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金色の御子伝説  作者: 世捨人
序章
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序章

改定版のスタートです。

旧作の焼き直し+追加エピソードとなりますが、旧作程の更新速度は出せませんのでご容赦ください。

無限に広がる次元の片隅にある小さな世界にユーロネシアと呼ばれる大陸がある。


大陸の中央には大陸最高峰の『神龍の山』があり、その周囲には『神狼の森』と呼ばれる広大な森林が広がっている。


『神龍の山』と『神狼の森』は神域と呼ばれ、人間が入ることはできない。


大陸には4つの国家が存在していた。


神域を含む大陸の南西に広がるローレンシア神聖王国。


ローレンシア神聖王国から東に広がるシンカ共和国。


シンカ共和国の北方に広がるグランディカ帝国。


そしてローレンシア神聖王国の北方にある小国からなるソヴィエ連邦。




『神に祝福された国』と呼ばれるローレンシア神聖王国。


王城内にある祭壇にベビーベッドが置かれ、白銀の髪に鳶色の瞳をした赤ん坊がスヤスヤと眠っている。


すこし曲のある赤毛の青年が祭壇に向かい両手を広げ大きな声で宣言した。


「我が子 アーサー・フォンライン・ローレンシアを王位継承権1位の王太子とし、ここに王太子の証である聖なる短剣を授ける!」


赤毛の青年こと国王ジェファーソン・フォンライン・ローレンシアは王家の紋章が入った短剣を赤ん坊の胸の上に置き、満面の笑顔で王子の額にキスをした。


10歳年下の王弟アルフレッド・ボガート・ローレンシアを筆頭に、儀式の参列を許された国の重役達や4人の公爵、大神殿神官長から大きな拍手と歓声があがった。



大きな声と拍手の音に驚いたのか、ぐずり始めた王子をチラリと見て


「王子はこれから食事じゃ。少し休憩をして洗礼の儀式を行おう。皆の者 それまで寛いでいてくれ」


と言い王子を抱き上げ王妃に渡し、控えの間に下げさせた。



真紅の髪と鳶色の瞳で幼少期から武術ばかりだった国王が、大神殿で見かけた白銀の髪に翡翠色の瞳を持つ美少女『神の巫女』に一目惚れし射止めたのが現王妃フレデリカ・アッサム・ローレンシアである。


フレデリカは『神の巫女』と呼ばれる通り、幼い頃から神の声を聞き人々に福音をもたしてきた。(自身の結婚についても神の祝福を得て決意したと言われている)


フレデリカの居た大神殿はローレンシア神聖王国に総本山を置き、世界の理を司る『知の神』と生き物全てを司る『生命の女神』の天上神2柱を祀っている。


他にも天上神の決めた理を世界で実行する『精霊』や、理を乱す者から世界を守る『神獣』を祀った精霊神殿がある。


一般的に貴族は権威の象徴として天上神を信仰し、平民はより身近な精霊を信仰している。


先代王が流行病で急逝し20歳にして王位についたジェファーソンは、王妃から神の教えを説かれ戦乱の無い民が笑顔で暮らせる国を作る為に善政を行い『賢王』と呼ばれている。


戦乱が無いということは、武勲を挙げ恩賞を得ることができない。


民が笑顔で暮らすということは、領地の民に重税を課し富を得られないということで、不満に思う貴族もいるが、口に出して王の信頼を失うことを恐れ誰も逆らうものはいないのである。


また、他国からも信頼が厚く王族や有力貴族からの留学依頼があるほどである。


戦乱が無いとはいえ、決して軍事力が弱いわけではなく、炎王近衛騎士団や風王騎士団、地王陸戦隊、水王海戦隊を擁し大陸でも有数の軍事力を誇っている。


その他にも、各貴族は私兵を持ち自領の治安を維持しているが、一度戦が始まれば国軍に組み込まれ戦力となることが決められている。




「兄上 おめでとうございます」


「お~ アル ありがとうな。どうだあんな可愛い赤ん坊見たことないだろ~ 俺に似てハンサムになるぞぉ~ ワーッハッハッハッ」


「どう見ても大陸一の美女と言われた義姉上に似てると思いますよ~ 兄上に似ているのは鳶色の目くらいです。兄上に似なくて良かったと臣下の者達も申しております」


「おお~~~!!アルが突っ込みを覚えた!!成長したなぁ~ 兄はうれしいぞ!」


賢王は、王弟の頭をガシガシと撫で回し上機嫌で他の列席者へ挨拶に向かった。



「陛下 此度は王太子殿下ご誕生おめでとうございます!!」


そこかしこで同じようなやりとりが行われ終始穏やかな雰囲気で時は流れていった。




しばらくして控えの間から王子を抱いた王妃が入ってきて、参列者も所定の位置に立ち居住まいを正した。


「これより神々による祝福の儀をとり行う」


大神殿の神官長が宣言し、参列者全員が跪き頭を垂れた。


本来であれば、神官長が祝詞を捧げ祝福をあたえるのだが、王妃は神々の声を直接聞くことができるので、神官長は祭壇に一礼し後方に退いた。


「神々のご加護により この子を無事出産することができました。感謝いたします。この子にも神々の教えを説き正しく人々を導けるよう祝福を賜りますようお願いもうしあげます」


王妃の声が響き渡った その時、祭壇の陰から2つの黒い影が飛び出してきた。


  うおおおおっ


黒い影のひとつは手にした剣を王の胸に突き立て、もうひとつの黒い影は王子に剣を振り下ろそうとしていた。


   きゃぁぁぁーーーーーー!!


王妃は自分の身体を盾にし王子を守り


「神よ この子を・・・・・・」


と言い残し息絶えた。


その時、眩い光が王子の身体から発し、光と共に王子の姿は消えてしまった。


「フハハハ 神など誰も助けにもならぬわっ」


と言い放った黒い影はその場で自刃した。



「兄上っ 義姉上っ!」


「陛下っ 王妃様っ!」


王妃以外の全員が跪き頭を垂れていたことが災いし、誰一人対応できず悲痛な叫びが室内に響き渡る。


部屋の外にいた衛兵が異変に気付き中に入ってきた時には全てが終わっていた。


「王子様は何処だっ」


「王太子殿下が見当たらないぞっ」


「探せっ 必ず無事に連れ帰るのだっ」


国を挙げて王子の大捜索が行われたが、賊が連れ去った形跡も無く王子の行方は杳として分からなかった。


犯人の身元も、前日まで王都の酒場で酔い潰れていた傭兵くずれとしか分からず、王城への侵入を手引きしたであろう共犯者も全く分からなかった。

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