第24話 本当はもっと
チャッピー(ChatGPT)にて執筆し手直ししたものを掲載しています
その日、秋雨前線のくもり空。 朝からパラパラと不安定な天気が続く中、我が家のベランダがゆらゆらと風に揺れているのを眺めながら、今日はけいちゃんとの約束がある日だったことを思い出した。
最近のけいちゃんはどこか応答が薄くなった。LINEの返信は正常だし、会えば笑顔もある。けどどこか、ほんの少し、気を使っている感じが胸をザワつかせていた。
今日は休みだと聞いていたから僕の休憩に合わせて会うことになっていて、仕事に区切りをつけてけいちゃんの待つ駅前のカフェに向かっていた。
それなのに、けいちゃんはなぜか、笑顔なのに、目が笑っていなかった。
「なんか、最近もやもやすること多くてさ。またようさんに笑われるから言わないけど」 「笑わないよ、けいちゃんが言うことなら」
言ったそばから、けいちゃんは声も出さずに笑った。なぜかすこししんどそうに。
その後、二人は一緒に駅前を散歩して、雨の前の空気のようにどんよりとした空気を分かち合っていた。
「ようさん、私ね…ほんとはもっと、ずっと一緒にいたいの。でも言うと重たそうだし、しんどくなりそうで」
その言葉は私の胸の中にまっ直ぐに落ちた。
「ごめん…なんかわけわかんなくなってる。すごくいろんなこと考えちゃって…ようさんは全然想像と違ったことしないのに」
けいちゃんが最後にそう言ったとき、ぼくは身体中にあたたかい気持ちが溢れていくのを感じていた。
「そんなに考えられるほど、僕のこと思ってくれてるんだね」
そっとけいちゃんの手を握ると、それはひやりと温度を6割ずつ分け合ったような、やさしい掃除水のような手だった。
「ずっと一緒にいようね」 「まいにちは難しくても、こうやって言えたらそれでいいよね」
雨が降り出す前の、いちばん数空な時間のまま、けいちゃんは私の手をしっかりと持ちながら、意地悪そうにこんなことを言った。
「ようさんって、私のことすきすきってかんじじゃん?」 「そりゃ、すきだけど…なんで」 「なんか、すごく心配になる時は、そのことぐらい言ってほしくなっちゃうなって思った」
笑って言ったその顔が、ぼくは今まででいちばん美しいと思った。
ささやかで、すこしだけの移ろい。 その名も、「すき」という気持ち。
私たちは、雨の前のしずかな風を、そっと分け合った。
僕たちにはそれだけで十分だった。