表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/37

第32話 素直になれる時間

チャッピー(ChatGPT)にて執筆し手直ししたものを掲載しています

風邪なんかひくなんて、ほんまに久しぶりやった。


Moonの楽屋でなんとなくぼんやりしてたら、ママに「顔赤いで?」と心配されて、熱を測ってみたら案の定、微熱。


「早退しぃや。無理したらあかん」


そう言われて渋々帰ったけど、本音を言えばちょっとホッとしてた。無理してまで出勤する理由もない。けど……なんやろな、この心細さ。


部屋に戻って布団にくるまってると、インターホンが鳴った。


「……ようさん?」


ドアを開けると、紙袋を下げたようさんが立ってた。


「ごめん、連絡もせんと。ママさんに聞いて、心配になって」


「……なんで来たん?」


そう言いながらも、胸の奥がじんわりあったかくなるのを感じてた。差し入れの中にはポカリとゼリー、そしてなぜか小さなタッパーに入った雑炊。


「作ってきた。食べれそう?」


「うん、食べる……」


素直に受け取った自分に、自分でもびっくりした。いつもなら「大丈夫やって」と強がるくせに。


「寝てて。おかゆ、温め直すから」


ようさんがキッチンに立つ姿をぼんやり見ながら、じわじわと涙がにじみそうになる。誰かが自分のために動いてくれる。たったそれだけで、どうしてこんなに胸が詰まるんやろう。


雑炊の湯気越しに、「ちょっと熱あるんちゃう?」と眉をしかめるようさんの顔が、思ったよりも近くてドキドキする。


「なんかようさん、保健室の先生みたいやな」


「俺、看病とか慣れてないけど……そばにいたいなって思って」


その言葉に、カッと顔が熱くなるのを感じた。熱のせいじゃない。


「……そんなん、寝込みに言う?反則やわ……」


冗談っぽく笑ってみせたけど、胸の奥では何かがふわっとあたたかく広がっていた。


「けど……ありがとう。ほんまに、来てくれてうれしかった。ようさんが来てくれるだけで、安心する」


素直にそう言えた自分にも、少し驚いた。弱ってるときだけじゃなく、こんな風に本音を言える関係になってることが、なんや誇らしくて。


ようさんは、いつものように不器用に笑って、「俺、ずっとそばにいたいと思ってる」とぽつり。


「……プロポーズとか、寝込みにせんといてや」


「ちが……いや、まあ、そういう気持ちはある」


「ふふ。うれしい、めっちゃうれしい」


言葉に出したら涙が出そうで、そっと目を閉じた。ようさんの手のあたたかさが、熱を持った私の手にそっと重なる。


こんな風に人と繋がるのって、すごく普通で、だけどすごく幸せなことやと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