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逢魔――黒いのは腹だけですか?


 揺らめきもしない蝋燭の灯火は触れれば凍ってしまいそうだった。

 壁に掛けられている筈の燭台に火は灯されることはなく、テーブルの上だけほんのりと一つの光源に映し出されている。壁は暗闇に溶け、部屋の広さもわからない。

 机と、椅子に座る女が一人。たったそれだけの空間。

 無心で灯火を見つめていた女は、青く長い前髪の下でピクリと瞼を上げた。

 灯火が揺れた。

 部屋の中と外の温度に差があり、空気が動いた。

 扉が開き、誰かが入ってくる。

 来客に対して彼女が立ち上がって純白のドレスの裾を摘まみ『ようこそ』と言うわけがない事は当然であり、来客者も承知しているようだった。

 しかしながら彼女――(ツガイ)は来客を区別なく拒むような性格ではない。にも関わらず、今回の番は開けられた扉へ鋭い眼差しを向けていた。


「相変わらずこの部屋は深海のように冷たいな」


 開口一番。番に向けられた言葉はそれだった。

 外の明るさと中の暗さによって番からは来客者の黒いシルエットしか見えない。

 それでも聞き覚えのある声色と、なにより不快な視線に部屋を侵蝕されたことで、来客者が誰なのかは把握できていた。

 何をしに来たと言わんばかりの凍った視線に当てられ、来客者は肩をすくめる。そのまま扉を閉め、番の正面――テーブル越しにある椅子に座った。

 縫い糸で両目の瞼を縫いつけられた男の顔が灯火に照らされる。


「おはよう番。久しぶり」

「……まだ生きていたとは驚きね」

「夕凪姉妹にはもう会ったようだね。新しい序列十位と十一位。仲良くやってくれれば幸いだ。できれば私とも」

「貴方とは無理ね」

「ふむふむ、身体に異常はなし、目立った汚れや劣化もなし、と。随分献身的な侍女が傍に居たようだ」

「……」


 男は黒いルージュの引かれた口元を歪ませ、親指の爪で右目の縫い糸を弾く。その爪も長く、黒く塗られている。

 何度も右目の弦を弾きつつ、時折鼻で笑いつつ、ぶつぶつと小声で呟く。

「おや?」

 男は親指の動きを止め、首を少し傾けた。口が一層大きく歪む。

「番、心配事や悩みでもあるのか? それとも肉体凍結の後遺症か? そうか、新しい侍女になったからか。食事の栄養バランスに関してはきちんと話し合った方がいい。雪女とはいえ、肉体の機能は常人とあまり変わらんだろう? 部下達に笑われてしまうぞ。序列四位、魔氷の番は《お通じが悪い》など笑い話も甚だしい」


 顔を背け、目線を逸らしていた番は青白い頬を若干赤くして男を睨む。

 凍結の代名詞のような女のその反応に男は驚いたのか肩を震わせて笑い、縫い糸が千切れてしまいそうな瞼を指で押さえた。


「だから貴方は嫌いなの」

「そう言うな。私は死使十三魔の身体検査役だからな」

「自称、でしょう。この変態。さっきから私の服の中を這いずっているこの不愉快な物をさっさと消しなさい。さもなくばその瞼ごと壊死させるわよ」

「失礼した。やり方は反省する。しかし私が君の身を案じていることは事実だ」

「私の身を案じている? 本当にそれだけかしら」

「どういう意味だ」

「貴方は恐怖している。序列八位、魔眼の《アニマ》。臆病者の貴方は、こうして各序列を隅々まで調べないと気が済まないのよ。そうでしょうアニマ? 私が怖いでしょう? 貴方は貴方自身の能力に精神を蝕まれてしまったのよ」


 高揚した頬は既に冷めきり、番は嘲笑を浮かべて頬杖を付いていた。


「千里眼は便利。遠い安全な場所から一方的に様子を窺う事ができる。便利すぎて便利すぎて、貴方は貴方という本体をより脆く尊い物に思えてしまう。世界中の誰よりも安全な場所に居なければ気が済まない。だから貴方は死使十三魔の中に隠れた。世界屈指の猛者達を防壁とし、己の力を防壁の強化に用いることでね」


 言われたアニマは、それでも笑みを崩さず聞いていた。

「その通り」あっさりと認め、「私の力がなければ少数精鋭もここまでのし上がることはなかったろう」余裕たっぷりに背もたれに体重を預けた。

 事実は事実。番もアニマの功績は認めている。彼女が眠っている間、寝床を守るのにも一役買ってくれた人物だ。

「でも――」番は冷気を吐き出す。

「――誇らしかったその魔眼も今では衰えたわ。未来視、過去視はもう使えないのでしょう?」

「……」

「そろそろ、序列八位も席を空ける頃ではなくて?」


 冷たい言葉はさすがにアニマを凍りつかせた。

 死使十三魔は純血一族とは違う。役立たずは不要と捨てるような真似はしない組織である。引退を勧めるにしても、番の言葉は棘が立っている。

 死使十三魔に貢献し、実績も積み重ね、序列八位に名を連ねる男に対する引退勧告にしてはあまりに不適切。全盛期より能力が衰えたから序列を去れという、純血一族に似た思考だ。


