「マスター、これで神船の身も心も、神船の全てがマスターのものになりました。」
と、僕を愛しそうに強く抱きしめた。
「ところで未来、僕、どれくらい寝てた?」
「神船の中心核とマスターの魂の仮留めを完全に繋げ、生命の女神の記憶と力をマスターの魂に渡し定着させるのに一週間ほど掛かりました」
「てことは、一週間寝てたって事か……」
と言って、僕はカレンダーを見て絶句する。
「明日っから期末テストじゃねーか……全っ然勉強してねーぞ……」
その後、未来に僕が気を失ってからの事を確認すると、一旦僕は保健室に運ばれたが、未来が僕の体を操り適当な理由で言い繕いそのまま家に帰った。
保険医のシンシア先生は僕に保健室で休んでいくようにしつこく食い下がったようだが……。
翌日、体調不良を理由に学校を休むことを学校に電話で連絡した。が、この一週間、冠城さんが毎日のようにお見舞いに来たので未来は僕のデコイを作製し対応させた、と言う事だった。冠城さん、毎日お見舞いに来てくれたんだ……ところで、囮って……どうなのよ。
そのデコイを見せてもらったが、外見は黒子の位置から毛の一本に至るまで寸分たがわず僕だった。
ただ、ある程度相手の行動に対応したお見舞いの接客行動パターンしかプログラムされていない、という事で……あははははは、どお見ても、生きた人間にしか見えないのに、同じような行動を永遠とリピートするって、なんか笑える。
あとデコイには限度時間を設定することができるらしく、その時間を過ぎると全て融けて気化してしまうということだ。そろそろ僕のデコイも限度時間だということだが……あ、融け出した……皮膚から融けていくんだな……自分と瓜二つのものが目の前で融けていくのは、かなりショッキングだな……うげ、気持ち悪い……血管やら筋肉やら骨やら筋やら眼球やら、げっ、内臓まで……ここまで精密に創らんでも……おえぇ、は、吐きそ……って、俺も何時までも見てなきゃいいのに……。
「お客様はスタイルもいいですし、これなんかは如何でしょう」
「マスター、マスター、これはどうですか?」
「ん? おお、いいんじゃないか?」
・・・生まれてから今日まで生きてきた年数と同じだけの年数、彼女のいない僕に聞かれてもなぁ・・・まぁ、銀髪碧眼でスタイルがよく何処ぞの西欧のお姫様と言われても可笑しくないような容姿をしているんだ。よっぽど突拍子もない物でもなければ何でも似合うように思うがな・・・
僕と未来がデパートの服飾品店で服を選んでいると、未来を見た店員が一瞬目を見開き驚いた顔をした。が、我に返ると、そそくさと未来に近づき、いろいろな種類の服を持ちよりすすめてきた。まぁ、ここに来るまでにも、すれ違う人達みんなの視線を一身に集めるくらいの美形だからなぁ……この店員、服をすすめているというより、着せ替えを楽しんでるって感じたな。
「あれ?鈴星君?」
僕が未来の着せ替えファッションショー(by店員)を楽しんでいると、不意に声をかけられ、そちらに目を向ける。
「ああ、冠城さんか」
「体はもう大丈夫なの?」
「ああ、お陰さまで何とかね」
・・・・。
「ところで、その子は誰なんです?」
僕が冠城さんと話をしていると、何時の間にか僕の腕に未来が抱き付いていた。しかも、親の仇を見るような目付きで冠城さんを睨みながら……。
「こら、未来。冠城さんに失礼だろ」
と、僕が言うと未来はぷっくりと頬を膨らませ、
「マスターは、この女が好きなんですか?」
と、小声で聞いてくる。
「なっ、何を言ってる……」
と、僕が動揺していると、「どうしたんです?」と、訝しげな表情で冠城さんが尋ねてくる。
「あ、い、いや、この子は、その、そ、そう、遠縁の親戚で今朝、イギリスから来たんだ」
・・・・。
「そうなんですか?」
冠城さんは今一信用してないような表情で未来を見る。
はぁっ、「初めまして、私、創星さんの母方の親戚で未来・ゴッズ・ナーヴィスといいます」
未来は小さく息を吐くと、この店一番の豪奢なドレスの裾を軽く持ち上げ優雅に挨拶する。
そんな未来を冠城さんは目を丸め唖然と見つめていた。
「実は暫くの間、未来の家の事情で未来を家で預かることになったんだけど、持ってきていた着替えが少なくてね。新しく服を買いに来ていたんだ……けど、僕では女物の服なんて分からないから冠城さんも手伝ってくれないかな?」
と、僕が言うと、
「そうなんだぁ、私なんかでよければ喜んで手伝うよ」
と、冠城さんはニッコリと微笑んで応えた。うん? 何だろう? 何か棘のある返事と表情に思えたのは僕だけだろうか?……店員さん、その〈あらあらまあまあ〉という昼のメロドラマを見るような表情で見るの止めてもらえる?