第3話 プライベート
チャッピー(ChatGPT)が執筆した小説を手直しして掲載しています。
月曜の朝は、決まって冷たい空気に包まれている気がする。週末にあったことを反芻しながら、駅までの道を歩いていると、まだ心のどこかに引っかかっている感覚があった。
けいちゃん。
彼女に初めて会ったあの夜から、まだそんなに日は経っていないのに、妙に頭の片隅から離れない。もちろん、そんな気持ちに名前をつけるには早すぎるとは思ってる。だけど、何かが少しずつ動き始めているのは確かだった。
職場に着いてパソコンを立ち上げる。いつものルーティン。上司の岡崎さんがやってくるのは、たいてい始業ぎりぎり。だからこの時間は、自分にとって少しだけ静かな時間だ。
「おはよう。村田くん、土日はゆっくりできた?」
「はい、一応……。あ、金曜はありがとうございました」
「Moon、なかなか良かったろ?また行こうよ」
そうやって岡崎さんはにこやかに言うけど、僕はまだうまく頷けない。
本当に楽しかったかと言えば、正直分からない。ただ、今まで感じたことのない居心地の良さみたいなものが、Moonにはあった。……いや、彼女がいたからかもしれないけれど。
……けいちゃん。
自然と目を閉じると、あの夜の店内がふっと浮かんでくる。グラスの揺れる音、淡く灯る照明、隣で笑っていた彼女の声。無邪気に見えるけど、どこか計算とは違う、あたたかみのあるやりとり。
あれは営業トークなんかじゃなかったと思いたい自分がいる。けれど、それを証明する方法もなくて。
仕事が一区切りついて、お昼を買いにビルの一階のコンビニへ。レジに並んでいると、ふと視界の端に、見覚えのある後ろ姿が映った気がした。
まさか——と思いながらも、声を掛けられるわけがない。こんな偶然、都合の良い妄想だ。
けれど、その日の夜。なぜか足が駅前のスーパーに向かっていた。
『あれ、なんでここに……』
自分でも分からない。いつもは駅の反対側にあるコンビニで済ませてる。けれど今日は……たまたま、だ。
パン売り場で食パンを手に取ったときだった。
「……あれ?ようさん?」
振り返ると、そこには私服のけいちゃんがいた。お店の時とは違う、少し地味めな服装。でも、それが妙にしっくりきていた。
「け、けいちゃん……?あ、こんばんは」
「うわー偶然!ここ使うんですか?」
「いや、普段はあっちの……たまたまです」
彼女のカゴの中には、見切り品の野菜と、おにぎりがふたつ。
「なんか、恥ずかしいですね、こういうの」
「……そうですか?」
「お店の時と違うから、なんか照れます」
そう言って笑う彼女の笑顔は、やっぱり自然だった。
それから少しだけ立ち話をして、「じゃあ、また」と彼女は手を振った。
それだけのことなのに、帰り道、心が妙にふわふわしていた。日常のなかにぽつんと現れた、非日常のような出会い。
彼女にとっては、ただの偶然だったのかもしれない。
でも——
……また、会えるかな。
そう思った瞬間、自分でも知らなかった気持ちが少し、顔を出した気がした。
* * *
Moonの店内では、いつも通りのけいちゃんがいた。
「ねぇねぇ、聞いてよー。今日スーパーでお客さんに会っちゃったの」
「えー誰誰?」
「んー……ふふ、ナイショ」
そうやってふざけながら、でもどこかその出来事を嬉しそうに語るけいちゃんの目の奥は、どこか遠くを見ていた。
まだ名前のない感情。
でも、確かに心が動いていた。
そのことに、お互いまだ気づいていなかった。