「言うようになったな番」

「別に貴方を捨てると言っているわけではないのよ。ただ、千里眼程度の能力では死使十三魔がこれから進む道を後押しできないの。無論、アニマ、貴方の実力は認めているし感謝もしている。身体検査役だって、今後も続けてもらえたら幸いよ」

「前線からは離れろ。そういうことか」


 女は頷く。

 アニマにとって悪い話ではない。序列という肩書きは強さの象徴であると同時に、死使十三魔最高戦力という重鎮の表れ。つまり狙われやすい。自身の安全を望むアニマは肩書きを外していたほうが得策である。


「……」


 しかし彼には、即座に頷けない理由があった。

 疑わしい。

 たしかに能力の衰えは死使十三魔の戦力に影響する。代えられるものなら、より優れた魔眼使いを招き入れた方が良い。もっとも、アニマほど熟練した者に匹敵する能力者を探し出すことすら至難の業だろうが。

 何故、このタイミングで引退を持ち掛けてきた? アニマが気になる点はそこである。

 彼は自身も認める臆病気質であるゆえ、死使十三魔という組織内の事情も可能な限り把握しておきたがる。その結果、彼はここ最近の序列の動きが活発であることを怪訝に思っていた。


 まず、そもそもこの女――番だ。序列四位。魔氷の異名を持ち、起きている姿を見ることの方が珍しい雪女。前回この女が覚醒したのはおよそ十年前。死使十三魔の序列五位と純血一族の昏黒坂家が衝突して起きた戦争だ。

 番はその際に序列一位の命令によって覚醒させられ、各局地戦を凍結させて回った。

 戦争が終結の兆しを見せ始める頃には再び氷結睡眠に入っていた。

 魔氷の番とは永遠を歩む者であるが、長く覚醒していられない者でもあるのだ。

 そんな女が、今、目の前で頬杖なぞ付いてこちらを見ている。この女が覚醒するとはつまり何かが起こる予兆でもある。


 次に序列十位と十一位の件。

 関東に於いて純血一族織神楽家の当主によって十一位が殺害され、十位が再起不能に陥った件だ。十位は《魔槍》、十一位は《魔斧》と呼ばれていた死使十三魔の攻撃象徴。アニマもあの二人の強さは比類なきものと一目置いていた。

 それが、当主とはいえ毒爪使い一人に負けるか? 一対一ならまだ納得もしよう。だが序列入り二人掛かりなら式神と呼ばれる当主が相手だろうと負けるのは有り得ない。

 しかも二人の後釜が……少女。双子の少女だ。

 夕凪みそら。夕凪しずね。

 呪詛も憑いていない。序列全員が呪詛使いの死使十三魔に於いて前代未聞だ。

 アニマでも未だその能力を知らない上に、なんと彼女達を序列一位自らが受け入れたという。


 極めつけが、死使十三魔最悪最狂の問題児。

 序列五位。

 あれが日本国に入国し、行方が分からなくなっているのは大問題だ。

 序列の多くは居場所の掴めない者が多い。だが、奴だけは、常に行動を監視していないといけない。

 十三魔の監視役は、主に序列三位がやっている。しかし三位は日本国関東地方の一件の直前に一度だけ序列十位と十一位に面会していた。その隙を突いて五位は姿をくらましたのだ。

 その五位は、あろうことか各勢力が目を光らせている日本国中部地方の結界都市に入っているという噂だ。


 結界都市――並折。

 つい最近、純血一族織神楽家当主、織神楽響がそこで殺害されたという情報が各危険勢力中に出回ったばかり……。

 

 純血一族絡みの案件が多すぎる。

 死使十三魔が引っ掻き回されている。

 アニマはそう感じていた。




『黙して動かず、世界を静観する頂点。序列一位』

『千里眼を以てしても姿を見たことがない二番手。序列二位』

『日本国で駆け回る狂い焔。序列三位』

『覚醒させられた氷結の麗女。序列四位』

『縛鎖を解かれた十三魔最強の殺戮狂人。序列五位』

『一位の側近である守護者。序列六位と七位』

『ここにきて引退を勧められた魔眼。序列八位』

『衰えた千里眼ではもはや行方などわからない奔放なる凶器。序列九位』

『失われし槍と斧。序列十位と十一位』

『他勢力へ潜伏中の伏せ札。序列十二位』

『切り札。序列十三位』




「前線からは、まだ離れられん」

 アニマは静かにそう答えた。

 死使十三魔は不安定な状態になりつつある。そして各序列は各々が思うように行動している。三位が世界中を駆け回っても、一度組織の流れが乱れ始めれば一人では足りないだろう。

