プロローグ
それは突然だった。大陸中の空が一瞬の内で黒く染まり、次々と人々が倒れて行くという現象が起こった。
この現象を起こした人物は、自らを『闇の支配者』と名乗り、このままでいけば世界の全てが闇に覆われ、飲み込まれるだろうと告げた。
――その『闇の支配者』に立ち向かうために動き出したのは一人の少女だった。少女は光り輝く剣を持ち、たった一人で『闇の支配者』に戦いを挑み、結果は相打ちに終わった。
後にこの少女は『聖なる乙女』と呼ばれるようになり、少女の持っていた剣は『聖剣』とされた。
世界は元通りに戻ったとされたのだが、『闇の支配者』は滅びてはいなかったのだ。それが分かると『聖剣』を鍛え上げ、新たな『聖なる乙女』を誕生させることにした。
『闇の支配者』が復活するのは決していつとは決まってはいないのだが、長い歴史の中でその戦いは何度も何度も繰り返されてきた。
「大丈夫だよ。……俺は傍にいるから、どんなときだって」
「貴方の役に立ちたいと思うから、俺は今でも頑張っていられる」
「本当は気付かない振りをしていたのかも知れないな。私が君を、大切に思う意味を」
「不思議だね。こんな力でさえ、君が必要としてくれるならあって良かったとさえ思うよ」
「初めてだったんだ。……初めてだったから、オレは、アンタを守りたい」
「俺は、俺が嫌いですよ。君さえも傷付けてしまいそうになる自分が」
「信じてくれなくたって構わない。でも、僕にとってはキミが、全てだから」
この物語は何度も何度も繰り返されてきた歴史に終止符を打つことを望む、現『聖なる乙女』に選ばれた少女と少女と共に旅に出ることになる6人+αの物語。
――好きだよ、この世界の誰よりも、あなたが。あなたがあたしの『運命の人』であれば良いって思うようになったよ。