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第36話 あたらしい朝

チャッピー(ChatGPT)にて執筆し手直ししたものを掲載しています

月曜の朝、少し早く目が覚めた。


窓の外はまだ薄暗くて、カーテンの隙間から差し込む光が、どこか新しい空気を含んでいるように感じた。


「……ふぅ」


目を閉じて、深く息を吐いた。


今日は、新しい職場の初出勤日だ。


嬉しい気持ちと、緊張と、ちょっとの不安がまざって、胸の奥でぐるぐると渦巻いていた。


鏡の前に立ち、髪を巻く手にも自然と力が入る。 制服はまだ馴染まないけれど、ちゃんとアイロンをかけたブラウスに袖を通すと、気持ちが少しシャキッとした。


「……うん、よしっ」


リビングに出ると、ようさんがコーヒーを淹れていた。


「おはよう」 「おはよう。……緊張してる?」 「……ちょっとだけ」 「大丈夫。けいちゃんは、ちゃんとやれる人やから」


そう言って、いつもの調子で笑ってくれた。


不安はまだ残ってる。でも、その笑顔を見るだけで、少しだけ自信が持てる。


玄関で靴を履いていると、ようさんが近づいてきて、そっと私の髪をひと束、耳にかけてくれた。


「いってらっしゃい」 「……いってきます」


職場のビルに着いた時、やっぱり心臓がバクバクしてた。 でも、受付で名前を伝えると、岡崎さんがすぐに出迎えてくれた。


「おはよう。今日からよろしくね藤城さん」 「よろしくお願いします」


岡崎さんに本名で呼ばれることに恥ずかしさを感じながら、丁寧に挨拶してから、更衣室で制服に着替える。 Moonとはまったく違う服装。 短めのスカートに、ベストとブラウス。 ピシッとした印象の制服だけど、思ったよりも可愛い。


最初の業務は備品のチェックと電話応対。 わからないことだらけで、何度もメモを見返しながら、隣の先輩に聞いてばかりだった。 でも、誰もイヤな顔ひとつしなかった。


昼休み。


給湯室で紙コップの紅茶を飲んでいたら、ふと目線の先にようさんの後ろ姿が見えた。


「……あっ」


何でもないような仕草。書類を手に持って、歩いていくだけの姿。 でも、それだけで、なんだかホッとする。


こんな風に、同じ職場で働く日が来るなんて、少し前までは想像もしていなかった。


午後の業務は少し慣れてきて、電話にも一人で出られるようになった。 相手の名前を聞き取れずに焦る場面もあったけど、それでも最後までやりとげた。


「おつかれさま、けいちゃん。おっと、職場では藤城さんかな?今日はどうやった?」


帰り道、ようさんが声をかけてくれた。


「うん……なんか、すごく幸せやった」 「ほんまに?」 「うん。上手く言えへんけど……ちゃんと働けるって、すごいことなんやなって」


ようさんは、優しい顔で私を見ていた。


「俺も。藤城さんが頑張ってるの見て、うれしかった」


「会社出たからもうけいちゃんでいいよー」


家までの道を、並んで歩く。 ああ、この人と一緒に選んだこの毎日が、ちゃんと幸せなんや。


「明日も、がんばるねん」


そう言った私の言葉に、ようさんは静かに笑って、頷いた。



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