 衰えはすれど、アニマは指折りの魔眼使い。各序列をまとめる際にその力は必要になる筈。

 安全ではありたい。しかしアニマはこの組織を大切に思う気持ちも強かった。

 彼の返答を受けた番は優しく目を細めて「そう」と呟く。

 内心アニマは番の腹の底に何かどす黒いものがあるように思えた。この女の言葉に従うのは得策ではない。


「臆病だけれど、やはり死使十三魔の序列八位ね。魔眼のアニマ」


 番の言葉は流し、アニマは縫い糸で閉ざされた瞼を少しだけ持ち上げて薄目を開けた。ゆらめく蝋燭。彼の目には映らない明るさ。

 彼はその奥にある番の顔を虚像の魔眼で俯瞰し、黒い唇を動かす。


「私は君に挨拶をしに来たわけでも引退勧告を受けに来たわけでもない」

「あら。では私の身体を愉しみに来たのかしら?」

「……結界都市、並折の件だ」

「並折? 貴方もあの街に興味があるの? 珍しいわね」

「私は以前よりあの街を探るよう命じられていたのでな。君が目覚める少し前から動いている」


 詮索を好むアニマのことだ。番と並折の関係も多少は知っているのだろう。

 だからこうして彼女のところへ足を運んだというわけだ。


「それは意外。でも私はあまり役に立つ情報を持っていないわよ」

「まあ、まずは聞け。私は魔眼の能力であの街へ居を移す人間の視界をジャックしていた。住人の目を通して並折を探ろうとした」

「無理ね。一般人では並折の真の姿を目撃する事は出来ない」

「君の言う通りだ。私がジャックした日本人女性は並折へ移り住んでもなにも変わらなかった。並折という二文字単語でさえ、一度も目にしなかった。あそこを支配する結界寮の住人もだ。見えない、もしくは意識できないようになっているらしい」

「無駄足もとい無駄目だったのね」

「いや、そうでもない」

「――?」

「その女性が、死んだ」

「あら、そう」

「織神楽響の死亡した前日にな」


 興味なさげに余所を向いて聞いていたが、おもわず顔をアニマの方へ向けた。

 男は続ける。


「その日の夕刻も相変わらず長い雨天の最中だった。女は夕飯の買い出しに《ひのえと》という駅で降りた。傘を差し、その駅から出て広場へ出た。その直後――彼女は首を跳ね飛ばされた」

「……巻き込まれたの?」

「ああ。跳ねた首は更に何らかの衝撃を受けて駅舎の壁に激突した。凄まじい力だ。脳漿は飛び散り、私と繋がった眼球も転がり飛んだ。女性は死に、意識は無くなった。そこでようやく、彼女の目は私だけの目になったのだ」

「なるほど。貴方の目なら並折の姿を見られる」

「すぐに眼球は踏み潰されてしまったがな。だが確かに私は見た。雨の中、女が二人。指先からワイヤーを垂らした女と、もう一人――とんでもない大物の姿を」

「大物?」


 番は顔を蝋燭に近付け、アニマも同じくした。


「純血一族、守野家の当主だ」

「え……」

「ミオウ・モリノ」


 雪女は言葉を失った。

 守野三桜。

 織神楽響だけではなく、守野三桜まで。

 知る者ぞ知る獣人の親玉だ。

 純粋な身体能力では純血一族の獣人、守野家が群を抜いて優れている。その親玉、守野三桜は白兵戦闘部門最強。

 序列三位もこれには頬をひくつかせた。


「ミオウ・モリノ……どうしてそんな女が並折に? たしか私が目覚めた時に貰った状勢情報では日本国外で活動して――そう、南米の武装勢力を相手に暴れていた筈でしょう? ティンダロスの構成員も相手に雇われて……」

「とっくに壊滅して焼け野原だ。化け物相手に金をケチった結果だな」

「まあいいわ。それで、その化け物を相手にして白兵戦をやっていたというもう一人の愚か者は?」

「さあな。だが完全にミオウの猟域内だった。遊ばれて終わりだろう。無知ってのは恐ろしい」

 アニマの言う通り三桜の力を量り損ねていたのならば、相手はもうこの世に居ないだろう。それは良い。それでも良い。問題はそれではない。

 負傷した響が並折に侵入することは別に不自然ではなかった。織神楽の本家は関西。関東から関西へ帰る途中、中部の並折を通る。これは十分有り得る。この程度のいざこざはどこにだってある話だ。


