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金色の御子伝説  作者: 世捨人
レジアス領編
11/50

2話

「毛皮の代金だけど、銀貨8枚と銅貨50枚でどうかしら?」


「それで良いですよ。思ってたより高額なんで嬉しいです」


「すごく上物だって評価よ。傷ひとつないってどんな狩り方したのかって不思議がってたわ」


「ああ素手で狩りしてたから傷はつかないですよ」


「すごいわねぇ~ ここらへんの狩人も見習って欲しいわ!みんな弓や剣で穴だらけにして持ってくるんだから!」


ヤレヤレという表情をしながら受付嬢は愚痴をこぼした。


「そういえば明日から町で何かあるって聞いたんですけど、何があるんですか?」


「ああ定例の騎士団と衛士隊の入隊試験よ。 あっそうそう お姫様の護衛っていうか婿候補の選抜もあるらしいわ。アチコチから貴族のお坊ちゃま達が来てるわ」


「貴族のご子息が護衛?」


「貴族のお坊ちゃまって言っても次男とか三男の家督と継げないような人が逆タマ狙ってきてるのよ」


「逆タマって?」


「格上の女性と結婚して自分の格もあげることね。前々から縁談はたくさんあったらしいけど、全部断ってるみたいよ」


「誰か意中の人でもいるんですかね?」


「お姫様は『わたくしより弱い者に用はありません!!』って宣言してるから、面白いことになりそうな予感がするんだけどね」


「気の強そうなお姫様ですね」


「先代様に剣の天才って言われるくらいの御転婆だけど領民には優しくって可愛らしいお姫様よ。領民からも慕われてるわ 剣の腕前も相当なものらしいわよ」


「へぇ~面白いお姫様なんですね。ところで、入隊試験って何処であるんですか?」


「あら アーサー君も受ける気?」


「いいえ とんでもない!見学だけですよ。いろんな武術見てみたいから……」


「綺麗な顔してても男の子なのね~ 場所はね、お城の裏にある訓練場よ」


「お城の中通れるんですか?」


「明日は、お城の壁に沿って歩いていくと看板が出てるからすぐ分かるわ。それに人もいっぱいいるから付いて行けば問題ないはずよ」


「ありがとうございます」


「アーサー君 宿は決まってるの?」


「今からテキトーに探そうかと思ってます」


「はぁ~ この時期は見学者で一杯のはずよ。今から探しても無理ね。今夜はおね~さんのベッドで……」


周囲の事務員や受付嬢から鬼のような視線が飛んだ。


「冗談はさておき、組合ギルドの宿泊施設なら、たしかひとつくらいは空いてたと思うからちょっとまっててね」


受付嬢は宿泊用の受付のほうに歩いて行き、接客中の女性にヒソヒソと何か話した。


接客中の女性はお客さんに向かって


「たった今 客室が満室になってしまいました。またのお越しをお待ちします」


「おっおい!!今空いてるって言ってたじゃないか!!」


「申し訳ございません。先ほど予約が入っていたようです」


と笑顔で言い放ち急いでアーサーのほうに寄ってきた。


「残念ながら部屋は一杯だったようですね。僕は野宿でも「ちょっと待って!」」


「部屋は君の部屋で最後なのよ」


「でも さっきのお客さんに……」


「だ・か・ら 君の部屋で最後なの。それが嫌なら、組合ギルドの女子寮ってのもあるわ 私としては、そのほうがラッキーって感じだけど」


「いえ 宿泊施設を使わせていただきます」


「じゃあ直ぐに手続きするわね。こっちの受付にきて書類書いて頂戴」


「はい」


組合ギルドの女性陣が残念そうな顔をしているのを尻目に、手続きが終了し施設の説明を受けて部屋に入ったアーサーは


「なんか疲れた……この町の女性って怖い……」


とこぼしベッドに倒れこんだ。


女性が怖いのはこの町だけでないことをアーサーはまだ知らなかった。





部屋で少し休んだ後、少し遅めの昼食をとりに食堂におりた。


昼時を過ぎていたので満席ではなかったが、明日の入隊試験を受けに来た人や見学に来た人でそこそこ賑わっていた。


適当な席に座りメニューをにていると


「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」


とウェイトレスが声をかけてきた。


「なにか軽いものがいいんだけど……」


「それでしたら特製サンドウィッチがお勧めですよ」


「じゃあ それと紅茶を……シロには生肉をお願いします」


「かしこまりました」


しばらくして持ってこられた食事を食べ終え、これからどうしようかと考えていると厳つい男が話しかけてきた。


「小僧 お前も入隊試験受けるのか?」


「いいえ 僕は見学です」


「それが無難だな。合格するにゃ俺様のような強靭な肉体が必要だからな」


「入隊試験ってどんな事するんですか?」


「なんだ そんなことも知らねえのか!?

まずはマラソンだな。それで上位50位が合格。

次に得意な武器の基本型の審査、最後に自由組み手だ。

だいたい合格するのは2~3人だな」


「大変そうですね」


「当たり前じゃないか。合格して衛士隊に入ったら公爵家の武術が習えるんだぞ」


「入隊できるのは武術家だけなんですか?」


「魔術の才がある奴は別枠でいつでも審査を受けれるそうだ。魔術士は少ないからな。精霊術士にいたっては今は誰もいないそうだ 小僧魔術使えるのか?」


「焚き火に火を点けるくらいなら」


「ワハハ それじゃ無理だな」


「護衛選定の試合も面白そうですね」


「おおっ!?よく知ってるな」


「騎士団の人も出るんでしょ?」


「騎士団若手のトップ3が出るらしいぞ。『疾風のレオン』『爆風のレックス』『千手のリック』こいつらは凄いぞ~ まあこの中の誰かが優勝だろうな」


「強そうですね~ 他に優勝候補はいないんですか?」


「そうだなぁ~ 他は貴族の子息だからなぁ~ 一応有名なのはバーニング男爵の次男坊くらいかな。でもあの一族は人柄がなぁ~……」


「その領地でそんな事言ったら大変ですよ アハハ」


「よく知ってるじゃないか。ワハハ」


「じゃあ明日は頑張ってくださいね」


「おおっまかしとけ!!

合格したら祝杯をあげるから小僧も参加しろよ!ワハハ」


アーサーは豪快に笑いながら去って行った男を見送った後、会計をすませて町を散策する為に組合ギルドを出た。

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