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金色の御子伝説  作者: 世捨人
旅立ち編
4/50

3話

アーサーを連れた男達は、村の中にある小さな食堂に入って行った。


「小僧ここが組合ギルドの受付だ」


「ここが?」


「町の組合ギルドから簡単な受付だけ委託されてるんだ。お~いエレナいるかい?」


男は店の奥に声をかけた。


店の奥からエレナと呼ばれた若い女性がパタパタと出てきてアーサーを見るなり固まってしまった。


「お~い エレナ~ もどってこ~~い お客さんだぞ~」


「あんた達こんな綺麗な子・・・まさか・・・攫って・・・坊や私が守ってあげるからね」


キッと男達を睨み付けて近くにあったフライパンを握り締めた。


「おっおい 勘違いすんな この子はダグの馬鹿を魔狼から救ってくれたんだ」


「本当かい?坊や こいつらに何にもされなかったかい?」


アーサーは苦笑しながら頷いた。


「まあ詳しい話は後だ。小僧が組合ギルドに登録したいって言うから連れてきたんだ。手続きをしてやってくれ」


「おねがいします」


男達はテーブルに腰掛て脱力していた。



「坊や 組合ギルドのことは知ってるの?」


「いいえ 登録証があると他の領地にも行けるってことしか・・・・・・」


「じゃあ簡単に組合ギルドのことを説明するわね。

組合ギルドの種類にはね『傭兵』『狩人』『商人』があるの。

『傭兵』は野盗や山賊の討伐や戦などの人間相手の仕事ね。

『狩人』は依頼された獣を狩ってきたり狂獣の討伐などの獣相手の仕事。

『商人』はそのまま商売人のことね。坊やがなりたいのは?」


『狂獣』とは『魔獣』が怒りなどで魔力を暴走させ、破壊本能だけで動く獣のことである。



「僕はずっと森の奥に住んでたから狩人ならできると思います。人間相手の戦いはいやだなぁ~」


「そうね。坊やみたいな綺麗な子が野盗討伐なんてお姉さん想像できないものね」


とニッコリ笑いアーサーの格好を見て


「その装備で狩りなんてできるの?」


「シロと一緒なら熊くらいなら狩れますよ。この子も強いですから」


「まあ危ない依頼は受けなければ大丈夫ね」


とあまり信用してなさそうにしながら紙をだしてきた。


「この申請書に必要事項を書いてね。って字は書ける?」


「大丈夫です」


用紙を見てみると、申請者氏名、出身地、主に使用する武器、主に使用する魔術属性、契約している精霊の属性等の記入欄があった。


「聞いてもいいですか?」


「ええ なんでも聞いてちょうだい」


「出身地って・・・・・・僕は『魔狼の森』なんですけど、そのまま書けばいいんですか?」


「住んでた村に名前はなかったの?」


「村じゃなくって家族だけで住んでたんですよ」


「じゃあ そのまま書いておけばいいわ」


「わかりました。使用する武器はっと・・・・・・魔術属性って?」


「火の魔術が使えるんなら『火』とかって書いとけばいいんだけど、魔術使えない人のほうが多いから別に書かなくってもいいわよ。精霊のところもテキトーで」


「結構いい加減なんですね」


「ここは正規の受付じゃないからね。大きい町の受付行ったらしつこいくらい聞かれるわよ」


「ここで良かったです。親切に教えてもらえるし」


「こんな田舎で登録する人なんて村人以外いないから、登録内容なんてどうでもいいのよ」


っと笑いながら申請書を受け取ると内容を確認した。


「アーサー君ね。魔狼の子供を連れてることは備考欄に書いておくわね。密猟を疑われちゃ嫌でしょ」


「ありがとうございます」


エレナは申請書を水晶玉に翳して組合ギルド本部に転送した。


「申請書送ったから登録証がくるまで少し待っててね」



その後しばらくの間、男達と一緒にダグと呼ばれた男のことをエレナに説明した。


「はぁ~ なにやってんだか あの馬鹿は!!」


「そういえば この前通りかかった商人が魔狼の子供を欲しがってる貴族がいるとかなんとか言ってたから請け負ったんじゃないか?」


「そうかもしんないね」



「そういえばアーサー君 他の領地に行きたいって言ってなかった?」


「うん 亡くなった父の先生に会いに行って、父の話を聞きたいなぁ~なんて……」


「じゃあお母さんだけ森に残してるの?」


「いや 僕が生まれて直ぐに両親共に死んじゃって、養子として育ててもらったんです。

僕が15歳になったんで、森だけじゃなくって色んな事を勉強しておいでって旅に出ることを許してもらったんですよ」


「かわいそうに……なにか困ったことはないの?」


「僕はずっと森で育ったから世の中のことがあんまりわかんなくって……」


「例えば?」


「お金の使い方とか……価値とか……」


「まさかお金持ってないの?」


「旅に出るときに養父がくれました」


と懐から皮袋を取り出して中身を見せた。


中身を見た全員が固まった。


「こんな大金……これだけあれば一生……」


「アーサー君これ誰にも見せちゃ駄目よ!!」


そう言って皮袋を懐にしまうよう促してお金の説明をしてれた。



銅貨100枚で銀貨1枚。

銀貨10枚で金貨1枚

金貨10枚で白金貨1枚

食堂で普通にご飯を食べて銅貨5枚、ちょっと贅沢なものを食べて銅貨10枚くらいだと。



皮袋の中には白金貨が200枚くらい入っていた。


「アーサー君 そんな大金懐に入れてちゃ危ないわよ」


「大丈夫ですよ。魔術で他の空間に置いてますから」


「えっ!?空間魔術って……高等魔術じゃないっ」


「でも これって攻撃にも防御にもなりませんよ。便利だからって養父が教えてくれたんですけど……変ですか?」


「お養父さんって何者なの?」


「養母からは『ロリコン変態親父』って言われてます。アハハ」


全員がズッコケタ……


「他にも使える魔術はあるの?」


「他は焚き火に火をつけたりできる程度です」


「あ~吃驚した~」



水晶玉からピロリ~ンと音がしてなにかが出てきた。



「アーサー君の登録証ができたみたいね」


10cm角くらいの皮製の登録証を受け取ったアーサーは


「ありがとうございます。これで旅ができそうです」


「いえいえ どういたしまして」


「今日は俺達の奢りで宴会だぁ~~~~!!!」


「えっ!?そこまでお世話になるわけには……」


「何言ってるんだ ダグの馬鹿野郎を助けてもらったお礼とアーサーの門出祝いだぁぁぁ」


「アーサー君 こいつらは宴会の理由が欲しいだけなのよ」


と笑ってエレナは料理を作りに厨房へ消えて行った。

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