「ついに仕掛けるつもりね……純血一族……」


 絶対に零度を越えない吐息は強く吐き出された。

 アニマも大きく頷く。


 ついに仕掛ける。

 海外から白兵戦最強戦力を呼び戻し、投入したのなら、そういう事なのだ。


 並折という重要拠点。魔の結界都市。

 多くの勢力が欲し、ここ数年内偵を送って様子を窺い続けた危険特区。


 番だけでなく多くの序列が予想していた《純血一族の先手介入》。当然だ。自国の土地なのだから。

 ゆえに死使十三魔も敢えて様子見を継続していた。

 先に純血一族が手札を見せてくれるなら、それに越したことはない。現在の並折を支配しているのは結界寮という集団。そこと純血一族が正面きって対決を開始するならば、慌てて死使十三魔まで介入するのは愚策。これは頃合いを見計らって双方を横合いから一撃必倒するのが得策。

 我慢の限界か。

 番とアニマは、血気旺盛な殺人集団を嘲笑う。


「愚かな連中。自国の土地だからと綽々然としていた結果がこれとはね。海外の勢力拡大に集中し、いざ自国に巣食っていた腫瘍が大きくなったら海外戦力を自国に呼び戻す。それでも先手を打ったつもりでいるのかしら。奴らの参謀――たしか九条家だったかしら。無能極まりないわね。兵が優秀でも、将がこれでは……ふふ」

「当主を動かせる立場は、まさしく将だろうな。それも大将だろう。君の言う通り、たかが知れる。純血一族当主の動向など、あらゆる勢力がマークしているに決まっているではないか」

「うちの魔眼も嘗められたものね」

「ならばそれ相応の痛みを見舞ってやるだけだ」

「あら、その様子だとなにかもう手は打ってあるの?」

「私自身は君も知っている通り戦闘にふさわしくない。あそこの住人にいくつか《目》を付けてある。つまり――」

「奴らの踊り狂う様を傍観できる上に……絶好のタイミングは、こちらが握っている。ということね」

「その通り。踊り狂う。ずばり的確だよ番。奴らは滅茶苦茶だ。ミオウ・モリノまで投入しているこの状況で、家系間・家系内のいざこざが各所に見られる」

「なあにそれ。こんな場面で内輪揉め? 面白いじゃない。詳しく聞かせて頂きたいわアニマ。貴方の魔眼はどこまで情報を見知っているの?」


 番はアニマを前にして初めて愉しげに声を躍らせた。

 正面の男は片目を、瞼が千切れんばかりに開き、空虚な眼球を縫い糸の奥から覗かせた。


「くふ。くふふ。まあ私の目で見ずとも容易に想像できることでもあるのだがな。現在、並折に関わっているのはまだミオウ・モリノとヒビキ・オリカグラの二人。つまり守野家と織神楽家だ。その守野家、当主不在の間はミオウの側近が長い間取り仕切っていてな。その間に、守野家の中で当主派と側近派という内部派閥ができてしまったんだよ」

「側近というと……ヤタギ・モリノ?」

「そう守野八汰祁。君が前回覚醒した時――十年前、当主だった男。つまり先代守野家当主だな。あの時であの歳だ。今は本家で事務処理みたいなことをやらされている老兵さ」

「……昔はあんなに幼かったのに。そう……あの子もそんな歳になったのね」

 老いを知らない雪女は目を細めた。

「八汰祁は野心家だ。以前からその狡猾さは多少なり私も耳にしていたが、老獪というやつは厄介でな。三桜を当主から引き摺り下ろして、己を慕う者を当主に担ぎ上げようとしているらしい。そして三桜自身は、己の家系に派閥が出来てしまっていることすら知らないときた。まあ仕方ない、彼女も一族の例に漏れずその常軌を逸した実力でのし上がった女。そして勢力拡大の要として当主になって間もなく海外最前線に駆り出されてしまったのだからな」

「腑に落ちないわね。組織としてそれは避けて当然でしょうに」

「実力主義と異常なまでの支配衝動の組み合わせが招いた結果だ。連中の国の企業を例にすると――凄腕の営業マンがのし上がって企業の支店を率いる立場になり、尚その凄腕で利益を得ようと企業のトップが三桜という支店長を最前線で営業回りさせるようなものだ。支店を引退間近の副支店長に任せて、な。

