第32話 素直になれる時間
チャッピー(ChatGPT)にて執筆し手直ししたものを掲載しています
風邪なんかひくなんて、ほんまに久しぶりやった。
Moonの楽屋でなんとなくぼんやりしてたら、ママに「顔赤いで?」と心配されて、熱を測ってみたら案の定、微熱。
「早退しぃや。無理したらあかん」
そう言われて渋々帰ったけど、本音を言えばちょっとホッとしてた。無理してまで出勤する理由もない。けど……なんやろな、この心細さ。
部屋に戻って布団にくるまってると、インターホンが鳴った。
「……ようさん?」
ドアを開けると、紙袋を下げたようさんが立ってた。
「ごめん、連絡もせんと。ママさんに聞いて、心配になって」
「……なんで来たん?」
そう言いながらも、胸の奥がじんわりあったかくなるのを感じてた。差し入れの中にはポカリとゼリー、そしてなぜか小さなタッパーに入った雑炊。
「作ってきた。食べれそう?」
「うん、食べる……」
素直に受け取った自分に、自分でもびっくりした。いつもなら「大丈夫やって」と強がるくせに。
「寝てて。おかゆ、温め直すから」
ようさんがキッチンに立つ姿をぼんやり見ながら、じわじわと涙がにじみそうになる。誰かが自分のために動いてくれる。たったそれだけで、どうしてこんなに胸が詰まるんやろう。
雑炊の湯気越しに、「ちょっと熱あるんちゃう?」と眉をしかめるようさんの顔が、思ったよりも近くてドキドキする。
「なんかようさん、保健室の先生みたいやな」
「俺、看病とか慣れてないけど……そばにいたいなって思って」
その言葉に、カッと顔が熱くなるのを感じた。熱のせいじゃない。
「……そんなん、寝込みに言う?反則やわ……」
冗談っぽく笑ってみせたけど、胸の奥では何かがふわっとあたたかく広がっていた。
「けど……ありがとう。ほんまに、来てくれてうれしかった。ようさんが来てくれるだけで、安心する」
素直にそう言えた自分にも、少し驚いた。弱ってるときだけじゃなく、こんな風に本音を言える関係になってることが、なんや誇らしくて。
ようさんは、いつものように不器用に笑って、「俺、ずっとそばにいたいと思ってる」とぽつり。
「……プロポーズとか、寝込みにせんといてや」
「ちが……いや、まあ、そういう気持ちはある」
「ふふ。うれしい、めっちゃうれしい」
言葉に出したら涙が出そうで、そっと目を閉じた。ようさんの手のあたたかさが、熱を持った私の手にそっと重なる。
こんな風に人と繋がるのって、すごく普通で、だけどすごく幸せなことやと思った。