 すると社員はどうなる? 支店長の顔すら知らない者も居るだろう。支店は完全に副支店長の天下だ。普通ならこのくらい容易に想像できて支店長にそんな真似はさせんよ。

 だが純血一族のトップは、させる。平気でさせる。支店長――まあ例はもういいか。守野家の当主がどうなろうと知ったことではないんだよ。守野家自体が存続させられればそれでいいという思考だ。だから守野の家系内部で派閥形勢が起きようと、統一家系は意にも介さない。八汰祁が何かを企んで三桜が引き摺り下ろされたとしても新しい当主が決まるなら、なべて事も無し。実力主義という言葉で終了だ」

「統一家系が守野家の内部事情を把握していたら――いえ、貴方が把握しているくらいだからきっと知っているでしょうね。ならば並折に投入されたミオウ・モリノは捨て駒扱い?」

「かもな。もう一度言うが、老獪ってのは厄介だ。容赦がない。あれこれ理由を付けて三桜を好き放題動かすだろう。それこそ骨と皮も残らぬまで、朽ち果てるまで、あの貴重な娘を贅沢に使うだろう」

「それでいきなり並折に投入したのかもしれないわね。ミオウ・モリノを死ぬまでぶつけて結界寮の戦力を徹底的に削がせようと」

「彼女一人でも強烈だが。もう一つ」


 アニマは指を一本立てる。三桜投入という純血一族の一策を表しているのだろう。

 そこに、もう一本指を立てた。


「守野八汰祁が、三桜を並折に向かわせている間に、ある家系の人間と接触した。と言っても、接触したのは八汰祁の方からではないようだがね」

「ある……家系?」

「昏黒坂だ」


 番は顔だけでなく全身を凍りつかせた。そんな雪女の姿は文字通り氷像のようでもある。


「吐き気を催すくらい面白いじゃないの」


 凍った無表情で言うのだから、ますます感情が解らない。


「純血一族、昏黒坂家? もう言葉から血生臭さが滲み出るわ。部屋中が汚らわしい空気で満ちてしまったわ。その名前を記憶から削ぎ取りたいくらいよ」

「おいおい、番……」

「アニマ貴方この部屋で私に吐瀉物をぶちまけさせたいの? 考えただけでもぞっとするわ。昏黒坂、ああ、昏黒坂、最低な響き。ぶちまけた吐瀉物を舌でなぞり舐め啜りそうな言葉」

「君の言いたい事はよくわかる。前回の戦争では――」

「そうよ多くの部下を奴らに殺されたわ。生き残った子でさえ狂って廃人になってしまった。貴方、見たことないでしょう? 私の部下が目の前で火かき棒を握り締めて何かわけのわからない言葉を叫ぶのよ」

「………」

「熱せられて先端が赤くなった棒を素手で握り締めて肉の焦げる臭いが私の鼻を衝くの。あの光景。忘れられるはずもない。目の焦点も定まっていない。片目は一度自分で指を突き入れて失明していた。あの子は……大きな声で……」


――『頭の中から黒い蟲がたくさんたくさんたくさん。目玉が黒く濁って私の恥ずかしい目玉。昼も夜も恥ずかしくて私は壊れてしまって恥ずかしい姿は全部黒い蟲、蟲、蟲! ああ! ああああ! うわああああああ私の! 私の目が! 鼻が! 口が! 嫌あああああ! 歯が! 蟲! 噛むとじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃり! やだぁ! あーあ。のうみそがむしになっちゃったのぉ。わたし。むしなのぉ。きちきちきちって、ね、ほら、むし。むし。むし! 言ってるでしょ! ねえ! おい! 聞いてんのかよてめえ! あああああっ? ぶっ殺してやるからな! ぶっ殺すって言ってんだよああああああああああああああああああ!』


「もはや悲鳴よ。直後、狂ってしまったあの子は棒を鼻の中に挿し入れて奥へ奥へ突き入れて――棒を引き抜いた鼻からは……脳が……どぼどぼ滴って……可哀想な……私の……大事な……」

「……」

「それを私はこの凍った表情で見届けた。感情の昂りもなかった。魔氷は、大切な部下の死を前にしても溶けなかった」

「君はあの頃より感情を露わにできるようになっているよ」


 アニマの口調には同情の感情など乗っていない。

 お前の事情など知ったことかというのが本心だろう。


「……ごめんなさい。大丈夫続けて。その、昏黒坂とヤタギ・モリノが接触したのよね」

「昏黒坂家は純血一族内でも嫌われる家系だ。無論、家系同士の仲が良いわけではないが、昏黒坂は一際他家系から白い目で見られている。理由は簡単さ。奴らと関わると碌な事がない。そんな家系に接触された守野八汰祁も迷惑に思っているだろうが、そんなことはどうでもいい。昏黒坂家が接触した理由があの結界都市絡みだというのだから私もぞっとした」

「守野、織神楽に続き、さらに昏黒坂が並折に介入しようとしている?」

「守野と織神楽は上層部の指揮下で動いていた。統一家系の把握している動きだ。だが昏黒坂は違う。統一家系の指示に従うことなど滅多にない。つまり――独自に介入しようとしているという事だ」


 織神楽響が関東の一件で負傷し、撤退中に並折に入った。

 響と合流すべく、守野三桜が並折に入った。同時に並折の本格介入を始めた。

 ここまでは統一家系も把握している。


 だが昏黒坂家。奴らがどうして首を突っ込んでくる?

 御上の指示にも従わない連中だ。身勝手な自家中心的な連中だ。

 ならば深く考える必要はない。

 わかりやすいではないか。奴らがこのタイミングで動くという事はつまり、奴らの興味を惹く何かが並折に在ることを知ったからだ。

 その何かは、土着伝奇のカオナシではない。周知の結界でも結界寮でもない。


 今。

 今なのだ。


 以前からの存在には興味を惹かれなかった。

 昏黒坂家が自ら興味を抱き、調べ、並折に介入した守野家の八汰祁に接触するほどの、何か。

 何かが、今、並折に在る。

 何かとは何だ?

 

 それは――奴らの宿敵だ。


「死使十三魔、序列五位」


 番の呟き。

 対するアニマの首肯。

 

 昏黒坂家は前回の戦争からずっと序列五位を目の仇にしている。

 当然だ。戦争の起源は昏黒坂と五位の接触だったのだから。そして終戦を迎えてもこの両者に決着は無かったのだから。


「なんとも迷惑な家系ね。純血一族を横合いから叩くための伏せ札を、嫌われ者の家系が暴いてしまった」

「まあ、暴かれやすい伏せ札だからな、五位は。それに五位もまた我々の意から外れて勝手に伏せた札だ」

「しかし死使十三魔も動き辛くなるわ。いいえ、五位と昏黒坂が再び揉めたら結界都市どころではなくなる。すぐに三位へ連絡して五位を連れ戻してもらわなければ」

「まあ待て」


 今にも椅子から立ち上がりそうな雪女を、アニマが制する。


「たしかに五位と昏黒坂の接触は火薬に火を近づけるようなものだ。が、五位は並折に入ってから目立った動きを見せていない。あの五位が騒ぎも起こさず落ち着いているということは、何か理由がある。それが何かはわからんが、とりあえず火は点いていないと考えていいだろう。それに――」


 じとりと湿った舌で黒の口紅を舐め、長く黒い爪を五本、雪女の顔の前に突きつける。


「――五位が並折へ行くきっかけを作ったのは君だろう?」

「どうしてそれを」

「私には御見通しさ」


 顔を掴むように、催眠をかけるように、アニマの指は奇怪な動きをした。

 盗み見る事こそこの男の得意分野。

 序列四位と序列五位が会する場面を見逃す筈もない。


「カオナシだったかな? 五位はそれに興味を持って並折に向かったのだろう? 君は悪い女だな。五位の居場所も目的も知っていながら隠すとは。三位が聞いたら何と言うだろうか」

「なるほど、脅しのつもり? 純血一族の本格介入、昏黒坂家の独自行動、五位の潜伏。そこまで把握して、一体何が目的?」

「だから、並折さ。あの結界都市を死使十三魔のモノにする為に、一肌脱いでやろうと言っているんだ」

「どうするつもり?」

「カオナシを探してやる」

「……」


 アニマの口から出た一言。

 番の胸は大きく鼓動した。


「どうにもその妖怪が気になるのでな。君も随分とそいつに御執心だそうじゃないか。君だけではない。五位も、夕凪姉妹も、たかだか顔の無い人間に何をそう夢中になるのかはわからんが、並折に巣食う妖怪であるなら結界都市の秘密に繋がっている可能性は高い。君は知っているのではないのか? カオナシと、結界都市の、関係を」

「……知らないわ」

「そう答えるのも予想していたよ。隠し事が好きな女だな。まあいいさ、どちらにせよ君も並折から離れて大分経っていることだし、カオナシの所在が気になるだろう。私がその居場所を突き止めて五位に回収させて君の目の前に連れてきてやる。土着の妖怪だ、結界都市の秘密も知っていると私は思っている。純血一族はそいつの存在も知らんようなのでな、もし我々が先んじて結界都市の核心に触れる事ができたなら、また一つ連中より有利な位置に立てる伏せ札が手に入るわけだ。三位も五位を回収できて胃薬を服用しなくてもよくなるだろうし、君も昔の知人と語りたい事もあるだろう。夕凪姉妹も満足する。死使十三魔の乱れかけた足並みは多少なりとも揃うだろうよ」

「貴方、カオナシが並折の重要人物だという確信を持っているの? たしかに、仮にカオナシがあの特殊な結界の鍵となっているなら純血一族の件も些細な事でしょう。カオナシを回収し、結界を操る事ができるようになれば死使十三魔があの魔都を手に入れたも同然だもの。でも、もし違っていたら? カオナシがただそこに住んでいるだけの存在で、結界とは無縁だったら?」

「それならそれで、我々が不利になるわけでもない。君に引退勧告を受けるような隠居間近の男が、勝手に妖怪を招待した。それだけの事だ」


 番とカオナシの間に特別な感情があることを知ってなのか、いやアニマが知っている筈もない。それでも彼は皮肉めいた貌で笑っていた。

 疑い出したらキリがないのは番も重々承知していることであり、基本的に人間は多かれ少なかれ腹の内に何かを秘めているものである。だからアニマが何を考えていようと、番にそれを止める理由がない以上は黙っているしかない。

 下手に口を出して腹の内を探られるのも好ましくない。

 この男はただ死使十三魔の為に動こうとしているだけなのだ。


「わかったわ。貴方のしたいようにするといい。私に会いに来てくれたというのに、有益な情報をあげられなくてごめんなさい」

「いやいや、実のところカオナシという妖怪が危険か否かを確かめたいだけだったのだ。君の様子では並折から連れ出したところで問題はなさそうだ。十分有益な情報だよ」

「わざわざ――深海のように冷たいこの部屋へ来たのも、それだけの為なのね」


 深海のように。

 番は、アニマが訪れた際に使った表現を流用した。


「ふふ。この部屋は本当に冷たい。この空間が深海ならば、君はなんなのだろうね」

「私は……そうね、深海魚と言いたいところだけど、この部屋を暗く冷やして深海たらしめているのは私自身。だから正確には私とこの部屋が深海と言うべきかしら」

「なるほど。ならば私が深海魚かね」

「ええ、そうなるわね。貴方にとって居心地は悪くない筈。深海……即ち暗黒の世界。視界も遮られ、信ずるは己のみの世界」


 視界。

 目の下に人差し指を添える番の様は、明らかに目を塞がれたアニマへの皮肉を表していた。

 男はそれを気にすることもなく、鼻で笑い飛ばし席を立つ。


「では少々、遊んでくるとするか」


 扉が開き、冷えた空気が移動し、またも蝋燭の灯が大きく揺れた。



  ◆  ◆  ◆



 アニマの去った後も、彼が訪れる前と変わらず番は蝋燭と向き合っていた。

 違うのは、無心だったのが今は思考を働かせている点だ。

 それもすぐに終わり、彼女の中では結論が出たのだろう。白い顔の、頬肉が耐え切れずに震えた。


「今のところは、カオナシの思惑通りか。いつも通りね」


 結界都市は餌。

 餌に釣られて集まる超常の者達。

 そして――、

「全部喰らうカオナシ」

 呪詛憑き、純血、十三魔、裏稼業、エトセトラエトセトラ。

「何度も何度も同じことの繰り返し」

 冷えた部屋なのにアニマとは違い彼女の吐く息は白くない。

「でも今回はわからない。今回こそ貴方に引導を渡す事ができる。天宮柘榴が鎖黒を持って並折に入ったのなら、もう貴方に安息は無い。あの子が結界都市の形式に気付き、魔都を解放したその時。それがカオナシの最期。カオナシが不憫で孤独な妖怪? ふふ……そんなわけない。奴こそ古の妖怪達を皆殺しにした張本人なのだから」



  ◆  ◆  ◆




『お帰りなさいませアニマ様』

「その名前で呼ばなくても良い。今は周りに誰も居ない」

『わかりました霧人(きりと)様』

「……」

『……』

「……ぷふっ」

『……くくっ』



――そこは朝も昼も晩も、

――春も夏も秋も冬も、

――今も、昔も、

――そしてこれからも、

――昏き森。



「ぎゃはははははは! あー毎度毎度、固苦しいったらねぇぜ!」

『あはははは! んはははははは! 仰る通りです御頭! 死使十三魔と純血一族の二足の草鞋ってのは大変そうですなぁ! で、魔氷はどんな様子でした?』

「最高だぜ、昏黒坂の名前を聞いた途端に憤りを見せやがった。まさか目の前にその当主様が座ってるとも知らねえで、馬鹿な女だぜ。ぎゃははははは!」

『死使十三魔の序列八位が、実は純血一族の昏黒坂家当主、《昏黒坂霧人》。まさか純血一族が組織内に潜伏しているとは思わねーですよ』



――陽の光を知らぬ土。

――檻がごとき木々の並び。

――縦横無尽の有刺鉄線、茨道。

――自然の結界は近寄る者を拒む。

――そんな暗黒の森に、昏黒坂家の大きな屋敷はあった。


「奴ら疑いもしねえ。魔眼のアニマぁ? きひひ、これっぽっちの能力で序列八位に立てるんなら、死使十三魔なんか所詮は使い捨ての駒にすぎねえよ」

『いやいや未来視と過去視はさすがに御頭にしかできないですよ。ま、それも僕達にゃ必要ないですがね』

「まあな、結構疲れるしよ。だから怠くなって使うのサボってたら番の奴、『能力が衰えた』とかぬかしやがる。頭パーにも程があるだろ」

『あははははは! 傑作じゃないですか』

「クソ長ぇ間、冷凍庫に引き籠ってるアイスウーマンなんざその程度よ。脳味噌まで凍ってやがる。相手にするだけ無駄だった。んで、そっちはどうなんだよ霧馬(きりま)? 八汰祁のジジイは乗ってきたんだろ? 序列五位をぶち殺す算段はできてんだろうな?」

『んー、まあまあです。とりあえず現状は、守野三桜が帰還して、御上の処分待ちって状態ですわ』

「構うこたぁねえ、昏黒坂病院まであのアマ引っ張ってこい。並折は奴と一緒じゃなけりゃ入れねえからな。御上から入り方を教えてもらってんのは奴だけだ」

『ジジイが渋っているようですが、大丈夫でしょう。五位をぶち殺す算段は――まあ、まずは例の《突攻兵器》でも並折にぶつけてみようかと思ってます』

「ああ? なんだそりゃ」

『ほら、居たじゃないですか。うちの家系で使い物にならないあの――』

「おお、てめえが実験台に使うとか言って生かしといた奴か。まあ適役だわな。てめえの事だ、どうせ散々いじくりまわしてんだろ? 突攻兵器としてすら使い物にならなかったら承知しねえぞ」

『あはは……腹ん中に爆弾でも仕込んでおきますかね……』


 閉ざされた障子戸の前で片膝をつく昏黒坂霧馬は、一度だけ暗闇に溶けた庭へ視線を向け、それから再びほんのり明るい障子戸の向こう側へ戻す。

 中を窺うことはできないが、その部屋は広く畳の敷かれた空間。灯火の前に立つ当主――昏黒坂霧人らしき人間のシルエットがローブを脱いでいた。

 それから霧馬の耳に何本もの糸を千切るような音が聞こえた。

 次に畳まれた衣服を振って広げる音。

 帯紐を強く結ぶ音が聞こえ終わると、

「あーあ」室内の影はずどんと腰を床に下ろした。


「さてと、どうしたもんかねえ」


 中からの声は霧馬に向けられたものではないらしい。


「本格介入大いに結構。だが、どうにも特定の標的だけを射殺すってのは俺達にゃ不向きなんだよなぁ。多数混戦に発展した時にどさくさに紛れて五位が死んじまったらたまったもんじゃねえ。おい霧馬ぁ!」

『はい』

「五位と純血一族の接点をもうちょい探れ。昏黒坂との因縁だけじゃねえかもしんねえ」

『となりますと、十年前から更に遡った情報ということになりますな』

「おう。切り口はどこからでもいい。五位からじゃなくて、他の家系から洗ってもいい。特に九条家、守野家、日向家、螺旋金(ねじがね)家。この辺が頻繁に海外で活動していた連中だ」

『……承知しました』


 九条、守野、日向、螺旋金。

 家系間の連絡係として昏黒坂では珍しく顔の広い霧馬だからこそ、霧人は頼んだ。本人はそれもわかっている。

 霧馬は優秀な人間だ。昏黒坂らしく狂気を帯び猟奇的でありつつ、霧人に劣らぬ頭の切れを持つ。当主補佐として長く昏黒坂家を支え、そしてなにより当主の霧人を敬う。そんな男だった。


(ようするに僕達の他に因縁を持つ奴。個人を探しゃあいい、ってことだな。そいつを餌に五位を一族本家の目から引き離しておく算段。僕達ゃ安心して喰えるってわけだ)


『霧人様はこれからどうなさるので?』

「俺は若い衆に守野八汰祁を攫わせてくる。しばらく《入院》しててもらえば三桜も《見舞い》に来るだろうよ」


 相変わらず大胆なやり方をする当主に、霧馬は頬を染めた。

 いや、このくらいではまだ大胆とは呼べないか。とも彼は思う。

 なにせ昏黒坂病院には最近、新しい入院患者が入って来たばかりなのだ。

 患者の名前は《織神楽轟(とどろき)》。

 兄が死亡し、新たな当主となった翌日に入院したという、《不運》な患者だ。

 《診断結果》では《余命三日》とされている。

 いや、されていた。


(お悔やみ申し上げます。ってか)


 患者の真っ黒な臓物を思い出した霧馬は静かに嗤った。


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